ホーム > 世界が注目するSDGs。テキスタイルからどんな未来を描ける?
2020.11.26
「サステナブル」「SDGs」「持続可能」……近年、これらの言葉をよく耳にするようになりました。「SDGs達成」に向けた取り組みを始めている企業や団体も増えており、気になっている人も多いのではないでしょうか?
実はこれらの活動は、テキスタイル業界にも大きな影響を与えています。では、SDGsやサステナビリティを通して、テキスタイルから、私たちはどんな未来を描けるのでしょうか?
今回はSDGsに向けた活動について学んでみましょう!
今世界で最も注目されていると言っても過言ではない「SDGs」。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取ったもので、「エスディージーズ」と読みます。
簡単に言えば、SDGsは2015年に行われた国連サミットで採決された、2016年から2030年の間に達成すべき目標(ゴール)のこと。現在、国連加盟193ヵ国がこの目標達成のためにさまざまな活動に取り組んでいます。
「S」の「Sustainable(サステナブル)」には「維持できる」「持ちこたえられる」といった意味があり、それが転じて現在は「持続可能」という意味で使われていることが多いです。
では何が“持続”可能なのかというと、「人間・社会・地球環境」の3つ。つまり、私たちが住んでいるこの世の中、世の社会、この地球を、長く維持し存続させようという理念が「サステナブル」なのです。
SDGsでは、そんなサステナブルな社会を実現するための目標が掲げられています。
参考:SDGsとは?|JAPAN SDGs Action platform|外務省
では、具体的にSDGsにはどんな目標があるのかを見ていきましょう。
1.貧困をなくそう 2.飢餓をゼロに 3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 6.安全な水とトイレを世界中に 7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに 8.働きがいも経済成長も 9.産業と技術革新の基盤を作ろう 10.人や国の不平等をなくそう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任 つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を 14.海の豊さを守ろう 15.陸の豊さも守ろう 16.平和と公正をすべての人に 17.パートナーシップで目標を達成しよう
どの目標も世界規模で大きく、「自分とは別世界だ」と感じることもありません。
確かに、日本では6.の安全な水とトイレがすでに完備されています。それを世界中に設置するにはどうしたらいいか?なんて、一般市民の私たちにはわからないかもしれません。
しかし、安全な水も綺麗なトイレもない国では、本気でどうすればいいのかを考えています。私たちには何もできないとしても、当事者意識を持って水を使ったり、節水したりすることはできるはずですよね。
上記の17の目標に加え、169のターゲットも掲げられているので、こちらもぜひ見てみてください。
参考:SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説
では、SDGsで掲げられた目標とテキスタイル・ファブリックにはどんな関係があるのでしょうか?
テキスタイル業界とは、
までを包括して指します。そして繊維や生地や服を作ることには、人間も、社会も、地球環境も大きく絡んでくることになるのです。
たとえば繊維には、自然からとれる天然繊維(コットン・ウールなど)と化学的に合成される化学繊維(ポリエステル・ナイロン)などがあります。化学繊維を作る際には石油を使ったり、カスが出たりと、少なからず地球環境を汚染してしまうのです。
また完成した服のタグを見ると、日本ブランドでも「MADE IN CHINA」とか「MADE IN THAILAND」など、製造した国の名前が刻まれていますよね。日本で縫製を頼むとコストが高いため、比較的安価で請け負ってくれる中国やタイで縫製されているのです。
このように、テキスタイル業界は人間・社会・地球環境との関わりが強いことがわかります。テキスタイル業界がSDGs達成に向けて変われば、人間・社会・地球環境にもプラスの影響を与えられるのです。
SDGs達成に貢献するために、多くの企業や団体はさまざまな取り組みを始めています。ここでは、テキスタイル業界の取り組みを一部見てみましょう。
繊維や繊維機械の技術の発展を研究する日本繊維機械学会では、より多くの目標を達成できるよう、幅広い取り組みを行なっています。
たとえば「1.貧困をなくそう」という目標達成に向け、パートナーシップを活性化し、社会システムの基盤を作る取り組みを。「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」という目標を達成するために、より一層繊維機械の技術向上や革新を起こすことを目指しています。
これらを見ても、SDGsを達成するためにできることは1つではないし、1つの目標達成だけに縛られる必要はないことがよくわかりますね。
日本繊維機械学会が得意とする分野を中心にさまざまな活動を行っていることもポイント。得意なことから取り組み始めることで、無理のない活動ができるのです。
参考:TMSJ SDGs
テキスタイルを製造している柴屋株式会社(通称「SHIBAYA」)では、「⼈と⾃然に丁度良い、環境に配慮した物づくり」を掲げています。
日本の全国に「産地」を持ち、そして産地の特性を活かしながら、使う人のことを考えたテキスタイルを作っているのです。
現在、「SHIBAYA」の織物産地は9ヵ所。日本国内で作ることにこだわっているため、「8.働きがいも経済成長も」「11.住み続けられるまちづくりを」といった目標を達成するための取り組みだと言えます。
また、化石燃料を使わないこと、陸上生態系の保護といった取り組みでは「12.つくる責任 つかう責任」「14.海の豊さを守ろう」「15.陸の豊さも守ろう」につながります。
参考:コンセプト|柴屋株式会社
私たちがよく利用しているユニクロでも、国内外問わずサステナブルな取り組みを行っています。
たとえば、よく知られているのがユニクロ・GUの全商品を店舗で回収し、リサイクルするという活動。リサイクルされた商品は、次の3つのどれかに再利用されます。
このリサイクルの取り組みは「1.貧困をなくそう」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「10.人や国の不平等をなくそう」などにつながっていますよね。
また、日本だけでなく海外も含めた各店舗では、難民雇用や難民の自立支援にも取り組んでいます。たった1つの取り組みでも「4.質の高い教育をみんなに」「8.働きがいも経済成長も」「11.住み続けられるまちづくりを」など、いくつものSDGs目標への貢献になっているのです。
株式会社サンウェルでは、SDGs達成のためになんと10もの取り組みをしています。では、まとめて見てみましょう。
特にリサイクル素材の利用に注力を置きつつも、世界中の人や障がい者をサポートする取り組みも。それぞれの取り組みが相互に作用し合って、より良い循環を生み出していますね。
参考:サンウェルの取り組み|SDGsへの取り組み|株式会社サンウェル
では、企業でも団体でもない、私たち個人がSDGs達成のためにできることは何でしょうか?
いきなり「SHIBAYA」やユニクロのように大きな目標を掲げる必要はありません。世界は一見つながりのないように見えていても、実は何本もの糸でつながっているもの。
今からできること、自分1人でもできることをするだけで、SDGsに貢献できるんですよ。
ここでは、個人が取り組めることをご紹介します。
アパレルや繊維業界って、どうしても大量生産・大量消費・大量廃棄の世界です。せっかく服を作っても、その半分近くが捨てられています。
モノをゴミとして捨ててしまうと、地球環境に悪いのは言うまでもありません。そして地球環境が悪くなれば、将来の社会や人間にも悪い影響を与えます。
それを防ぐため、洋服などを選ぶときにはリサイクルされたアイテム、もしくは環境に優しい素材で作られたアイテムを選びましょう。
リサイクルされたアイテムといえば、ユニクロのリサイクル事業もその一環。H&MやZARAなどのファストファッションブランドでも、リサイクルされたアイテムを販売しています。
地球環境に優しい素材とは、いわば「再生繊維」と呼ばれるレーヨンやキュプラなどがあります。少しずつ分解し自然に還るという特徴を持っているので、環境に優しいです。
参考:大量消費・廃棄からの脱却を目指して。アパレルや繊維業界にできる事とは
やはり、ゴミが地球環境に与える影響はあなどれません。「自分1人ぐらい、別にいいだろう」という意識は他人に伝染しやすく、社会全体が「自分1人“だけでも”、やろう」という意識にならないとゴミ問題は解決しないのです。
普段からゴミを減らし、ゴミが出たら正しく分別し、可能なものはリサイクルするように心がけましょう。
ゴミを減らすには、そもそも「捨てる前提」でモノを買わないようにすることが大切です。たとえばお弁当の空容器は、しっかり洗えばリサイクルで再利用できます。
ゴミの分別も面倒に感じるかもしれませんが、リサイクルにつなげる大事な工程。ペットボトルをリサイクルして作ったテキスタイル「エコペット」には欠かせない材料なのです。
参考:話題の【エコペット】ってどんな生地?エコロジーな生地が世界を変える!
プラスチックゴミをそのまま焼却すると有毒ガスが発生し、空気を汚染します。こうした環境への配慮として、レジ袋有料化が始まり、マイバッグを持つよう推進されるようになりました。
それと同時に、もしくは少し前から、「有毒ガスが発生しないプラスチック袋」が急増していることをご存知でしょうか?
マイバッグを持っても、ゴミ袋としてプラスチック袋が必要な人もいますよね。そのため、ゴミを入れてそのまま捨て、焼却できるように、有毒ガスが発生しないプラスチック袋の需要が高まっているのです。
可能であれば、普段からマイバッグを持ち歩きましょう。そしてプラスチック袋にゴミを入れる際には、地球環境に配慮された袋を選ぶようにしましょう。
参考:エコバッグに適した生地ってどんな生地?レジ袋有料化に備えよう★
普段からSDGsやサステナブルについての発言や発信をするのも、実はとても有効です。
インスタグラムを見ると、サステナブルな発信をするアカウントや有名人が増えてきました。
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若い人はSDGsの当事者意識が低いかもしれません。しかし、そんな若い人が触れるSNSで発信をすることで認知を広めたり、意識を高めたりできるのです。
SNSでの発信のほか、会社や自治会などで改善のための発言をするのもおすすめ。「こうすれば、もっと働きやすくなる」「これなら、もっと住み心地の良い街になる」など、あなたのアイディアをぜひ発言してみてくださいね。
SDGsが掲げられたのは、他の何者でもない“私たち・自分たち”のため。地球が汚染されれば住みにくい街や社会になりますし、生きづらさを感じれば人間は心の健康を損ないます。
しかし、逆の作用が起きたらどうなるでしょうか?空気が美味しければ住みやすい街や社会になるし、平和な世の中であれば人間はより健康でエネルギッシュになれるのです。
他の何者でもない私たちの未来のために、持続可能な取り組みを今から始めましょう!
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