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大量消費・廃棄からの脱却を目指して、アパレルや繊維業界にできる事とは!?

2020.6.15

あなたが着ているその服はどこで手に入れましたか?

中には古着やメルカリ、もしくは手作りという人もいるかもしれませんが、ほとんどの人が、アパレルショップで買ったのではないでしょうか。

実は世界のアパレル・繊維業界の課題として「大量消費」と「大量廃棄」が問題視されています。

消費者として楽しく洋服を選んで買っていたとしても、その裏では山のように洋服が捨てられているのです。

今回は大量消費・大量廃棄の問題について詳しく見ていきましょう。

関連記事:「捨てられるはずの服」を活用!アパレル廃棄ゼロに向けた様々な活動

 

大量消費・大量廃棄の現状とは

日本をはじめ、世界のアパレル・繊維業界では、中国やベトナム、タイといった海外の工場で安く大量に商品を作り、お店(市場)に出しています。

しかし安く作られた商品は、数十年前と比べると超短期スパンで消費され、交換されていきます。

これが「大量消費」「大量廃棄」の現状です。

たくさん作ってたくさん消費され、たくさん廃棄される。

一見するとうまい具合に商品が流れているように見えますが、これは一本道であり、入口と出口が決まっています。

では出口から出て行った商品はどうなるかというと、アパレル廃棄…つまり「ゴミ」として捨てられてしまうのです。

なぜ大量に作っても消費されないのか?

普通に考えれば「必要な分だけ作って適切に消費する」というのが効率的なはず。

それでも大量生産してしまうのは、アパレル業界はほとんどが「ファストファッション(消費者のニーズに基づいてトレンドの服をリサーチし、超短期間で大量に生産・販売する)」という経営スタイルだから。

ビジネス的にはこのスタイルが一番利益を出しやすいスタイルになるのです。

この経営スタイルでは、すぐに消費者のニーズに答えられるように在庫を多めに見積もっておかなければいけません。

しかし現代の消費者の中にはミニマリズムの意識が芽生えつつあり、

・あまりモノを持たない

・高品質のものを長く愛用する

・本当に必要なものだけにお金を使いたい

とこだわる消費者が増えてきました。

この消費者の意識の「ファストファッション」の経営スタイルは相性が悪く、なおさら過剰在庫を増やす事態になっています。

「ファストファッション」が流行り出した頃は、確かに安い服と短期スパンでの入れ替わりに需要があったのかもしれませんが、時代が進んで現代とのニーズのズレが生じてしまったのです。

大量生産の環境への影響

ではどれくらい過剰在庫を抱えているかというと…国内で29億点作って、15億点が在庫となっている、つまり売れていないという現状です。

これを重さに表すと100万トン。東京タワー250本分もの重さになります。

これだけの服はそのまま廃棄処分(焼却や埋め立て)されるということは、それだけ排気ガスやCo2を発生させているということですよね。

さらに衣類の6割はポリエステルやナイロンなどの合成繊維でできています。5ミリ以下のマイクロプラスチックは川へ流れても細かすぎて下水処理できず、水や魚として私たちの体内へと入っているのです。

他にもTシャツ1枚を作るための3000リットルの水の大量消費、化学物質による水質汚染など、大量生産による環境への影響は計り知れません。

いかに大量生産が過剰在庫につながっているかがわかりますよね。

ここままだと未来はどうなる?

もしもこのまま大量消費・大量廃棄を続けていた場合、未来はどうなってしまうのでしょうか?

まず地球汚染が止まらないため、地球温暖化を加速させたり、大地を枯れされたりと、地球はじわじわと住めない星になっていきます。

また人の体に化学物質が蓄積され、不健康な人が増えたり、人口が減っていたりするかもしれません。

もしくは、現代のミニマリズム的なニーズとアパレル・繊維業界の提供する商品との間にある溝が深まり、アパレル・繊維業界に大きな打撃を与える可能性も。

こうした問題や最悪の事態を避けるためには、サスティナブル(持続可能)な取り組みをしていく必要があるでしょう。

 

大量消費・大量廃棄からの脱却を目指したアパレル・繊維業界の取り組み

実はすでに「大量生産」「大量廃棄」の課題に目を向けて取り組みを始めているアパレルブランドや繊維企業がいます。

ここでは主にどんな活動があるのか、そしてどのような企業が取り組んでいるのかをご紹介しましょう。

これから「大量生産」「大量廃棄」からの脱却を目指したい企業はもちろん、このままだいけないと危機感を感じている個人も参考にできるので、ぜひチェックしてみてください!

洋服レンタルサービス

最近は「サブスクリプション(略してサブスク )」といって月額定額制で利用し放題のサービスが増えていますね。VODならNetflixやHulu、音楽ならSpotify、自動車ならトヨタの「KINTO ONE」などなど、様々なジャンルでサブスク化が進んでいます。

実は洋服のサブスクリプションサービスもあることをご存知でしょうか?

例えば「メチャカリ」や「airCloset」などは、月額定額制で好きな洋服をレンタルできる仕組み。洗濯やクリーニングはお任せで、気に入ったら購入可能です。

こうした洋服レンタルサービスはまさに現代人の「無駄なものを持ちたくない」というニーズに合っているし、洋服を捨てることなく利用し続けられるため、大量廃棄を減らすことができます。

消費者も洋服を所有することなく様々なファッションが楽しめるためWin-Winの関係が生まれ、経済にも良い影響を与えています。

リサイクル商品の開発

サスティナビリティに注目し、繊維から洋服を作るのではなく、洋服を繊維レベルまで分解して新たに洋服を作り直すというアパレルブランドや企業も増えています。

このようにリサイクルすることで大量廃棄を減らすだけでなく、化学物質の使用量を抑えられるため、環境にも優しい取り組みだと言えるでしょう。

例えば「BRING」では、消費者のいらなくなった洋服を回収して原料に戻し、リサイクルしています。もしそれがまだ着られる服であれば寄付することも。

「リサイクルしたい人」と「リサイクルしたい企業」をつなぐという役割もしており、今後アパレル・繊維業界に洋服のリサイクルを広めていく存在となりそうです。

回収と再流通

あの有名ブランド「ユニクロ」や「adidas」でも着られなくなった服を回収するという活動に取り組んでいます。

ユニクロは回収した服を、服を必要とする国や地域に届けたり、adidasな前述のBRINGと同じように分解して服を作ったりといった活動です。

また「株式会社FINE」では売れ残った商品のタグを外して付け替え、再流通させる「Rename」という取り組みをしています。

ブランドタグを外すことで消費者が“商品そのもの”を見るようになるため、きちんと商品の価値を見定め、在庫が売れるようになるのです。

徹底した在庫管理

大量生産を防ぐためには徹底した在庫管理も必要です。実店舗で売って、ECサイトでも売って、さらに楽天にも出品していると、各店舗の在庫がバラバラで大量に作らざるを得ない状況になります。

そこで「Viscotecs」は、店頭にはサンプル品のみ置いておき、消費者は等身大モニターとタブレットを使ったバーチャル試着ができます。そして注文を受けてから必要な分だけ生産するため、ムダな在庫を抱えません。

こうしたオーダーメイド品はすぐに消費者の手に渡らないというデメリットはあるものの、消費者の体にぴったり合う洋服を作れるため、長く愛用され続けるのです。

 

大量消費・大量廃棄から脱却するにはまずは現状を知ることから

消費者として生活しているだけだと、大量消費・大量廃棄の問題なんて考える機会はないですよね。

このままだと経済にも地球にも悪い影響を与え続けることになるため、現状から抜け出さなければいけません。

とはいえ、何も知らない、知識もない状態では、どんな行動をすればいいのかわからないのも事実です。

大量消費・大量廃棄から脱却するためには、まずは現状を知ることから。

実際にアパレル品が捨てられる現場を見たり、関係者の話を聞いたりしたうえで、アパレル・繊維業界の取り組みについて知ることで自分にできることが見えてくるでしょう。

世界の経済や地球の環境、そして自分自身が純粋な気持ちで楽しんで洋服選びができるように、大量消費・大量廃棄の問題へと取り組んでいきましょう!


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