ホーム > アパレルロスの製品を再利用!「捨てられるはずの服」を活用しアパレル廃棄ゼロに向けて
2020.5.13
あなたは着なくなった服をどのように処分していますか?
燃えるゴミに出す、フリマアプリで売る、誰かに譲るなど処分方法はたくさんありますが、ほとんどの人がそのままゴミに出しているのが現状です。
さらにアパレル業界でも、売れなかった衣類を廃棄物として処分してしまうことがほとんどです。
しかしそんな処分方法はエコとは言えませんよね。
そこで今回は、アパレル廃棄ゼロに向けたエコな活動や取り組み、一般消費者でもできることををご紹介します!
目次
あなたは毎年アパレル品がどれだけ生産されているかご存知ですか?日本国内だけでも、29億点生産され、店頭やインターネットで販売されています。
しかし、その中から実際に購入されるのは14億点。29億点作られているのに14億点しか購入されなければ、残りの15億点はどこに消えているのでしょうか?
そう、この15億点がそのまま処分されるのが「アパレル廃棄ロス」という問題です。
日本国内だけでかなりのアパレル品が処分されているので、世界で見ればもっとたくさん処分されているはずです。
では、なぜアパレル廃棄ロスの問題が出てきてしまうのでしょうか?
実はアパレル品は「大量生産・大量消費・大量破棄」の業種です。たくさん作ってたくさん買ったり着たりしてもらっても、ファッションは“トレンド”が命なので、最後には古いものがたくさん捨てられてしまいます。
さらに、最近は消費者が「流行に左右されず、長く使えるものを選ぶ」という意識に変わってきました。
ミニマリストが流行したことで、服を含めてあまりモノを持たない暮らしになり、服を買い足さなくても良いように高品質なものを選ぶようになったのです。
そうすると低コストで大量生産されているファストファッションの服たちは選ばれなくなり、「大量消費」が抜けた「大量生産・大量破棄」という状態になってしまうのです。
このようにアパレル廃棄ロスの問題点として一番気になるのが環境汚染です。服は燃やして処分するため、焼却時に発生する二酸化炭素は地球温暖化などの環境問題を加速させてしまいます。
それだけでなく、商品を処分するということはアパレル店にも打撃を与えます。コストをかけて作ったのに、売れないのでコスト回収ができない…つまり、利益が出ないということです。
アパレル廃棄ロスは地球にもビジネスにも、そして私たち消費者にも悪影響を及ぼします。
とはいえ、生産の数を抑えてしまうとお店に並ぶ衣類が少なくなり、ガラガラの状態になります。商品がほとんど並んでいないアパレル店なんて、そこの定員じゃない限り見たことないですよね。
そこで、アパレル廃棄ゼロを目指して様々な企業が様々な取り組みを始めました。ここではその一部をご紹介しましょう。
株式会社Shoichiでは、100%リサイクル素材のニットアパレルを開発しました。通常は捨てられるはずだったウール製品を集め、糸の状態に戻した後でもう一度編んでいき、新たなニットアパレルに生まれ変わらせたのです。
この製品はレディースアパレルブランドのMARTHA(マーサ)と組み、MARTHA ETHICAL(マーサエシカル)というブランド名で展開しています。
さらにShoichiでは他店の在庫廃棄品を買い取り、カンボジアなどの海外に届ける活動も行なっています。
アパレル廃棄ゼロを目指して積極的に取り組んでいることがわかりますね。
参考:廃棄処分されるはずの服から生まれたリサイクルウール&国内生産|Shoichi
ファストファッションブランドながら高品質な服を提供しているUNIQLOですが、アパレル廃棄ロス問題への対策として着なくなった服を回収する取り組みを始めました。
各店舗に回収BOXを設け(一部店舗を除く)、消費者は店員に声をかける必要なく、回収BOXに着なくなった服を入れるだけでOK。
回収した服は世界各地の服を必要とする人たちに届けています。
※ただし、UNIQLOで回収するのは同じUNIQLOの製品だけです。
スポーツウェアブランドのadidasもUNIQLOと同じく洋服を回収する「テイクバックプログラム」という活動を始めました。同じく店頭に回収BOXを設置し、消費者が自分で服を入れる仕組みです。
さらにadidasでは「他社製品でもBOXに入れてOK」となっているのがポイントです。
回収した服はリサイクルして新しいアパレル製品を作るために利用されます。
株式会社FINEでは、アパレル廃棄ゼロを目指してちょっと変わった取り組みをしています。
それはアパレルブランドやメーカーの在庫になってしまった衣類のブランドネームタグや洗濯表示タグなどを付け替えて、再流通させる「Rename(リネーム)」という取り組みです。
ブランド名を見えなくすることで、ブランドではなく商品として再認識してもらえるという利点がありますね。企業側はブランドイメージを毀損することなく、在庫を再流通できるので利益にもつながりそうです。
では企業としてではなく、一般消費者、つまり服を買って着る側としてどんな取り組みができるのでしょうか?
消費者としてアパレル廃棄ゼロを目指すため「捨てられるはずの服」の“捨てる”以外の処分方法・活用方法をご紹介しましょう。
自分で裁縫ができるなら、思い切ってハサミを入れて別のアイテムに生まれ変わらせましょう!
例えば、着心地の良いYシャツをストールにしてみたり、ジーンズを化粧ポーチにしてみたりなど、一枚の生地にすることで使い方の幅が広がるのです。
余った切れ端は雑巾や布巾としても使えるので、お掃除にも役立ちそうですね。
「ちょっと流行遅れかも…」「貰い物だけどダサくて着ない…」
そんな服たちは自分好みにリメイクしてみましょう!丈を短くしたり、形を変えたり、ワッペンを付けたりするだけでも印象がガラリと変わって、着やすくなるはずです!
最近は洋服をリメイクしてくれるお店もあるため、裁縫が苦手な人は頼んでみてはいかがでしょうか?
あなたがいらないと思っている服でも、必要としている人はどこかにいるはずです。そこで、「譲る」の手段としておさがりにしたり、メルカリなどのフリマに出品したり、どこかの団体に寄付したりという方法があります。
質の良い服ならおさがりでも喜ばれますし、フリマでも高く売れやすいですよね。筆者は姉妹がいるので、服を交換することもしばしば。
そしてぜひ挑戦してほしいのが寄付です。日本が服が溢れる国ですが、綺麗な服が手に入らない国だってあります。服を必要とする人たちのために寄付するのも社会活動の一環です。
先ほど紹介したUNIQLOやadidasの古着回収は、実は知らない人がほとんどです。でも、知っているなら選択肢のひとつになりませんか?
お店に持っていく必要はありますがフリマ出品や寄付ほど手間がかからないですし、adidasならブランドの指定もありません。
自分の服を回収してもらうだけでなく、知り合いに「あそこで回収してるよ」と教えるのもいいですね。
毎年の生産数の半分もの服が捨てられているというのはショックですよね。しかしアパレル廃棄ロスの問題にしっかり向き合い、様々な活動をしている企業も増えてきました。
「捨てられるはずの服」を「必要とされるアイテム」へ。
あなたモノを作る側・買う側のどちらでもかまいません。アパレル廃棄ゼロを目指して取り組んでいきましょう!