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アパレルの未来はどうなる?小ロット生産が求められる背景と注目のサービス

2021.5.19

「服が売れなくなっている」と言われ始めてから久しいですが、次々と新たなアパレルがオープンする一方で、次々と老舗アパレルが閉店しています。

その理由には、ここ数年で大きく変化してきた消費者ニーズやアパレル業界の動向にあります。

では、アパレルブランドが生き残るためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか?今回はアパレル業界の現状や背景、そして注目のサービスをご紹介します。

アパレル業界の現状と課題

アパレル業界は一時期、大量生産・大量消費・大量廃棄の時代がありました。若者を中心とした消費者は常にトレンドを追い、毎月・毎週のように洋服を買っていた人も多いでしょう。

そんな時代から、現代の消費動向が「180度変わった」と言っても過言ではありません。では、2020年代のアパレル業界は今、どのようになっているのでしょうか?

破綻するアパレル・生き残るアパレル

2019年には海外の大手ファストファッションブランド「フォーエバー21」が日本撤退、それに続くように「アメリカンイーグル」も撤退しました。

そんな厳しい状況にさらに追い討ちをかけたのが新型コロナウイルスです。

コロナ禍の影響により、2020年11月には老舗ブランド「レウナン」が破産手続きを開始したり、その他にも多くの中小アパレルの閉店が相次いでいます。

その一方で、2019年の消費税増税や新型コロナウイルスの脅威にも負けないアパレルブランドがあります。「ユニクロ」や「ジーユー」を展開している、株式会社ファーストリテイリングです。

「ユニクロ」や「ジーユー」といえば、高機能で着回しやすいベーシックなファッションが特徴。なおかつ低価格です。

また本来は作業服を販売していた「ワークマン」が、アウトドアやスポーツ衣料向けの「ワークマン プラス」を展開したことも、記憶に新しいでしょう。

コロナ禍でトレンドファッションの需要は減ったものの、ユニクロやワークマンのようなベーシックファッションの需要は横ばい、あるいは微増しているのです。

消費者の需要は「低コスト&高機能」へ

破綻するアパレルと生き残るアパレルの違いを見てもわかるとおり、現代の消費者の需要は「低コスト」かつ「高機能」です。

バブル期のようなラグジュアリーブランド主義から一転、現在は靴やバッグだけをハイブランドに、その他は低価格ブランドにする一点豪華主義に変わっています。

またユニクロに代表される「エアリズム」のように、低価格であっても機能性のある服が求められています。

「ただ着るだけの服」「ただおしゃれな服」の需要が減り、「夏は涼しく、冬は暖かく」「快適な着心地」「ニオイやシミなどの悩みを解消してくれる」といった、進化した服を手に取る人が増えているのです。

面白いことに、大量生産・大量消費をリードしていたファストファッションブランドも高機能化しています。

洋服=見た目だけの時代は終わりつつあり、多くのアパレルブランドが時代について行こうと、さらなる進化を遂げているのです。

ECサイト・フリマアプリ・サブスクサービスの台頭

時代の変化とともに急成長しているののが、ECサイトやフリマ、サブスクリプションサービスです。

AmazonやZOZOなどのECサイトで簡単に洋服を購入できるようになりました。店頭で試着しなくても自分に合ったサイズを見つけられたり、自宅で試着して合わなければ無料で返品したりといったオプションが充実。

フリマアプリを代表するメルカリでは、中古というデメリットはありつつも、高品質・高機能の服を格安で手に入れられることが、まさに現代の消費者のニーズを満たしています。

メチャカリなど洋服のサブスクリプションサービスは、わざわざ服を購入しなくても月額数千円で着たい服を借り放題。「モノを所有すること」に固執しない消費者にはとても便利なサービスだと言えるでしょう。

こうしたサービスが台頭したことで、店頭で新品の洋服を購入する機会が減り、洋服の消費量が減っているのです。

消費は減少、ニーズは多様化

消費は減っているのにニーズは多様化しているという現状があります。

これは一見矛盾しているように見えますが、言い換えれば「自分のニーズを満たす服が少ない」ことが理由で「消費が減っている」と言えるでしょう。

消費者のニーズに応えられるアパレルを作るなら問題ありませんが、そもそもどんな服が最適なのかわからない人も多いかもしれません。また、消費されない服を作っても、それは誰にも着てもらえないまま捨てることになります。

だからこそ、現代は「小ロット生産」が求められるようになっているのです。

 

アパレル業界では小ロット生産が求められる時代に

ユニクロやワークマンのような大きなアパレルブランドでなくても、中小アパレルが地道に生き延びる方法があります。

まず1つが、前述したように消費者のニーズ(低コスト&高機能)に応えること。そしてもう1つが、小ロット生産で廃棄を最小限に抑えつつ、消費者ニーズを模索することです。

大量廃棄が課題に

今でこそ見直されつつありますが、アパレル業界では大量廃棄が課題になっています。

国内においては、29億点作って15億点在庫となっていました。つまり、せっかく洋服を作っても、その半分以上が売れずに廃棄されていたのです。重さに表すと100万トン、東京タワー250本分です。

では、なぜ在庫となるのか?その理由は単純に「作りすぎ」だと言えます。

特にファストファッションでは常に変わっていくトレンドに対応するため、おしゃれだけど低品質な服が大量生産されていました。

コストも低いですが、時代の流れとともに手に取る人も減り、最終的には在庫となって焼却や埋め立て処分されてしまうのです。

参考:大量消費・廃棄からの脱却を目指して。アパレルや繊維業界にできる事とは

サステナブル・エシカルへの注目

こうした大量廃棄への対処法として、近年はサステナブルやエシカルへの注目度が高まっています。

「Sustainable(サステナブル)」とは、「維持できる」「持続可能な」という意味。そして「Ethical(エシカル)」は「倫理的な」という意味です。

参考:サステナブルな生地とは?|未来のために環境に配慮した素材を選択しよう

より大きな視点で見ると、SDGsにも注目が集まっています。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字をとったものです。

参考:世界が注目するSDGs。テキスタイルからどんな未来を描ける?

「人間・社会・地球環境」の3つの持続可能性を守るために、洋服の大量生産・大量消費・大量廃棄に待ったがかけられました。

現在はSDGsに取り組む企業が増えており、その取り組みの一環として小ロット生産を行っています。

小ロット生産にも課題がある

一方で、小ロット生産にも課題があります。それは、大量生産よりも「コストがかかる」ことです。

同じ服を100着作るのと、5種類の服を20着ずつ作るのとでは、最終的に出来上がる服の数が同じでもコストが倍以上かかることがあります。そうなると利益も目減りするでしょう。

小ロット生産に踏み出したものの、コストがかかるため洋服の価格を上げてしまっては、低価格を求めている消費者のニーズには応えられません。

その対処法としては、ターゲットとなる消費者の出せる価格帯を把握しておくこと。またアパレル販売の他にも利益率の高い事業を持っておくことも、選択肢の1つだと言えます。

 

アパレル業界の注目サービス

最後に、アパレル業界での注目サービスをご紹介します。

SDファクトリー|アパレルメーカーと縫製工場のマッチングサービス

参考:SDファクトリー

SDファクトリーとは、アパレルメーカーと縫製工場をつなぐマッチングサービスです。

SDファクトリー内でキーワードやタグ等で絞り込み、目的に合った縫製工場を検索。そのままアパレル生産を依頼できます。

小ロット生産をしたい場合には「小ロット」と検索すればOK。すべての縫製工場は国内に工場を持っているため、Made in Japanの品質で生産できますよ。

テラオエフ|アパレル立ち上げから生産をサポート

参考:テラオエフ

テラオエフはアパレルメーカーから依頼を受けて生産するだけでなく、なんとアパレルの立ち上げからサポートしてくれるサービスです。テラオエフの強みは3つ。

これから立ち上げたい、あるいは立ち上げたばかりというアパレルにおすすめです。

AYATORI|テクノロジーで生産管理の課題を解決

参考:AYATORI

大量生産をしてしまう理由の1つに、サプライチェーンとのやり取りがアナログであることが挙げられます。スムーズかつ柔軟に情報共有ができないからこそ、より簡単でストレスの少ない大量生産の道を選んでしまうのです。

AYATORIではアパレル業界の川上から川下までのやり取りをデジタル化することで、生産管理の課題解決を目指しています。

コミュニケーションが見える化されタスクを適切に管理できるようになるため、細かな受発注にも柔軟に対応できるようになるでしょう。

 

結局、アパレルの未来は明るいのか?

大量廃棄や消費の鈍化がまだまだ多い現状を考えると「アパレル業界は安泰です!」とは言い切れません。しかしSDGsへの取り組みや小ロット生産するブランドも増えつつあるため「未来は暗い」とも言い切れません。

どんなに洋服の消費が減ろうとも、洋服は日用品であり消耗品なので、一定のニーズは保たれるはず。さらに、消費者のニーズは多様化しより高次元になっているため、そのニーズを満たすことができれば将来生き残ることだって可能です。

人や社会、地球環境を守りながら共存していく取り組みは、まさに今始まったばかり。企業や組織としてはもちろん、個人として自分にできることにも、ぜひ取り組んでみてくださいね。


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