ホーム > サステナブルな生地とは?|未来のために環境に配慮した素材を選択しよう
2021.2.10
企業のSDGsへの取り組み、著名人による宣言、そして個々人のSNSでの発信などにより、地球環境に配慮したエコロジーな活動が注目されるようになりました。
「なんとなく良い事なのはわかっているけど、何から取り組み始めたらいいのかわからない」
実は心の中で、そう感じている人も多いのではないでしょうか?
今回はサステナブルな活動に興味があるけど第一歩を踏み出せないでいる方に向けて、まずは身近なファッションでできる「環境に配慮した素材の選択」についてお話ししましょう。
目次
最近になって「サステナブル」や「エシカル」といった言葉をよく耳にするようになりましたが、なぜなのでしょうか?
「Sustainable(サステナブル)」には、「維持できる」「持ちこたえられる」という意味があります。それが転じて「持続可能」という意味で使われることが多いです。
素材を繰り返し使って地球環境を守るということだけでなく、人々が働き続けられる、安心して住み続けられる世の中にするという、幅広い範囲での「持続可能」を指します。
そして今、サステナブルな社会を実現するために社会一丸となって掲げられているのが「SDGs」。SDGsの活動については、こちらの関連記事をどうぞ!
関連記事:世界が注目するSDGs。テキスタイルからどんな未来を描ける?
次に「Ethical(エシカル)」は「倫理的な」という意味。たとえば、人間のために動物を殺したり、むやみにゴミや産業廃棄物を垂れ流したりすることは、誰でも「なんとなく、悪い気がする」と感じているのではないでしょうか?
そうした「なんとなく、悪い気がする」ことを一切やめて、「良識的に考えて、良いことをしよう」という考え方や思想が「エシカル」です。
「地球が汚染されている」「地球環境が悪化している」という発言は、何十年も前からありました。しかしここ最近になって、やっと注目されるようになったのは2015年の国連サミットで採決された「SDGs(持続可能な開発目標」がきっかけです。
実は「サステナブル」という言葉が提唱されたのは、1992年に行われた第1回地球環境サミット。その頃からじわじわとゆっくり、でも着実に地球環境を守る活動が、企業を中心に広まっています。
そして国連サミットで「SDGs」が採決されたのを皮切りに、爆発的に広まるようになったのです。
では、なぜサステナブルでエシカルな活動が“今”必要なのでしょうか?
その答えはとても簡単。1992年の第1回地球環境サミットで「地球環境が悪化している」と言われたのにもかかわらず、約30年が経とうとしている今も、環境破壊が続いているからです。
今すぐに行動しなければ、地球温暖化やオゾン層破壊、水の汚染・空気の汚染などの環境破壊は食い止められません。完全に止めることはできなくても、少しでも長く、将来私たちや私たちの子孫が今と同じような暮らしを送れるように、遅らせなければいけません。
その現状に多くの人々や企業が目を向けるようになった今、個人としてできることを探したいですよね。
そこでYAMATOMIが提案したいのは、まずは「環境に優しい素材や生地を選ぶ」ということ。では、どういう素材や生地が地球環境に優しいのでしょうか?
「天然繊維は地球環境に存在するものだから優しく、逆に化学繊維は人工的に作るため優しくない」……そう思う人も多いかもしれませんが、実は一概にはそう言えません。
天然繊維でも大量の農薬や殺虫剤を使わなければいけない繊維がありますし、化学繊維でも不要品のリサイクルによって生まれ変わった繊維があるのです。
たとえば「オーガニックウール」というとなんだか地球環境に優しそうなイメージですが、羊の餌には農薬や殺虫剤が使われていますし、羊に成長促進剤を打つこともあります。
逆に化学繊維の中には自然に還ると分解される再生繊維や、リサイクル可能な繊維も存在しています。どうしても「自然」や「人工」のイメージが先走りしてしまいますが、よくよく見てみると、どちらの素材にも「環境に優しいもの」「環境に悪いもの」があるのです。
そこで、今回は天然繊維・化学繊維かかわらず、環境に優しい素材・生地をピックアップしました。ぜひ環境に優しい素材や生地だけでも覚えていってください。
地球環境に優しい生地として代表的なのが、レーヨン・リヨセル・キュプラなど「再生繊維」と呼ばれるものです。これらは化学繊維のひとつですが植物由来の繊維で、専門業界ではセルロース系繊維とも言われます。
植物から採取したセルロース化学処理で溶かし、人工的に糸にします。なのでイメージとしては、「天然繊維に限りなく近い化学繊維」と覚えておくと良いでしょう。
植物由来のため、生分解性という性質を持っています。これは自然界に存在する微生物によって、繊維を構成する物質がすべて、水と二酸化炭素にまで分解されていく性質のこと。
つまり、もう使わなくなった再生繊維を土の中に埋めると、微生物によって分解されて土に還るのです。化学繊維なのに自然界の中で循環するんですね。
関連記事:【繊維素材LABO】テンセルってどんな素材?最高の着心地を実現してくれるテンセルの特徴とメリット・デメリットまとめ
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【オススメの再生繊維生地】
パリッとしているのに、テンセル特有の“とろみ”があるという、不思議なタイプライター生地です。
グリーン・ブラウン系のナチュラルカラーは、大人のブラウスやスカート、シャツなどによく合います★
空にかざして見ると透け感があり、ドライタッチで涼しげな生地です。
柔らかな肌触りもテンセルの上質さを感じさせるポイント。ブラウスやスカートなどにどうぞ!
オーガニックは農薬や防虫剤を使用しないため、ほとんど土を汚しません。植物を育てる土も大事な環境資源のひとつなので、持続可能な土にすることもサスティナブルな活動のひとつ。
オーガニックコットンやオーガニックリネンは、無農薬の天然繊維の代表ともいえる素材です。厳しい基準の中で育てられるため、肌触りが良い・通気性が高い・上質なツヤなどのメリットがあります。
敏感肌の人や赤ちゃんにも安心して使える素材で、環境にも人にも優しいんですね。
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最近はオーガニック生地への注目が高まっていますが、一方でひとつの素材だけを選び続ければ、その素材の需要が高まり、大量生産されることになります。どんなに「環境に優しい」とうたわれていても、大量生産してしまうとどこかで環境を破壊しかねません。
そのため、天然繊維・化学繊維問わずさまざまな素材をバランス良く選び、需要と供給のバランスを保つことが大切です。
関連記事:【繊維素材LABO】敏感肌や赤ちゃんにも優しいオーガニックコットンとは
【オススメの無農薬天然繊維生地】
スラブ感のある見た目に、肌を優しく包み込むような肌触りはまさにオーガニックコットンの魅力。
赤ちゃんの肌にも優しくタッチできるので、衣類やインテリア、ベビーグッズまでさまざまなアイテムに活用できます。
オーガニックコットン/テンセル(TM)リヨセル繊維エアリーシャンブレー
オーガニックコットンと再生繊維のテンセルを混紡した、人にも環境にも優しすぎる生地です。
コットンのナチュラルな風合いにテンセルのしなやかさ・とろみが加わり、より上質な仕上がりに★
「エコペット(ECOPET®)」とは、リサイクルしたポリエステルから生まれた生地のこと。帝人フロンティア(株)の登録商標です。
身近にあるポリエステル生地を分解したものやペットボトルの他に、ポリエステルの製造工程で出てきた屑などを集めて破砕し、細かい粒子にします。その後、製綿・紡績し、生地にしたものがエコペット生地です。
この工程で作られたエコペット生地はとても軽量で静電気が起きにくく、主に衣料品に使われています。
関連記事:話題の【エコペット】ってどんな生地?エコロジーな生地が世界を変える!
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リサイクルナイロンとは、廃棄繊維や紡績工場から出る廃棄物で作ったナイロン生地のこと。ファッションブランドのパタゴニアが使ったことで話題になりました。
こうした廃棄物を使ってリサイクル繊維を作ることは、産業廃棄物を軽減するだけでなく、原油への依存をなくし、よりサスティナブルな製品作りを加速させるのです。
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【オススメのリサイクル繊維生地】
上質な光沢感と目の詰まったツイルの表面は、ビジネスなどのフォーマルシーンによく合います。
ジャケットなどのアウターから、スラックスなどのボトムスまでご活用ください!
ツヤのある見た目なので、アウターやフォーマルウェアにはもちろん、ワンピースやブラウスにもオススメ!
リサイクルポリエステルを使ったタフタ生地なので、耐久性もバッチリです★
動物愛護の観点から言えば、フェイクファーやフェイクレザーもエシカルな素材です。本物の動物の皮から作ったリアルファー・リアルレザーではなく、化学繊維を使って皮革に似せて作ったモノ。これらはエコファーと呼ばれることもあります。
ただ、フェイクファーやフェイクレザーが「地球環境に優しい」かというと、賛否両論。生産時にマイクロファイバーが排出されるためです。マイクロファイバーは細かい粒子のため排水の際にろ過されず、そのまま海に流れてしまい、海洋プラスチック汚染につながります。
ただ、動物虐待も大きな問題となっており、「リアルファー製品は使わない」と宣言するブランドや著名人が続出。どちらにせよ人工皮革はエシカル(倫理的な)素材ですので、大量生産を避けて「ほどほどに」使うのが理想だと言えるでしょう。
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【オススメの人工皮革生地】
フランスでリアルファーを長年扱っていたSARFATI社が設立したEcopel社のエコファー。
ファーコートなどのアウターにはもちろん、部分使いやバッグにもオススメです!
光沢感があり、柔らかな風合い、軽量・保温・吸汗速乾性能があります。
アウターやカバン、小物から、インテリアまで幅広くお使いいただけます!
ファッションに限った話ではありませんが、モノたくさん持っていても心が満たされないのであれば、そのモノたちはいらないモノだということです。いらないモノが増えれば増えるほど、地球は傷ついてしまいます。
環境に優しい素材や生地を選ぶだけでなく、自分に本当に必要なモノだけを厳選する。そんな「サステナブル」な生活や思考が当たり前の社会を目指していきましょう。