ホーム > 制服にはどんな生地が使われている?学生服の素材選びのポイント
2019.3.6
あなたは進級・進学をして、新しい学生服に袖を通したときの気持ちを覚えていますか?
新しい環境やこれからの学校生活に思いを馳せて、ワクワクドキドキした人も多いかと思います。
あなたが数年間を共にしたその学生服には、一体どんな生地が使われているかご存知でしょうか?
今回は意外と知られていない学生服の生地の素材をご紹介します。
・制服ってなんであんなに落ち着く着心地だったんだろう? ・3年間ほぼ毎日着ていても、ほとんど劣化がなかったのはなぜだろう? ・そもそも制服にはどんな素材が使われているの?
という疑問を持っている人は、ぜひ本記事をじっくりと読んで学生服について学んでみましょう!
そしてこれから制服作りにチャレンジする人は、素材選びのポイントも解説するので参考にしてみてくださいね。
目次
制服のタグを見てみると、そこには「ポリエステル」「ウール」と記載されていることが多いです。
実は学生服は特別な繊維を使っているわけではなく、「ポリエステル×ウール」という一般的な素材を原料にして作られているのです!
というのも、制服は頻繁に洗濯するものではありませんが、いざという時は家で洗う必要がありますよね。
家の洗濯機で洗っても傷みにくく、柔らかく弾力があり、虫食いも少なく、速乾性がある…さまざまな特徴と利便性を考慮した結果、ポリエステルとウールが選ばれているのです。
混合の比率ですが、男子はウール20%〜50%、ポリエステル50%〜80%などの比率が多いですが、女子は風合いを大事にしている学校が多いため、ウールの割合が多いのも特徴です。
男子の制服よりも、女子の制服の方がふっくらしている風合いなのも納得ですね。
また、コットンやナイロンも制服にピッタリの素材です。
コットンで柔らかさと吸湿・放湿性を上げ、ナイロンで頑丈性を強めるという混合をすることもあります。
また、学ランの中のシャツはアウターやズボンとは違ったコットン素材にして、通気性が良く洗濯しやすいシャツを作ることも多いですね。
ではすべての制服がまったく同じ生地かというと、そういうわけではありません。
実は織り方や加工によって風合いがガラリと変わるため、原料というよりも、どの織り方を選ぶかによって制服のデザインやイメージを作り出すのです!
ここでは制服に利用される4つの織り方・加工をご紹介します。
「ツイル」とはいわゆる綾織のことで、タテ糸とヨコ糸を1回、または2回飛ばしで織っていく方法です。
ポリエステルでできたアーバンツイルだと分厚く頑丈でシワになりにくいですが、プリーツができにくいというデメリットもあります。
女子のスカートはプリーツがたくさん入っているからこそ動きやすいのですが、プリーツができにくいとそれを実現できません。
そこでウール混合のポリエステルツイルを選べば、ふっくらとした風合いにプリーツ加工もしやすいのでオススメですよ。
意外と柔らかな風合いとなっており、着ているうちに自分の体に馴染んできます。
これが「制服の着心地が落ち着く」という現象の正体なのです。
「ギャバジン」は「ギャバ」とも呼ばれており、こちらもツイルと同じ綾織の一種です。
上記で解説したツイルとの違いは、主にコットンを原料としており、高密度に織られた生地だという点。
高密度なので撥水(水を通さない)・防風(風を通さない)に優れているため、まさにスカートや冬服のブレザーに最適です。
風合いは柔らかくドレープ性や光沢もあるので、制服に最もよく使われている生地だとも言えます。
「サージ」とは絹、綿、レーヨン、羊毛を主な原料としており、羽毛立たないようにクリア加工を施した織物のこと。
なめらかな手触りが特徴で、制服を長年使っていてもほとんど羽毛立つことがないのは加工のおかげなのです。
現代では羊毛(コットン)を使ったものが最も一般的ですが、中にはウールの風合いに似せたポリエステルのサージ生地もあります。
夏服のセーラー服や学ランなどによく使われていますが、とても快適な着心地なので1年中着ていてもおかしくない素材なんですよ。
「サキソニー」とは短くて太い羊毛を使った紡毛糸を使い、フェルト状に加工することで柔らかく仕上げ、光沢を出した生地です。
ウールの比率が多く、フォーマル寄りの生地であるため、学生服の冬服スカートやブレザーに使われることもよくあります。
ただウールがフェルト状になっているため、強い圧力をかけすぎるとその部分がテカることもあります。
学生服のお尻の部分がテカるのは、毎日座って授業を受けていることから、長時間にわたって圧力がかかった結果なんですね。
制服の主な原料はポリエステル×ウール、そして織り方や加工には4種類ありました。
ですが、意外とバリエーションがあるためその中からどの素材を選べば良いのか迷うことはありませんか?
続いては、制服のための素材選びのポイントを解説しましょう。
あなたが作りたい制服のデザインはセーラー服タイプでしょうか?ブレザータイプでしょうか?
また、男性は学ランでしょうか?こちらもブレザーでしょうか?
まずは大まかな型によって合う素材・合わない素材があることに注意しなければいけません。
セーラー服や学ランなら、カジュアルになりすぎないサージが代表的。もしくはギャバでも良いでしょう。
ブレザータイプなら軽くて動きやすいポリエステルツイル、サキソニーがオススメです。
制服には「夏服」「合服」「冬服」があります。(合服の場合、冬服のアウターを取っただけの場合もあります)
季節によって長袖や半袖が違えば、素材も変える必要があるのです。
この場合、織り方や加工を変えるというよりも、ポリエステルとウールの割合を変えることで、季節に合った制服が作れます。
夏場はポリエステルの割合を多くして薄くて軽い生地、冬場はウールの割合を多くして見た目も着心地も暖かい生地が良いですね。
今では通販で生地が購入できる時代になりましたが、画面越しでは分厚さや柔らかさ、触り心地などはよくわからないものです。
学生が数年間着る制服だからこそ、生地は実際に手に取って触ってみるようにしましょう。
届いた生地が思っていたのと違ったときに、またピッタリ合う生地を選び直すことができます。
少々面倒かもしれませんが、制服は学生の勉強や生活をサポートする大切な衣服ですから、着心地が良いものを選びましょう!
学生服ってどれも同じなようで、それぞれデザインが違うのでおもしろいですよね。
学校ごとに違うだけでなく、地域によってその地域の伝統が伝わってくるものもあります。
制服のデザインはその学校・地域の個性でもあり、そして歴史でもあります。
そこで、Instagramからおしゃれな学生服デザインを集めてみました!
これから制服作りをしたい人はデザインの参考にしてみましょう。
こちらはとある学校の冬服と夏服です。
「学校の制服だから」と無理に統一感を持たせる必要はなく、季節によってイメージを変えることで、それを着る学生も気分をリフレッシュできます。
夏服のリボンやスカートがデニム調になっているのも、今風でおしゃれですよね。
多様化が進んでいる現代では、実は制服の「型」は同じでもカラーが違う制服を採用している学校もあります。
生徒が自分でカラーを選ぶことで、「学校でもおしゃれしたい!」という生徒の願いを叶え、結果的に充実した学校生活を送れるのだとか。
選択する権利があるというのが、生徒のやる気や学校に行く楽しさ引き出してくれているかもしれません。
一見オーソドックスなブレザータイプの学生服のように見えますが、女子の胸元がネクタイです。
女子の服はリボンを採用している学校が多い中、男女ともネクタイを採用することで目立てるかもしれませんね。
全員がネクタイをすることによって、男女差別をしないというイメージにも繋がります。
どれも同じように見える学ランタイプであっても、ボタンのデザインを変えたり、中に着るシャツにこだわってりすることで差別化ができます。
こちらは真っ白のシャツではなく、あえてグレーのシャツを採用した制服。
「普段は見えないけど、実は他とは違う」というのが大きなポイントです。
こちらは丸襟に細いリボンがとても可愛らしい学生服。
このタイプのデザインは中学校の制服に採用されていることが多く、まだ幼さの残るイメージとぴったり合っていますね。
リボンの色を学校のテーマカラーやシンボルカラー、もしくはクラスや学年ごとのカラーにするのもオススメです。
青春の代表とも言えるセーラー服ですが、リボンの形、襟のライン、メインカラー、ポケットのデザインなどを変えることで個性が出せる制服でもあります。
生徒は自分の好きな色・形のカーディガンを着て襟やリボンを外に出すので、ちょっとしたおしゃれを楽しめるのもポイント。
こちらは涼しげな水色のセーラー服に白いリボンがアクセントとなり、見た目も着心地も爽やかですね。
それではYAMATOMIから、制服作りにオススメの生地をご紹介します。
サンプルを取り寄せできる生地もあるため、ぜひ手に取って風合いや軽さなどを確認してみてください!
ウールのような柔らかさを誇るポリエステル製ツイル生地で、カラーも制服に使いやすいカラーが揃っています。
私立校などではキャメルやライトグレーなど個性のあるカラーが人気ですよ。
グレンチェック柄のサージ素材です。ウォッシャブル、ストレッチ、防シワなど制服に欲しい機能性が満載です!
クラシカルな表情をウールライクなポリエステルで表現したボタニー素材です。ウールのようにチクチクせず、
シワになりくく洗濯機で洗えるためホームケアも簡単です。
希少なラムウールの中でもスーパー120原料を経糸に使用した素材です。そのソフトな柔らかさ、膨らみはラムウールならでは。拘りのサキソニーをぜひ活用してみてください。
サキソニー生地でジャケットを作るなら、こちらのカラー展開豊富な生地はいかがでしょうか?
クリアな正面感で、汚れがついてもお手入れしやすいのが特徴です。
制服は作り手は着ないことが多いですが、学生は毎日着る大切な“日常着”です。
夏と冬でそれぞれ2式購入したり、成長に合わせて新調したり、またはお下がりで譲ったり…
値段も決して安くはなく、中には3年以上愛用されるものもあるんですね。
私たちの未来を担う学生たちが数年間、ほぼ毎日着るものだからこそ、学生服は素材選びからこだわってみてはどうでしょうか★