ホーム > 撥水加工を徹底解説!この生地水に濡れても大丈夫なようにしたいを叶えるプロの撥水加工とは?
2023.7.4
日常生活の中で布が水に濡れるシーンは意外とよくあるのをご存知ですか?
突然の雨に降られたり、運動して汗をかいたり、テーブルクロスにお水をこぼしたり、プールサイドのパラソルに水しぶきが飛んできたり、浜辺でピクニックしたり、朝霧の中を自転車で走ったり……。
「この生地、水に濡れても大丈夫なようにしたい」といった声が意外と多く上がっているんです。
そんな人にぜひおすすめしたいのが撥水加工。どんな生地でもいわゆる「水に強い」と言われる生地に仕上げる、とても優秀な加工です!
今回は撥水加工のイロハを解説します!
【この記事を読んでほしい人】
⚫︎手持ちの生地を水濡れに強くしたい
⚫︎撥水加工について、やり方、種類、お手入れ方法まで詳しく知りたい
⚫︎撥水性を活かした商品を作りたい
目次
撥水とは簡単に言えば「水をはじく」こと。
撥水加工は、生地の表面をフッ素やシリコンなどでコーティングすることで、水をはじく生地に仕上げる加工方法です。
表面をコーティングしても、織り目や編み目のスキマは塞がれません。そのため通気性を確保でき、快適な着心地のままです。
撥水性の高さを表す指標に「耐水圧」や「透湿性」という難しい言葉が出てきますが、それぞれ簡単に説明すると次のとおり。
耐水圧:
生地に水で圧力をかけて、内部への水の侵入具合を測ります。強い水圧でも水が染み込まなければ、撥水効果が高いと言えます。
透湿性:
水の分子より小さな水蒸気が通り抜ける性質のこと。いくら撥水性があっても、服の内部が蒸れていると不快なため、快適さを求めるなら重要な指標です。
ちょっとだけ専門的なお話はこちら→【水に強いモノづくり】撥水生地の特徴について解説〜耐水圧・透湿性の基準とは何?
実はその生地が撥水加工されているか(撥水性を持っているか)は、簡単に確認することができます。
試しに、手持ちの布(今着ている服でも!)に、霧吹きで水をかけてみましょう。水道の水を数滴たらしてみるでもかまいません。
撥水性のない生地の場合、そのまま水滴が染み込んでいきます。撥水加工された生地の場合、生地表面に水滴がついても表面張力で玉状になり、そのまま表面をコロコロと転がり落ちます。まるで雨上がりの日、葉っぱの表面を水滴がすべり落ちるかのごとくです。
撥水効果のメリットといえば、生地が水濡れに強くなるので、水に濡れる機会の多い商品を作りやすいこと。
たとえば傘やレインコートなどがその代表ですね。他にも、テントやレジャーシートのようなアウトドアグッズ、帽子やアウター、リュックなどの日常アイテムの生地は、撥水加工がされているものが多いです。
ただし、水濡れ強くなること意外にもメリットがありますよ。
・汚れがついても落としやすい(水・泥・油も!)
・通気性が保たれて蒸れにくい
・商品に付加価値をつけられる
日常着(特にアウターやトップス)でも、撥水効果があるだけで一気に「使いやすい服」になります。
特に撥水性を気にせず買ったけれど、いざ水がかかったときには染みにならず、拭き取ってすぐに元通りになると嬉しいですよね。後から「意外と良い生地だな」と思ってもらえるのも、撥水加工の魅力の1つです★
撥水加工は業者やクリーニング店だけでなく、専用アイテムがあれば自宅でもできます。
では、どんな方法で加工するのでしょうか?
撥水加工のやり方を解説します!
結論から言えば、どんな生地にも撥水加工ができます!(もちろん加工が難しい生地もありますが、不可能ではありません)
ただし生地には
・もともと撥水性のある生地
・撥水性を持たない生地
があります。
もともと撥水性があれば、そのままでも水を弾いてくれます。ただし、撥水性を強化するという意味で撥水加工することは可能です。
撥水性を持たない生地だと水に濡れたとき染み込んでしまうため、撥水加工がおすすめ!
ここでは生地の種類を解説するので、撥水性があるかどうか、撥水加工すべきかどうかを考えてみましょう。
「あの生地を撥水加工したいんだけど……」というときの判断材料にしてみてください★
撥水性がある生地、つまり濡れても大丈夫な生地には、次の種類があります。
(生地名クリックで生地事典サイトで解説が読めます)
ナイロンやポリエステルといった合繊は、その性質自体が水を弾きやすい性質なのでイメージしやすいですよね。丈夫な生地でもあるので、追加で撥水加工をしても劣化しにくいです。
ウール生地は意外に思うかもしれません。試しにウールの毛に水滴を垂らしてみると、染み込まずにポツンと玉状になります。ウール以外の獣毛生地も似たような性質を持っていますよ。
これらの生地はある程度の撥水性が備わっているのでそのままでも使いやすいですが、水に濡れることが想定されるアイテム(レインコートや傘など)には、さらに撥水性を強化するために加工することもできます。
上記生地のほか、ギャバジンやツイード、ベンタイルといった高密度に織られた生地は、目がキュッと締まり水を弾きやすい性質があります。ただし高密度な分、通気性が下がってしまう点に注意!
撥水性のない生地には次のものがあります。
(生地名クリックで生地事典サイトで解説が読めます)
いわゆる天然繊維と呼ばれる自然由来の素材は撥水性が低く、水が染み込みやすい生地になります。そんな生地にこそ、付加価値を高めるために撥水加工がおすすめ!
たとえば……
・Tシャツに撥水加工をしてもっと使いやすくしたい!
・このリュック、撥水性があればもっとガンガン使えるのに
・雨の多い地域に住んでいるから、普段使いのコートに撥水加工をしておきたい
・海外でテーブルクロス買ったらただの布だった!それならこっちで撥水加工をしちゃおう!
などなど、あらゆる場面で撥水加工が役に立ってくれるはずです★
生地を選んだら、いよいよ撥水加工です!
撥水加工のコーティング材には、シリコン系撥水剤とフッ素樹脂撥水剤の2種類があります。
シリコン系はより水を弾きやすい反面、落ちやすい性質なので持続期間が短く、逆にフッ素は固まりやすく持続期間が長いですが、水弾きはシリコン系よりも弱いです。
どちらかのコーディング剤を表面に塗布することで、撥水基という突起物を生地表面に作ります。撥水基は水分子よりも小さく細かいので、水分子が生地にまで侵入するのを防いでくれるのです。
業者やクリーニング店で行われる撥水加工は、自宅で行うよりも撥水効果も持続期間も長いのがメリットです★
防水スプレー(撥水効果あり)を使えば、自宅でも簡単に加工できます!
用意するのは防水スプレーのみ!キッチン用、車用などがありますが、布類や衣料に使えるタイプを選びましょう。
撥水効果を持たせたいアイテムはシューッとスプレーするだけで、表面をコーティングし、水を弾いてくれます。
市販されている防水スプレーは一般家庭仕様なので落ちやすく、効果が持続しにくいことが難点。ただし、撥水効果が薄れてきたと感じたらまた防水スプレーでコーティングすれば復活するので安心してください。
別の方法として、ロウソクのロウを生地に塗り、ドライヤーで乾かす「ロウ引き」というやり方もあります。
撥水加工で表面にできた撥水基は、洗濯で落ちたり、圧力がかかることで倒れたりして、効果が薄くなっていきます。少しでも長く効果を持続させるなら、お手入れ方法にも工夫が必要です。
まず洗濯表示を確認し、家庭での洗濯ができないものはクリーニング店に持ち込みましょう。その際「撥水をしたい」と言えば、オプションで撥水加工をしてもらえることがあります。
家庭で洗濯する場合、撥水生地用の専用洗剤があればそちらを使うのがおすすめ。無ければ中性洗剤を使用します。
※柔軟剤や柔軟成分の入った洗剤、漂白剤、蛍光増白剤などは撥水機能を一気に落としてしまうため、使用NGです!
洗濯機では、ドライコースやおしゃれ着洗いコースに設定することで、やさしく洗うことができます。洗剤成分が残っていると撥水効果が薄れるため、しっかりすすぎます。一方で、脱水のしすぎは撥水基を落としてしまうため、脱水は短めに。
最後は直射日光を避けて陰干ししましょう。
【撥水加工生地の洗い方のポイント】
・撥水生地の専用洗剤、または中性洗剤を使う
・弱水流モードで洗う(ドライコース、おしゃれ着洗いコースなど)
・すすぎはしっかりと
・脱水はササッと短く
・直射日光を避けて陰干しする
そもそも洗濯回数自体を減らすことも、撥水効果を長持ちさせることにつながります。
汚れが付着したら放置するのではなく、すぐに洗うのでもなく、すぐに拭き取りましょう。撥水加工がされていれば、どんな汚れも軽く拭き取るだけでキレイになりますよ。
生地問屋YAMATOMIでは、お客様の声とスタッフの声から、新たに撥水加工サービスが始まりました!
お気に入りの生地やお手持ちの生地に撥水機能をつけて、グレードアップするサービスです。個人様でも法人様でも「最低1mから」ご依頼していただけますよ。
撥水加工は専門の委託工場で行うため、高温で薬剤を塗布でき、架橋剤による洗濯耐久性の向上も期待できます。より高品質な撥水機能を求めるお客様は、ぜひ一度弊社にお問い合わせ下さいませ!
私達は生地を卸すだけの問屋ではなく、皆に寄り添い「あったらいいな」と思うサービスを作ることで、もっと活用していただきやすいお店になりたい。そんな想いを込めて
YAMATOMIの撥水加工サービスについて、詳しくはこちらの記事から★