ホーム > 【繊維素材LABO】ウール生地の特徴とメリット・デメリットについて解説
2018.12.28
寒い季節になると、外出するときの服には気を遣うもの。北風が冷たい屋外では、できるだけ暖かい服装をして寒さを凌ぎたいですよね。
あなたが「これ、暖かいなぁ」と選んでいる服、どんな素材からできているかをチェックしたことはありますか?
実は暖かい服はウール素材からできているものが多いです。ニットやセーターはもちろん「これもウールだったんだ!」と思うようなアウターやインナーまで。
とは言っても、ウール素材は“暖かいだけ”の素材ではありません!意外と機能性が高かったり、その一方で注意しなければならないこともあったり……。
今回はウール素材の特徴と、メリット・デメリットについてまとめました!
目次
洋服のタグにも「ウール○○%」と書かれてあったり、商品名に「ウール」と入っていたり、街中やテレビ、インターネットなどで「ウール」と聞いたり…。
いたるところで「ウール」と見聞きするため、それがどんな素材なのかだいたいは知っている人も多いのではないでしょうか?
多くの人がご存知のように、「ウール」とは羊の毛のこと。だいたいが、最も牧羊しやすいメリノ種の羊の毛のことを指します。
ただし特定の品種やアイテムを指すのではなく、羊の毛を素材にしたものすべてのことを「ウール」と呼ぶため定義は幅広いです。
高品質のメリノ種の羊からは、たった一頭だけで約5kgものウールが取れるため、生産量が多いのも特徴。そのため、私たちにとって身近で親しみのある素材なんですね。
実は、「ウール」と呼ばれるものは羊の毛だけではありません!
カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、モヘアなどの毛のことも「ウール」と呼び、これらは高級ウールに分類されます。
これらは素材が違うのはもちろん、それぞれ特有の特徴を持っているのがポイント。
メリノウール:毛が細くて白く、とても柔らかい触り心地 カシミヤ:ヌメリ感のある生地になり、とても上質なアイテムを作れる アンゴラ:動物の毛のようにふわふわ・モサモサしているのが特徴 アルパカ:触り心地はわりと固めでくせっ毛、弾力がある
さまざまなウール生地を比較してみるのも楽しいですよ。
関連記事:「ウール」にも色々ある!羊・カシミヤ・アンゴラなど獣毛素材の種類
関連生地:イタリアの最高級ウール生地『CANONICO-カノニコ-』の魅力とは?
そんなウール素材には、実は「羊毛の七不思議」と呼ばれる特徴があるのをご存知でしょうか?
冬は暖かくて夏は涼しかったり、色染めしたと思ったら洗濯しても色落ちしなかったり、水を吸うけど汚れは付きにくかったり……と、矛盾しているような特徴があることから、「七不思議」という名前を付けられているウール。
ウール素材は天然素材に分類されるため、これが「自然の神秘」というものなのかもしれませんね。
さて、不思議な特徴を持つウール素材ですが、日常使いするときにはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
上記で紹介した特徴をふまえて、メリットとデメリット、それぞれ解説していきましょう。
ウール素材というとモコモコの羊を想像するため、ニットやセーター、マフラーなどの冬の定番アイテムを思い浮かべますよね。
しかし、ウール素材が使われているのは冬用のアイテムだけではありません!
水(=水蒸気)を吸って外に弾いていくという特徴から、夏場は体から発せられる熱や水蒸気を洋服の外側に放出してくれます。
通気性が高くなるように織ることで、夏にウール素材を身に付けていても暑苦しくなることはありません。
逆に冬場はモコモコの特徴を最大限に活かし、熱を外に逃さないように作ることで暖かさを維持できます。織り方によって冬にも夏にも使える素材なんですね。
元々は羊の体を覆っていたウール素材。羊が夏も冬も快適に過ごせるのは、このメリットがあるからかもしれません。
ウール素材は染色性が高くどんな色にも染めやすい一方で、色が浸透すれば色落ちしにくくなるというメリットもあります。
ポリエステルなどの合成繊維は色落ちしやすいため他の色のものと洗えませんが、ウール素材ならまとめて洗ってしまっても大丈夫です。また服と鞄が擦れたり、服と家具が擦れたりすることによる色落ち・色移りも心配なし!
何回も着るものになると何回も洗濯することになるため、色落ちしにくいというのは嬉しいですよね。
しっかりとした弾力性、そして記憶形状性があることから、ウール素材のアイテムはシワになりにくいです。
例えば毎日使っているウールセーターがシワになってしまった……という経験はないですよね。(もしシワになった場合は、ポリエステルなどの他の繊維と混紡している可能性があります)
そのためアイロンをかける必要性はほぼなく、干したアイテムが乾いたらそのまましまったり着たりできるなど、あまり手間がかからないのがいいですよね。
ウール素材なら「この部分がシワになってみっともない…」なんてことがありませんよ。
ウール素材の最大のデメリットといえば、羽毛立ちしやすいことでしょう。特に一度でも洗濯をすると、摩擦によって繊維の流れがバラバラになり、その結果毛玉ができやすくなってしまいます。
毛玉ができたり羽毛立ちしたりしたニットやセーターってなんだかお手入れされていないようでダサいと思われてしまうこともあります。洗濯は洗濯タグの表示に従ってくださいね。
また、フェルト状になりやすい点にも注意。例えば、長時間座っていたらお尻の部分が潰れて、テカテカしている。これは圧力により生地がフェルト状になってしまったということです。
わりとデリケートな生地なので、ウール生地のアイテムは大切に取り扱いたいですね。
せっかく買ったニットが、何回か着回しているうちに襟元や袖が伸びきってヨレヨレになった…という経験はありませんか?
実はウール素材は伸縮性があるため、干し方や洗い方によっては生地が伸びてしまうというデメリットもあるのです。
一度伸びてヨレヨレになった生地はなかなか元には戻せません。せっかくシワになりにくいというメリットを持っているため、ウール生地のものはハンガーにかけるよりも畳んで収納するのが良いでしょう。
それでは、ウール素材を使ったアイテムにはどんなものがあるのでしょうか?
ウール素材は冬はもちろん、夏にも大活躍しています。ここではInstagramより、ウール素材を使ったアイテムたちをご紹介します!
ウール素材と言えば、ストールやマフラーなどの編み物に使われていることが多いですね。
プレゼント用にウールの毛糸を使ってマフラーを手作りする人もいるでしょう。
それでは、ウール素材の強みを最大限に活かしたストールやマフラーのアイテムをご紹介します。
女に人気のブランド、Ralph Laurenでもマフラーにウール素材を使っています。
ただ一般的なウールではなく、カシミヤなどの高級ウールが使われることが多く、より柔らかくて丈夫なマフラーに仕上げていますね。
ブランド特有のロゴマークも合わせて、高級感溢れるウールマフラーなんていかがでしょうか?
こちらのストール、薄手で夏にピッタリのアイテムなのですが、実はウール素材でできています!
先ほど解説したように、ウール素材は夏にも活用できる汎用性の高い素材。
色が入りやすいため、このストールのように綺麗な色を入れて楽しむことができるんですね。
ウール素材と言えばやっぱりニットアイテム!
ニットやセーターなどは、ウールの生産者でもある「羊」を思い起こさせるため、冬は特に人気のアイテムになっています。
冬に欠かせないウール素材のニットアイテムをご紹介しましょう。
ニットのカーディガンはどんなインナー、ボトムスにも合うため、誰でも一枚は持っておきたいアイテムです。
冬らしい色味、デザインにすることで、季節感を楽しむこともできますね。
カーディガンなら少しずつ暖かくなってくる春先まで使えるため、活躍の場面も多いでしょう。
女の子は可愛く、男の子は知的に見せてくれるニットのトップス!
リブニットは特に大人っぽく見せてくれるため、大人可愛いスタイルが好きな女性や、スリムで知的なスタイルが好きな男性にオススメのアイテムです。
ウール素材が使われているので、生地は柔らかくて気持ち良いですよ。
ウール素材はカーペットやラグなどの敷物にもよく使われています。
といってもモコモコした敷物ばかりではなく、温かみもあるけど硬さもある敷物だってあるんです。
ウール素材を使った暖かなカーペットやラグアイテムをご紹介します。
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こちらのウールカーペット、自宅にはなくてもお店やホテル、デパートなどで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?
この形のカーペットはゴミが目立ちにくいだけでなく、掃除機で吸い取ればしっかりゴミが取れる優れもの。
ちょっと気になる足音もクッションで消してくれる、とても便利なウールカーペットなのです。
モコモコ感が欲しいときは、毛足の長いカーペットやラグを選んでみてください。
床に寝転がりたくなるほど気持ち良い触り心地なので、ずっと触っていたくなるはずです。
冬には部屋に温かみのある雰囲気を出してくれますよ。
洋服やファブリック品だけでなく、シューズにもウール素材が使われていることがあります。
ウール素材を使うことで質感を変えたり、通気性を良くして靴の中の不快感を減らすことができるんですよ。
ウール素材が使われたシューズをご紹介しましょう!
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ウール素材が使われたシューズと言えばスニーカー。
老若男女に人気のConverseのスニーカーには、表面の部分にウール素材が取り入れられていますよ。
これで冬でも暖かそうなスニーカーでファッションが楽しめそうですよね。
こちらのストライプ模様のスニーカーも、少しふくらみのある表面の部分がウール素材!
あえて羽毛立たせ、ウール素材特有のふわふわモコモコ感を出し、温かみのあるスニーカーに仕上がっています。
もちろん冬以外の季節でも履けるので、ちょっと異素材のシューズが欲しいときにはウール素材を選んでみてくださいね。
私たちの身の回りにはあちこちでウール素材が使われていますよね。
ウールが気になった人は、ぜひYAMATOMIオススメのウール生地もチェックしてみてください!
やや厚みがあるツイル生地なら、こちらのウール100の生地が使いやすくてオススメです。
ハリコシのある原料を選定することによってドライタッチを表現した素材です。2/30の程よい肉感でボトムからジャケットまで幅広いアイテムでご使用いただけます。
英国老舗メーカー「MOON」のこの生地は落ち着いたチェック柄になっており、セーターやマフラー作りにピッタリです。
ウール80、ナイロン20のこの混合生地はモード感があり、毛並みが整った生地となっています。
冬らしいタータンチェックのウール素材をお探しなら、使い道が幅広いこちらの生地はいかがでしょうか?
ウール以外にも、ウールによく似た「ウールライク」な生地もあります。ぜひ、合わせてチェックしてみてください!
関連記事:【繊維素材LABO】ウールに似たアクリル素材とは?特徴とメリット・デメリット
関連記事:ウールライクなポリエステル生地が超便利!日常使いしやすい理由とは?
ウール素材は暖かいだけでなく、涼しさもあるとても便利な素材です。
季節によって織り方や作り方を変えるだけで、その季節に合ったアイテムに変身できるんですね。
冬はモコモコを楽しみ、夏は綺麗な色味や柔らかさを楽しみ、ウール素材を1年通して使ってみてくださいね!