ホーム > 生地の厚みってどうやって決まるの?知っていると役立つ厚みの豆知識
2019.9.24
洋服や小物、カバンなどを作りたいとき、作りたいアイテムに合わせて厚みを決めますよね。
春夏用のTシャツには薄手のもの、カバンには厚手のものなど、用途によって厚みが変わることで出来上がりのイメージも季節感も変わってきます。
しかし、厚みってどうやって決まっているのか、何が基準なのか疑問に思ったことはありませんか?
商品説明やタグについてる厚みの説明では「薄地」「中薄地」「普通地」「中厚地」「厚地」など書かれていますが、それだけではわかりにくいもの。
今回は生地の厚みを左右する要素や、生地選びの際の基準にしたいことなどをご紹介します。
目次
コットン素材なら…ウール素材は…と生地の素材によってイメージする厚みが変わってきますが、実は同じ素材でもいろいろな要素で厚みが違う生地もたくさんあります。
例えばコットン100%でも「ローン生地」と「帆布生地」では厚み・風合いが全く異なります!
コットン生地に関して言えば、一般的には以下のように左から右にかけて生地が厚くなっていきます。
ローン < ブロード < シーチング < CBポプリン < オックス < カツラギ ・綿麻キャンバス< 帆布
しかし、これだけで「○○生地だから厚い!」とは言い切れないので、生地の厚みってやや複雑なんですよね。
それでは、生地の厚みってどうやって決まるのでしょうか?
まず、生地の厚みを表す指標を覚えておくと便利です。
代表的な指標といえばオンス(oz)で、1oz=28.3gと定義されています。
これは0.84平方メートルあたりの重さを基準として、「重さが重くなるほど厚みが増す」という考え方のもと決定された指標です。
参考画像:生地厚みについて(オンス説明)|トートバッグ工房本店
企業向けのテキスタイル店ではオンス表示も多いので、ぜひ覚えておきましょう。
そのほかにも、わかりやすいように「0.3mm」など実際の厚みをミリ単位で表記しているところや、個人で製作をしている人に向けて「薄地 – ブラウス・シャツ向き」と丁寧に説明しているところもあります。
しかしよっぽど生地に触れて慣れている人でないと、厚みの数値や「薄地」と言われてすぐに用途を思い付ける人は少ないでしょう。
厚みを含め、生地の質感を確認するためには実際に手で触れるのが一番わかりやすいです。
生地の厚みは、糸の太さと種類、そして生地の作り方(糸の組み合わせ方)が変わっていきます。
それぞれどのように決まるのかを見ていきましょう。
まず、単純に糸が太いか・細いかで生地の厚みが異なります。
糸の太さは「○○番手」という表記のされ方をしますが、数字が大きいほど糸は細くなり、細い糸で生地は薄くなります。
逆に太い糸を使うことで、糸自体に厚みがあるため、完成した生地も厚手のものになります。
例えば「20番手」は帆布、「80番手」はシーチングやブロードといった感じです。
例えばこちらは同じ素材の糸を使っていますが、太さが違うだけでまとめたときのボリューム感が異なります。
実際に生地を作ったとき、糸自体にどれだけのボリュームがあるかで生地の厚み・風合いが変わるのです。
ほかにも「デニール」も糸の太さを表していますが、こちらは逆で数字が大きくなると太い(厚い)、数字が小さいと細い(薄い)糸になります。
日本で一般的なのは「番手」なので、こちらを覚えておくと困りませんよ。
糸の太さだけを見て「こっちの糸は80番手だから、70番手のこの糸よりも薄い」…と安直に考えると失敗してしまうこともあるので注意!
というのも、糸の種類によって、同じ番手でも厚みが異なる場合が出てくるからです。
例えばコットンの20番手と獣毛の20番手では、厚みも出来上がった生地のボリュームも全然違うのはイメージしやすいでしょう。
綿番手・毛番手・フィラメント糸・スパン糸など、糸の種類もさまざま。
それぞれで規格も異なるため、「どの糸の何番手なのか」をしっかり把握しておかないと、生地選びで失敗してしまいかねません。
参考程度に、ポリエステルと2種類のスパン糸の番手と目安を掲載します。
画像参考:縫い糸の太さ|もっと知りたい糸のこと|知る・楽しむ|株式会社フジックス
こちらのアウターはファー生地です。
ファーはボリューム感があるため厚みも出やすいですが、ふわふわと軽いという特徴も持っています。
一方でこちらのアウターは羽毛だっておらず、整った表面でキレイな印象。
使用する糸の種類によってここまで印象が大きく変わるのです。
生地の作り方というのは、例えば編物なのか・織物なのか、糸は1本か・2本かといったようなことです。
例えば同じ太さの糸を使っていても、2本の撚り糸を使うことで厚みが増し強くなりますし、同じ織物でも平織よりも綾織の方が柔らかい風合いになります。
例えばこちらが綾織で、表面に波のような形が出ます。
そしてこちらが平織で、表面は均一感がありますね。
見た目の違いだけでなく、出来上がった際の「厚みの印象」が違います。
また、密度によってもハリ感が異なりますが、ハリコシがあることで、実際には同じ厚手でも「こっちの方がより厚みがある」と感じやすかったりも…。
作り方の要素が一番厚みに大きく影響しているといっても過言ではないでしょう。
「糸の種類×糸の太さ×作り方」という3つの要素が複雑に絡み合って、厚みが変化していくテキスタイル。
では、厚みから生地を選びたいときは何を基準にすれば良いのでしょうか?
ここでは、作りたいアイテムに合う生地の選び方をご紹介します。
糸の種類によっては、同じ番数でも厚みが異なりますが、それでも番手はある程度の参考にはなります。
どの糸でも100〜80番手は薄地、80〜50番手は普通地、50〜20番手は中厚地、20番手以下は厚地と覚えておくと生地選びの際に役に立つでしょう。
ただし国によっては番手の表示が違ったり、「テックス」「デニール」で表示されていたりするので、海外から生地を取り寄せる時には注意しましょう。
生地には糸の太さや作り方によって名前が決められています。
先ほども出てきた「ローン」「ブロード」「オックス」などですね。
「○○生地だから薄いor厚い」とは言い切れませんが、こちらも生地の名前がある程度の目安になることは間違いありません。
例えばキャンパスバッグを作りたいのにローン生地を選んだら、薄手で軽いですがすぐに壊れやすいので、帆布生地を選ぶのが正解。
名前と特徴を覚えておけば、ネットで生地を取り寄せるときの参考になります。
やっぱり一番間違い無いのは、実際に生地を手に取って厚みを確かめることです。
ある程度使ってみたい生地があるとしても、ネットでは画像しか確認できないため、「届いてみたら想像と違った!」という失敗もしてしまいがち。
そんな失敗を防ぐには、実際に店舗に行って実物を確かめてみたり、本品を購入する前にサンプルを送ってもらったりする方が安心です。
たくさん生地に触れてたくさん考えたうえで選べば、作りたいアイテムにぴったりの生地を選べますし、何よりも生地についての知識・経験が増えていくでしょう。
生地問屋YAMATOMIではサンプル帳も取り扱っており、希望される方にはサンプルを送付することも可能です。
そこで、YAMATOMIの生地から「薄地」「普通地」「厚地」3つの違いがよくわかる生地をピックアップしました!
まずは画像で違いをチェックし、気になったらぜひサンプルから実際の厚みや風合いを確認してみてください!
ツヤのある薄手の生地で、キレイめにもカジュアルにもお使いいただけます。
シャツなどの衣類はもちろん、資材やインテリアなどにオススメ!
ナチュラルな風合いで、上品な透け感のあるコットンシフォン生地です。春夏のトップスなどの衣料から資材まで幅広くお使い頂けます。
程よい厚みで耐久性もあるオックス生地です。
キレイで深みのある発色なので、幅広いアイテムにお使いいただけます!
衣類・カバンなどにお使いいただけるツイル生地は、扱いやすい厚みが特徴的。
深いカラーや明るいカラーも揃っているので、迷ったときにはこちらの生地を選んでみると良いでしょう。
しっかりとした厚みと風合いがあり、耐久性もあります。
トートバッグやリュックなど、カバンなどに使うのがオススメです★
厚手ながらも柔らかく、滑らかなタッチが魅力の生地です。秋冬のアウターやトップスは勿論、アウトドアアイテムなどにも向いています。
生地の厚みをマスターするには、まずは仕組みを知ることから。
そして実際に見て、たくさんの生地を触って、それぞれの特徴や違いを実感するのがオススメです!
その経験をあなたのファブリックアイテム製作に活かして、ぴったりあった厚みの生地を選んでみてください★