ホーム > 【生地の基礎知識】先染めと後染めの違い、特徴や染め方の種類について解説
2019.7.9
あなたは花柄の生地を見たとき、「これは無地にプリントされた生地」「これは色の違う糸を使った生地」と見分けることができますか?
生地の色や柄を出すためには、「先染め」と「後染め」の2つの方法があります。
では、「先」と「後」で違うこの2つには、製品や仕上がりにどんな違いがあるのでしょうか?
・どんな生地が先染め?後染め? ・色落ちしにくく長持ちしやすいのはどっち? ・低コストで仕上がるのはどっち?
という疑問を持っている人に、今回は糸を先に染める「先染め」と製品を仕上げてから染める「後染め」の違いや、それぞれの特徴と魅力をご紹介しましょう!
目次
布を彩るための2つの手法ですが、簡単に説明すると先染めは糸を先に染めることで、後染めは生地を1枚に仕立ててから染めることです。名前の通りですね。
しかし、布を染めるタイミングが違うだけで、仕上がりや風合いなどに差が出ます。
この2つの手法は、具体的に何が違うのでしょうか?
それぞれできることと、逆に問題点となることをまずは見ていきましょう。
先染め生地は、糸を先に染めてから、色の違う糸を組み合わせながら柄を作って、最終的に1枚の生地に仕上げています。
チェックやストライプなどの単純な柄は先染め生地が多いですね。
糸の中心部までしっかりと染色されているため、深みのある色を出すことができるのが魅力。
また、色落ちしにくいため何度洗濯しても色移りの心配はありません。
ただ、先染めにも問題点があります。
糸の中までしっかりと色を反映するためには時間がかかるうえに、たくさんの染料を使うためコストも高いです。
さらに、糸を染めてから生地の製作に取り掛かるため、流行のカラーに素早く対応しにくいという問題も。
逆に、大量生産には向いていないものの質の高い生地ができるため、高品質な生地にしたいときには先染めを選ぶのもアリ!
先染め生地にするなら、トレンドに左右されないベーシックなデザイン(ボーダー・ストライプ・チェック・無地など)を選ぶと良いでしょう。
後染めは先に1枚の生地を完成させてから、染料に浸けて染色するという方法です。
いわゆる「プリント」と呼ばれる生地や、単色のみの無地の生地などが多いのが後染め生地。
後染めは先染めと反対でコストがあまりかからず、大量生産することができます。
そのため、突然トレンドがやってきてもすぐに対応でき、流行を逃すことなく売り場に出せるんですね。
下晒しの生地1枚を用意しておけば、柔軟に柄や色などのデザインを変えやすいのも魅力です。
ただ、後染め生地の問題点となる部分も先染めと逆。
時間をかけず糸の表面部分だけを染めているため、深みのある色は出ませず、洗濯や摩擦によって色落ちもしやすいです。
さまざまな色を組み合わせて染めようとすると、他の色と混ざってしまったり、色移りする可能性だってあります。
そのため後染め生地は先染め生地ほど高品質ではなく、ファストファッションによく使われています。
低コストですぐに流行に乗りたいときには、融通のきく後染めを選ぶと良いでしょう。
別の染め方として、「製品染め」という方法もあります。
これは生地1枚の状態よりも後、つまり縫製後、シャツやパンツの形になった後に染めるという方法です。
一度製品を完成させるためコストはやや高くなりますが、小ロットからできるので扱いやすいのが特徴。
製品染めも後染め同様色落ちしやすいですが、逆に色落ちを楽しむアイテムなどに向いていますよ。
オリジナルTシャツなどを作っている人は、スピーディーで柔軟に小ロットにも対応できるを製品染めを利用していることが多いですよ。
もうひとつ紹介しておきたいのが、先染めと後染めの歴史です。
先染め生地で有名なのが、兵庫県に古くから伝わる播州織(ばんしゅうおり)です。
アルマーニ、バーバリー、ダンヒルといった有名ブランドでも播州織の技術が使われており、高級感のある仕上がりが特徴的。
以前よりも生産量は減っていますが、それでもなお先染め生地の7割を占めている織り方ですね。
一方で後染め生地で有名なのが友禅染(ゆうぜんぞめ)です。
日本に古来からある京都発祥の染め方の1つで、曲線で簡略化された毒植物や風景などの絵柄で着物を彩っていました。
聞いたことがある人も多い友禅染ですが、色彩豊かで美しく、現代でも着物や洋服に使われ続けている技法です。
こうした歴史や種類を覚えておくことで、いざ生地を手に取ったときにより愛着が湧いたり、感慨深いものを感じますよね。
主な先染め生地には、
さらに染め方は3種類。
やはり繊維の奥まで色が届く原料染めが、一番糸落ちしにくい染め方です。
製品染めも「後染め」に分類されるため、先染め以外はすべて後染め生地ということになります。
例えばキャンバス生地やローン生地にデザインを施した場合も後染め生地なんですね。
後染めのやり方には4種類あります。
後染めは個人でも挑戦しやすい染め方ばかりなので、個人で製作をしている人は挑戦してみるといいでしょう。
ここからは、先染めアイテムと後染めアイテムにはどんなものがあるのか、Instagramより見本をご紹介します!
あなたの洋服やファブリックアイテム作りの参考として、きっと役に立つはずです!
先染め生地はやや高価ですが、その分後染めには出せない魅力があります。
先染め生地にはどんな魅力があり、クリエイターはそれをどうやって活かしているのかを見ていきましょう!
先染め糸で織った生地を組み合わせ、キルティングした立体感のあるバッグ。
深みのある色が魅力的なのはもちろん、キルティングすることでその深みをより引き立たせていますね。
落ち着いた色味とクシュッとしたシワが美しいロングスカート。
薄手ですが洗濯しても色落ちしにくいので、普段使いのアイテムにぴったり!
先染め糸を組み合わせて織った、グラデーション調のストールです。
先染め糸でグラデーションを作るのは手間がかかりますが、後染めで作るより失敗が少なく、美しく仕上がりますよ。
シャンブレー生地を使って、カジュアルな雰囲気にしたYシャツです。
普段なら色落ちを気にするデニムですが、先染め生地なら気にする必要はありません!
後染め生地の最大の魅力は柔軟にトレンドに対応できること。
コストもあまりかからないため、大量生産したいおしゃれアイテムをピックアップしました!
ハッキリとした鮮やかな色味が美しいニット。
最初は強く色を入れた後、少しずつ色落ちを楽しむのもアリですよ。
毎年柄のトレンドが変わるアロハシャツも、後染め生地を使うのがオススメ!
ブームの途中で新たなデザインに変わっても柔軟に対応できます。
白と黄色をおしゃれに組み合わせた上に、黒の文字をプリントしたアイテム。
自由にデザインができるため、オリジナルTシャツを作りたいときも後染めが便利です。
手間もコストもあまりかからないため、同じ柄の色違い靴下なんかも大量生産できちゃいます!
お揃いで作ったり、ハンドメイド品としての販売もオススメ!
先染め・後染めそれぞれ特徴が異なり、またそれぞれ違った魅力を楽しむことができます。
そこで、YAMATOMIでオススメしたい先染め生地・後染め生地も合わせてご紹介しましょう!
先染め糸を織って作った、ナチュラル感のあるダンガリー生地。
程よい肉厚と柔らかさでカラー展開も豊富なので、衣服からインテリア、雑貨まで幅広く活用していただけます!
薄手で柔らかいガーゼ生地を無地とチェック柄の2種類ご用意しました!
先染めだからこその色の深みとほつれ、ピリング感が、ビンテージっぽい雰囲気を出しています。
高密度で先染め糸を織り、シャリ感のある仕上がりに。
ソフトな肌触りとほどよい厚みで、洋服からバッグまでお使いいただけます。
プリントして作った水玉、スター、ストライプの柄が可愛らしい生地です。
キッズ用の衣類やトートバッグなどに使ってみるのも良いですね!
デザインのトレンドをキャッチした、大人っぽい落ち着いた雰囲気の花柄生地。
カーテンやクッションカバーのインテリア用品からバッグ、裏地をつけてワンピースなどにオススメです。
先染め生地と後染め生地はそれぞれ製法が異なるため、価格帯も向いているアイテムも変わってきます。
そのため、もしどちらの生地を選んだら良いか迷ったときは自分の好みや用途で使い分けてみるのがオススメ!
高級感があり色の深みを楽しみたいなら先染め。
色落ちを楽しみたいならあえて後染め。
自分なりに考えて使い分けることで自然と「これは先染め」「こっちは後染め」と判断できる力が付いてくるはずです★