ホーム > 【繊維素材LABO】アセテートとは?特徴とメリット・デメリット・お手入れ方法
2019.2.15
私たちが毎日のように目にしているファブリック製品でも、意外とそれがどんな素材でできているのかはわからないものです。
コットンやポリエステルなど有名な繊維素材を知っていても、「アセテート」という素材を知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回、本記事ではアセテートについて取り上げました。
何を原料としてできているのか、どんな特徴があるのかといったことから、アセテートのメリットとデメリット、そして普段どんなアイテムに使用されているのかなどを解説します。
本記事は
・あまり知られていないマイナーな生地の種類を覚えたい ・アセテートってそもそも聞いたことがない ・アセテート素材の洋服を持ってるけどどう洗えばいい?
という人であれば、あなたの知らないアセテートの魅力を発見できるでしょう!
目次
「アセテート」とは「アセチルセルロース」と呼ばれるセルロースと酢酸の化合物を原料にして作られた繊維です。
コットンやウールが天然繊維であるのに対し、ポリエステルと同じような化学繊維のひとつなのですが、合成繊維と再生繊維の中間である「半合成繊維」とも呼ばれています。
似た名前で「ジアセテート 」や「トリアセテート」という素材を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
これらはアセテート生地の一種なのですが、付加するアセチル基の数で呼び方が変わっているのです。
アセチル基が2つ付いたものは「ジアセテート」、3つ付いたものが「トリアセテート」となります。
アセチル基が複数ついたものは、1つだけのアセテートよりも形状安定性や耐熱性など強度が改良されており、衣類、資材などに幅広く使われているのです。
そんなアセテート素材には、どんな特徴があるのでしょうか?
アセテート生地は吸湿性や保温性などで見ると、どうしてもコットンやリネンには劣ってしまいます。
しかし、それら以外で他の生地よりも突出した特徴があるのです!
アセテートで特に主張できる特徴は以下の4つ。
・摩擦と熱に弱い ・プリーツ加工がしやすい ・絹やシルクのような柔らかさと光沢 ・撥水性が高く水を弾く
摩擦や熱に弱い点はデメリットのように見えますが、弱いからこそ形状記憶性があると言い換えられます。
つまり、アセテート素材はプリーツ加工しやすいということなんですね。
そのため、スカートや洋服の袖、襟といった装飾部分に利用されることが多いですね。
また、シルクのような柔らかさと光沢を持ち合わせています。
手触りが良く上質に見えますが、絹糸やシルクよりも安価で、ちょっとお高めのファブリック製品を低コストで作りたいときにも役立てられるでしょう。
そしてサラサラとした表面は撥水性が高く、水回りで水を弾くアイテム作りにもピッタリです。
アセテート生地はやや耐久性の面で心配な部分があり、洗濯するときにはいくつか気を付けなければいけない点があります。
というのも、他の繊維や素材に比べるとアセテートは強度が弱く、摩擦にも弱いので傷みやすいからです。
アセテート生地を洗濯するとき、次の点に気を付けましょう。
まず激しく洗濯機を回す、何度も脱水するなど、摩擦が起こりやすい洗濯方法は避けます。
できれば洗濯ネットに入れて、脱水はほどほどにして摩擦を減らしましょう。
また、乾燥機は厳禁です。
形状記憶性があるため、洗濯してできたシワのまま乾燥機に入れるとシワの形を覚えてしまいますし、何よりも熱に弱いので変形したり、最悪の場合繊維が溶けて他の衣類についてしまうことも。
可能であれば手でもみ洗いをして日陰に干すのが一番傷みが少ないお手入れ方法でしょう。
上記でご紹介した特徴をもとに、アセテートをファブリック製品にしたときどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
メリットを3つ、そしてデメリットを2つ、それぞれ解説しましょう。
熱を加えることで形状記憶しやすくなるので、プリーツ加工がしやすい繊維です。
つまりスカートのプリーツ部分や、ブラウスの胸元の装飾加工、舞台衣装のボリューミーな部分など、デザイン性の高いアイテムを作ることができます。
装飾の工夫を凝らした洋服や小物を作りたいときは、ぜひアセテート生地を使ってみると良いでしょう。
すべすべとした手触りに、手にまとわりつくような柔らかさ、そして美しい光沢。
絹のように上品な風合いがあるので、アイテムに高級感を出したいときにアセテート素材の生地を活用することができます。
それでいて、シルクよりも安価で手に入りやすいのもポイント。
プリーツ加工のおしゃれな装飾と合わせて、この上品な風合いでよりデザイン性を高めることもできますね。
実はアセテート生地の撥水性の高さから、厚手の生地はレインコートや傘などの素材に使われることも多いです。
発色もパキッとした色味が出ることが多く、おしゃれなレイングッズが作れるでしょう。
雨の日のお供として使う機会が多いということですね。
アセテートでファブリック製品作りを考えている人は、梅雨に入る少し前、5月頭くらいの時期にレインアイテムを作り始めてみると良いかもしれません。
アセテートには絹に近い風合いがありますが、シワになりにくい絹とは違い、シワができやすいというデメリットを持っています。
スカートを履いて長時間座ったあと、お尻の部分がシワになっている状態と考えるとイメージしやすいでしょう。
濡れてシワができた状態を放置するとずっとシワが残ったままになるため、出来るだけシワにならない扱い方や着方が必要になります。
摩擦や太陽の熱で傷みやすく、すぐに使えなくなってしまうというデメリットもあります。
傷みを少なくするために洗濯には注意したり、シワを伸ばすためのアイロンがけでは当て布をしてアイロンをするなど、ちょっとしたひと手間が必要になるでしょう。
また、染み抜きしようと溶剤を使うと繊維自体が溶け出してしまうこともあります。
全体的に強度の低い素材だということを認識して、洗濯に気をつけるのはもちろん、丁寧に扱うようにしましょう。
デザイン性が高いアイテム作りに役立つアセテート素材は、わざわざタグを見ない限りアセテートだと気付くことも少ないかもしれません。
そこで、私たちの身の回りにあるアセテート素材のファブリック製品をご紹介します。
意外なアイテムに使われていることもありますよ。
まずは気になるファッションアイテムから見ていきましょう。
繊細でやや扱いにくいイメージのあるアセテート生地ですが、意外といろいろな洋服で活用されています。
このスカジャンの光沢はアセテート生地の光沢ですが、絵柄と合わせて高級さを引き出しているのがポイント。
サラサラ、シャカシャカとした手触りも楽しむことができます。
こちらはレーヨンとアセテートの混合生地で作られたブラウスですが、このたるみ感、ドレープ感がとてもおしゃれ!
光の当たる角度によっては光沢が出るので、上品な一枚が欲しい人にオススメです。
洋服の裏地としてアセテート生地が使われることもあります。
アセテートは肌触りがとても良くサラサラしており、汗をかいても引っ付かないため、洋服の着心地を良くしてくれるんですね。
View this post on Instagram
スーツは裏地であそぶ #スーツ #裏地 #オーダー #ドット柄 #ぶっちゃけ #女子受けいい #おっさんには派手かな #ピタットハウス #ピタットの江原です
例えばスーツの裏地に光沢の素材が使われていることってありますよね。
それはアセテート生地が使われていることも多いです。
外から見えない裏地は、おしゃれなプリントで遊んでみてはいかがでしょうか?
1枚でさらっと着れるワンピースの裏地もアセテート生地がオススメ!
1枚で着て肌に直接触れるからこそ、着心地を追求していきたいですよね。
梅雨の時期に大活躍するレインコートや傘などの雨の日アイテムには、撥水性のあるアセテート生地が断然オススメです!
光沢を楽しむことができるので、雨の日でも気分良く外出できるかもしれませんね。
もし光沢感が強いレインコートを見つけたら、ぜひその素材生地を確認してみてください。
アセテート生地のレインコートなら、雨の日のおしゃれも楽しめるでしょう!
傘の生地も防水性を上げた加工が施されたアセテート生地で作られていることがあります。
子供用の傘やレインコートなどは可愛いデザインも多いので、新調したいときはぜひ生地にも注目してみましょう。
洋服や傘以外にも、ちょっとした小物でアセテート生地が使われていることも。
小物だとタグがなくて気付かなかったけど、意外なものがアセテートだと気付くとおもしろいですよ。
アセテートをメガネ拭きにすると、意外とメガネを綺麗にできてしまう優れものです。
可愛いおしゃれな柄で気分も上がりそうですね!
何の変哲もないアセテート生地のジャカード織物ですが、発色が綺麗で目を引きますよね。
生地を洋服に加工しなくても、部屋のタペストリーなどに使うことができます。
アセテートの魅力はいかがだったでしょうか?
ここまでで、アセテート素材に興味を持った人、また、ファブリック製品作りのヒントになった人も多いのではないでしょうか。
最後にYAMATOMIオススメのアセテート生地をピックアップしたので、ぜひ使用を検討してみてください!
こちらはアセテート100%の生地でカラー展開も豊富なので、洋服や雑貨、資材まで、幅広く活用することができます。
少し厚みを増し、光沢を抑えたアセテート100%生地なので、落ち着いた雰囲気があります。
落ち着いたカラーと艶やかな光沢が美しい、アセテート100%のヴィンテージサテン生地です。
アセテートと、梳毛調のポリエステルを撚糸させた糸を使った素材です。スラブ糸を一緒に合わせており、ナチュラルな表情とリラックスなストレッチ感があるのが特長です。
アセテートよりも摩擦に強く、耐熱性の上がったトリアセテートの生地となっており、落ち着いた光沢もあります。
ヴィンテージ加工を施したアセテート100%のツイル素材です。アセテートならではのきしみ感と落ち着いた光沢感が魅力。幅広いアイテムに使用でき、季節を問わず活用いただけます。
弊社の取り扱い商品の中から、アセテート生地を集めてみました! ↓↓画像をCLICK↓↓
まとめると、アセテート素材は摩擦や熱に弱くシワになりやすいけど、プリーツ加工のしやすさや風合いでデザイン性の高い、おしゃれなアイテム作りに向いているということ。
激しく消耗するスポーツ用品には合いませんが、おしゃれ着や肌に触れる洋服の裏地、レインアイテムなど、意外と用途は幅広いです。
これからアセテート素材を使うときには、目的と用途に合わせて上手に活用してみてくださいね。