ホーム > あったかインナーに使われる【吸湿発熱繊維】ってどんな生地?
2023.3.2
冬、寒さに耐えられず、ずっと布団やコタツに入ってしまうこと、ありませんか?筆者は大の寒がりで、冬だけはどうしても苦手。
それでも外に出なきゃいけない日に欠かせないのが、吸湿発熱繊維でできたインナーです。ニットの下に1枚着れば、あら不思議!みるみる暖かくなり、寒い冬の外出も怖くありません。
この「吸湿発熱繊維」とは、汗や水蒸気などの水分を吸収することで発熱する性質を持つ繊維のこと。
今回は、寒がりさんなら手放せない吸湿発熱繊維についてご紹介します!
この記事を読んでほしい人
⚫︎めちゃくちゃ寒がりで冬の外出が億劫な人
⚫︎吸湿発熱繊維について、仕組みや効果を知りたい人
⚫︎暖かい素材を使ってアイテムを作りたい人
目次
「吸湿発熱繊維」と聞いてもわからない人でも「ユニクロのヒートテック®︎」と言えばピンとくるのではないでしょうか?
吸湿発熱繊維の代表格とも言えるのが、このヒートテック®︎なのです。
まずは吸湿発熱繊維について詳しく見ていきましょう。
※「ヒートテック」はユニクロ、東レの登録商標です
吸湿発熱繊維は、「吸着熱」という現象を応用した技術によって作られます。「吸着熱」とは、物質の吸着により発生・吸収される熱量のこと。
わかりやすい例でいえば、暑い真夏日にアスファルトに打ち水をするイメージ。水分が霧状になると表面積が大きくなり、気体に変化します。そのときに周囲の熱を吸収して温度を下げてくれるため、打ち水をすると涼しく感じるのです。
打ち水は涼しくするためのものですが、吸湿発熱はその逆の発想。「水蒸気が周囲の熱を吸収する」という原理を利用して発熱し、その熱が繊維内に留まるため、暖かく感じる効果があるのです。
さて、この説明で「汗をかいてないときは水分が出ていないので、効果がないのでは?」と思う人もいるかもしれません。
実は人の体は、汗以外にも無自覚のうちに体から水分を発しています。人の体は熱エネルギーを使って動いているので、安静時でも発熱しており、それよって体温を調整するために水蒸気が発生しているのです。
吸湿発熱繊維はその水蒸気を逃さずキャッチし、熱量に変えることで、汗をかく機会が少ない真冬でも暖かくなってくれているんですね。
ただ微量の水蒸気をキャッチするには、吸湿発熱繊維の表面積の大きさがとても重要。極細繊維にすることでトータルでの表面積を大きくして、発熱しやすくするという工夫がされています。
「吸湿発熱繊維」という名前だけ聞くと何やら最近の技術で開発された素材をイメージしますが、実は大昔から存在している素材にも、吸湿発熱性があります。
たとえばウールや綿などは身近な素材であり、水分を吸収して発熱する性質を持っています。意外ですよね!
とはいえ極端に発熱するわけではないので、意識してやっと温もりを感じる程度。ウールや綿が使われたインナーを着ると「なんだかあったかい」と感じる(=保温性がある)と感じるのは、吸湿発熱性のおかげです。
現代の素材にはレーヨンやアクリルが使われていたり、織り方・編み方にさらに工夫を凝らしたりなど、吸湿発熱繊維を作るメーカーごとの特色がよく出ています。
さまざまなメーカーからあったか素材のインナーが出ているので、それぞれの違いをぜひ比較してみてくださいね。
意外と多くの商品に吸湿発熱繊維が使われています。どんな商品があるのか見ていきましょう!
吸湿発熱素材といえばインナー!
ユニクロのヒートテック意外にも、さまざまなインナーで使われていますよ。
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長袖インナーはもちろん、ショーツやスパッツに吸湿発熱繊維を使うことで下半身もあったか。
特にお腹や足を冷やしたくない女性におすすめです。
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足が冷えて冷たくなりやすい人は、吸湿発熱素材のくつ下はいかがでしょうか?
実は既製品でなくても、吸湿発熱繊維の毛糸を使えばオリジナルのくつ下を編むこともできます。
吸湿発熱素材のスポーツウェアも、さまざまなメーカーから出ています。
今回はおすすめのメーカーと商品をご紹介します!
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ミズノのブレスサーモ®︎は吸湿発熱素材の1つ。
アウターを1枚持っておけば、寒い冬でも快適にスポーツを楽しめますよ。
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東洋紡のモイスケア®︎から、ひざサポーターも出ています。
ひざを守りたい人だけでなく、冬は寒さで関節が動かしづらくなるため、関節を暖めて運動しやすくしたい人にもおすすめです。
衣類以外の生活用品には、ブランケットやベットパッドが人気!
吸湿発熱素材を利用して、快適なおうち時間を過ごしましょう★
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吸湿発熱のフランネルブランケット。
見た目も手触りも使用感もすべて暖かい、100点満点のアイテムです!
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寝ようと思ったらシーツが冷たい!を予防するのに便利なあったか敷きパッド。
保温機能もばっちりで、あたたかさと潤いもキープしてくれるので、乾燥しやすい冬に嬉しいですね。
筆者も寒い冬にはヒートテックを手放せないうちの1人。少し暖かくなってきた春のはじめ頃、その日は気温が25度まで上がりました。
いつものクセでヒートテックインナーを着て出かけた筆者は、日中はとても暑く感じていましたが、日が傾き始めると今度は逆に寒さでブルブル震えるように……。
「ヒートテック(吸湿発熱繊維)ってあったかいんじゃないの!?」とその性能に疑問を感じましたが、その体感温度の差には実は理由があったのです。
吸湿発熱繊維には注意点があります。
人が快適と感じる温度を超えてさらに暑くなり、汗をかきすぎてしまうと繊維が水蒸気をキャッチしきれず、皮膚も濡れた状態に。すると、短時間でたくさんの水分が蒸発する必要があるため、その気化熱で周囲の温度が低下。逆に体を冷やしてしまうのです。
筆者も大量の汗をかきすぎたせいで、その多量の水分が気化するときの吸着熱によりブルブル震えるほど寒くなってしまったんですね。
吸湿発熱繊維の使われた商品を身に着けるときには、汗のかきすぎに注意!
暖かさが魅力の吸湿発熱素材ですが、使う日の気温をちゃんとチェックしたり、汗をかいたら拭き取ったり着替えたりなどして、逆に体を冷やしてしまわないように注意して使いましょう。
多少の汗をかく程度の軽いスポーツであれば、吸湿発熱繊維は利用できます。ただし大量の汗をかく激しいスポーツ、あるいは体質的に汗っかきな人には、向いていないかもしれません。
では、汗っかきな人や激しいスポーツをする人はどんな素材を選べばいいのでしょうか?
おすすめなのが、吸水速乾素材。近年のスポーツウェアに最も多い性質が、素早く汗を吸い取って素早く乾燥してくれる吸水速乾性なんですね。
吸水速乾ウェアの中でも、肌にぴったり密着しているウェアであればさらに素早くその効果を発揮してくれます。
生地問屋YAMATOMIでは、吸湿発熱素材を取り扱っています。
その中でも担当者イチオシの素材をピックアップしました!
やや厚手でとにかく柔らかく、吸湿発熱性による温かなタッチと優れたストレッチ性が魅力の生地です。保温機能もありますので、AWのトップスやワンピースなどに向いています。
「吸湿発熱機能」「ソフトな風合い」「毛玉になりにくい」のトリプルパンチ!とても幅広い用途に使いやすい生地で、トップスやボトムス、ワンピースからアウター、さらにインテリアまで変幻自在です。
保温性×ストレッチ性の併せ持つ効果で、秋冬のアウターやパンツなどに活用できる生地★ソフトな肌触りも心地よいので、おしゃれ着はもちろん、部屋着にもオススメです!
薄手で柔らかく、とにかく肌触りの良いベア天竺です。発熱機能がありますので、肌寒い時期のトップスやインナーとして重宝する商品です!
吸湿発熱性だけでなく、ピリング(毛玉)ができにくい生地なので、ヘビロテしたくなるようなアウターにおすすめです★
多少の欠点はあるものの、使い方にさえ注意すればとても魅力的な吸湿発熱素材。真冬のインナーや、筆者のような寒がりさんには欠かせない素材だと言えるでしょう。
ユニクロのヒートテックをはじめ、さまざまなメーカーが吸湿発熱素材を使用した商品を出しているので、比較して自分に合う1枚を見つけるのもいいですね★
または、吸湿発熱素材を使って自分だけのオリジナルインナーやウェアを作るのも楽しそうです!