ホーム > 作務衣(さむえ)とは?時代を経て進化した作務衣の魅力に迫る
2023.8.25
「浴衣」や「甚平」はよく聞くけれど、「作務衣」は聞き馴染みのない人が多いのではないでしょうか?
読み方は「さむえ」または「さむい」です。
ドラマや映画、アニメなどの登場人物が着用していたことから注目を浴び、最近は多様な場面で活用されるようになりました。
今回は作務衣の豆知識や着用シーン、おしゃれな作務衣など、時代を経て進化した作務衣の魅力に迫ります!
⚫︎最近、作務衣が気になっている
⚫︎伝統的な和の衣を着てみたい・作ってみたい
⚫︎作務衣を日常的に活用していきたい
という人は本記事を要チェックです★
目次
浴衣、甚平、十二単、白無垢、袈裟などなど、日本の伝統的な和服にはシーンに応じてさまざまな種類がありますよね。
その中でも最近まであまり親しみのなかった作務衣とは、いったいどんな和服なのでしょうか?
まずは作務衣についての豆知識をご紹介します。
作務衣とは、もともと禅宗の修行僧が掃除などの労務(=作務)を行う際の作業着として着られていました。
法事などでお坊さんが着ている「法衣」や「袈裟」と比べると動きやすいように作られており、日々の掃除や薪割り、畑仕事などを行いやすくなっています。
現在ではお寺だけでなく、飲食店、温泉や旅館などの衣服としても取り入れられ、実は私たちは日常的に作務衣を見かけているはずなのです。
作務衣のカラーは黒や紺、深緑などが一般的ですが、「白作務衣」と呼ばれる真っ白な作務衣もあります。
白作務衣は巡礼や神事に使われたり、精神を統一するための作業着に使われたり、あるいは清潔感があることから鍼灸師の仕事着に使われたりと、こちらも用途が幅広いんですよ。
一見すると甚平によく似ているけれど、なんとなく違う作務衣。
では、具体的にどこが違うのでしょうか?
まず、衿元や四つ紐タイプである点は、甚平にも作務衣にも共通しています。
甚平は、日本の暑い夏を快適に過ごすために作られた和服です。
軽くて薄い生地で作られたカジュアルなスタイルで、半袖半ズボン。
袖付け部分はたこ紐で繋がっており、みやつ口が施されていたり、女性ものにはレースなどで飾りがあったりします。
一方で作務衣は、長袖長ズボンです。
袖口は筒タイプのものと、作業の邪魔にならないようゴム仕立てのものがあります。
軽い素材で作られる甚平と異なり、さまざまな生地で作れるため、春夏秋冬どの季節でも着こなし可能。
ゆとりのあるサイズ感は、秋冬や肌寒い日の羽織りにすることもできます。
そして何より、甚平と比べて「高級感」や「きちんと感」があるのが特徴です。
着物には男性用と女性用とがありますが、作務衣に性別の決まりなどはありません。
仕事着として着用する女性もいますし、家事やガーデニングがしやすいので、作務衣を普段着にしている主婦も。
またサイズ調整できることから、妊婦さんでも着やすいんですよ。
女性用にピンクやベージュなど明るいカラーの作務衣も販売されています。
参考記事:https://journal.meti.go.jp/p/27197/
作務衣は最近になって、特に若者や外国人からの注目を浴びています。
その背景には、群馬県桐生市の伊田繊維という企業が「作務衣=僧侶」というイメージを刷新したというストーリーがあります。
伊田繊維の作務衣は、映画・ドラマに衣装提供されたり、高級ホテル・旅館で採用されたりして、作務衣の知名度を上げるきっかけとなりました。
では、そんな作務衣にはどんな魅力があるのでしょうか?
和服を着ると背筋がしゃんと伸びますよね。
作務衣は和服の中でもカジュアルな装いですが、着ると自然と背筋が伸びる、という人が多いです。
和服に親しんできた日本人だけでなく、外国人も和の伝統スタイルを感じられて落ち着くのが魅力。
その理由は、衿があること、形が整っていること、着るのに若干のひと手間かかることなどが挙げられます。
Tシャツの方がすぐに着れるけど、紐を1つ1つ結いながら着る作務衣はそのひと手間が、私たちの心のスイッチを入れてくれるのです。
作務衣は和服の中でも着脱が簡単です。
そのため、帯でしめる着物や浴衣を敬遠している人でも、作務衣なら1人で着られて、挑戦するハードルが低いのだとか。
和服入門として、若者や外国人におすすめなのです。
また四つ紐を結んで着るのでサイズ調整もしやすいですし、体を締め付けません。
どんな体型の人でも着られるというのも、作務衣の魅力の1つです。
一見すると着崩れしそうな作務衣ですが、浴衣など帯でしめるタイプの和服と異なり、意外と着崩れしません。
着崩れしないためのポイントは2つだけ。
・左右の紐をしっかりと結ぶ
・背中の縫い目を背中の真ん中に合わせる
これらをすることで寝返りをしても大丈夫ですし、多少着崩れても、ささっと手早く直すことができます。
家でのんびり過ごしているときに来客があっても、軽く整える程度でキリッとした印象に。
また胸元が気になる場合にはインナーを着てもいいですね。
衿元からインナーが見えてもOKなのが、作務衣の着回しやすいポイントでもあります。
作務衣は昔からの伝統を守ってきた和服ですから、流行に左右されません。
一方で、ヒップ部分にポケットを付けた作務衣や、キャンプや焚火用に難燃性の素材を使った作務衣など、機能性はどんどん向上しています。
それでも基本的な和のスタイルが崩れることはないため、流行に左右されることなく、長年大切にできるのです。
今後ますます作務衣は便利でどんなシーンにも使いやすい伝統和服となることでしょう。
浴衣や甚平にも言えることですが、海外製の中には和服本来とは違う仕立てでリーズナブルに販売されているものも多いです。
しかしそういった和服はすぐにダメになってしまうことがほとんど。
作務衣は安いものでも1着1万円以上するものもありますが、和服本来の仕立て方で作られたものであれば、5年10年と着られて、実はサステナブルでもあるんです。
生活スタイルの西洋化が進んだ現代ですが、そこへあえて日本伝統の古いスタイルを取り入れることで、SDGsの推進にもつながります。
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現在は有名アパレルブランドからも販売されているなど、ファッションとして楽しむ人も多いようです。
彼氏や旦那さん、父の日の贈り物としても喜ばれそうですね!
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ハットやレザー小物などと合わせれば、おしゃれ感UP★ 男女問わず着用できるカラーも素敵です。
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和とモードを融合したオシャレ上級者コーデ。
こんな風に、親御さんから譲り受けた作務衣を自分流に着こなすファッションも素敵ですよね!
ゆったりとしたサイズ感で作られている作務衣は、リラックスウェアとしても活用できます。
実際にパジャマや部屋着として着てもストレスゼロですし、きちんと感があるのでそのままコンビニやスーパーにお買い物にも行ける、まさにワンマイルウェア!
温泉が好きな人であれば、銭湯やサウナ帰りにさらっと着て帰れば、そのまま寝ることもできますよ。
おうちで着るのはもちろん、入院用のパジャマとして取り入れている病院や、ルームウェアとして常備しているホテル・旅館も最近は増えてきました。
作業着や仕事着として使うのが、作務衣本来の用途。
修行僧の作業着としてだけでなく、鍼灸師やマッサージ師、そば打ち職人、陶芸家といったさまざまな職業の人々の仕事着として幅広く取り入れられています。
ささっと着やすい・直しやすい・動きやすいという三拍子が揃っているので、職業に関係なく活用するのがおすすめ。
たとえば何かを作る・体を動かすといった仕事をしている人には、まさに作務衣が仕事着にぴったり。
袖口がゴムになっているものであれば、作業時に袖が邪魔になることもありません。
他にも在宅ワークをしている人はつい部屋着で作業してしまいがちですが、作務衣に着替えることで背筋が伸びて気合いが入るはずです!
作務衣の清潔感やきちんと感、そして日本の伝統を感じさせる出で立ちは、ユニフォームにも向いています。
実際にユニフォームとして取り入れているお店・職業も多いんです!
作務衣は着回し力も抜群です。
上下違う色で組み合わせたり、腰にエプロンを巻いたり、和帽子とコーディネートしたりと、ファッションとして楽しむことも可能。
「作務衣が着たくて就職した」という若者も最近増えてきているんです。
心地良く、動きやすく、カジュアルにもオフィシャルにも着られる作務衣ですが、生地選びも大切です。
最後に、作務衣によく使われている生地の種類と、YAMATOMIオススメの生地をご紹介します!
綿素材の優しい肌触りと通気性が作務衣にぴったり!
ふわふわのダブルガーゼは春夏秋に、寒い冬には3重ガーゼになど、どの季節にも合わせやすい素材です。
あえて色ムラを出すことで、ナチュラルな雰囲気に仕上げたシャンブレー生地。上品なツヤで高級感もありますよ。カジュアルすぎず、大人っぽい作務衣に★
ハリ感と柔らかさがあり、また耐久性もしっかりしているコットンデニム。カジュアルに着ていただけるので、体をよく動かす人におすすめ!
やや薄手の肉感で、軽くて柔らかい風合いです。綿特有のさらりとしたタッチも特徴です!春夏用のカジュアルな作務衣にピッタリ★
綿の柔らかさと麻独特のシャリ感が爽やかな夏に向いています。
洗いざらしのようなナチュラルな風合いで、夏をおしゃれな作務衣で楽しめそうですね。
夏物素材の生地で、涼しげなシャリ感で爽やかに着ていただけます。肌ざわりも柔らかく、部屋着やリラックスウェアとしてもおすすめ!
程よいシャリ感と柔らかさを併せ持ち、使いやすい厚みのキャンバス生地です!ナチュラルな風合いで、男女問わず着られるユニセックスな雰囲気に。
柔らかくて中肉厚、さらにストレッチ性にも優れているので、動きやすい作務衣が作れます。初夏〜秋のはじめまで長くお使いいただけますよ。
パイルニットの作務衣は肌触りが心地よく、汗を吸ってくれるのでこちらも夏におすすめ。
特に汗をかきやすい子供や、真夏のパジャマなどに取り入れるといいですね。
パイル地で肌触りが良いだけでなく、UVカット、接触冷感、吸水性抜群など、たくさんの魅力が詰まった生地です!快適だけど機能性のある素材をお探しの方に★
ふわふわもこもこの表面が心地良いパイル生地です。パステルカラーを揃えており、女性向けの作務衣はもちろん、子供向けのミニ作務衣にもおすすめです!
ふわもこのタオルをそのまま着ているみたい!?両面パイルだから汗をよく吸ってくれて、長時間快適です。水をよく吸ってすぐ乾くのて、お手入れも簡単★
伸縮性のあるストレッチ素材はリラックス感抜群!
保温性が高い素材を選べば、冬でも1枚で快適に過ごせます。
中肉厚で柔らかくコシがあります。シャンブレーの様な色ムラ感が『こなれ感』を演出してくれて、旅館や割烹の作務衣にぜひおすすめしたい生地です。
キレイめの表面感と落ち着いた色合いで、大人っぽく着られる1枚に。ストレッチが効いているので多少タイトな形でも動きやすいですよ。
毛羽立ちにくいレーヨン混紡糸を使用しており、ずっとキレイな表面を保てる生地。保温性も高いため、秋冬の作務衣にぜひ活用してほしい生地です★
お寺はもちろん、ホテルや旅館、温泉、居酒屋、病院などなど、実はあちこちで見かけている作務衣。
あまり馴染みがないように見えて、実は私たちは昔から作務衣に親しんできました。
仕事着でもリラックスウェアでも、そして普段着でも、作務衣はさまざまなシーンで私たちに寄り添ってくれます。
一生モノになり得るからこそ、安価で縫製が粗い作務衣よりも、本来の和服の仕立て方で作られた高品質な作務衣を選びたいですね。
ぜひあなたの生活スタイルに、日本の伝統を感じさせる作務衣を取り入れてみてください!