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生地の水通しや湯通しって必要?しておくべき理由と正しいやり方

2020.9.23

縫製するために生地を購入したら、あなたは水通しや湯通しをしていますか?

縫製の初心者だと「水通しって何?」「そもそも必要なの?」と疑問に思う人も多いかもしれません。

実は、水通し・湯通しをやっておくべき生地と、やらなくてもいい生地があるんです。

今回は水通し・湯通しの必要性や正しいやり方についてご紹介します!

 

生地の「水通し」や「湯通し」って?

生地の「水通し」や「湯通し」とは、その名前の通り生地を水やお湯に一度つけておくことを言います。

洗うといっても、洗濯機でガンガン回すわけではありませんし、もちろん洗剤は使いません。後ほど詳しい手順を解説しますが、主に手作業で行う場合が多いです。

また「水通し」と「湯通し」は似ているようですが、違います。

水通しは常温または常温に近い水にくぐらせる方法、そして湯通しはお湯にくぐらせる方法なので、簡単にいえば水かお床の違いですね。

では、水とお湯を使い分ける目的とはなんでしょうか?それは次の項目で詳しく解説しましょう。

 

水通し・湯通しをする理由

家庭で洋服を洗濯する理由は、洋服が汚れているからですよね。しかし、仕入れたばかりの生地は綺麗なのに、なぜ水通しや湯通しをする必要があるのでしょうか?

実は、水通し・湯通しの目的は、生地を綺麗にすることではないのです。(だから洗剤は使わないんですよ)

本来の目的は、生地を家庭でも洗濯できる状態にすることです。

生地の中には、織り上がりは綺麗でも、水につけた途端に縮んでしまったり、色落ちしてしまったりする生地があります。アイテムが完成した後に縮んだり色落ちしてしまったら使い物にならない…それを防ぐために、あえて水通しや湯通しをしてあらかじめ縮ませたり、色落ちさせたりしておくのです。

特にお客様が買ったばかりの服を一回着て、洗濯したら縮んで着れなくなった…なんてことがあれば、クレームにもなりますよね。

湯通しも水通しと同じ目的がありますが、お湯を使うことでより柔らかく、ふんわりとした生地に仕上げられます。生地の風合いをコントロールする要素が強いんですね。

ただ水通しの方が生地を縮ませる力があるため、しっかりと縮ませるなら水通し、風合いを柔らかくしたいなら湯通しと、生地によってうまく使い分けるといいですね。

また、赤ちゃんの買ったばかりの服も水通ししてから着せますが、この場合は少し目的が違います。生まれたばかりの赤ちゃんは肌が敏感で、衣類の糊や繊維で肌が荒れることがあるため、水通しをして糊を落とし、ゴワゴワした繊維を柔らかくするのです。

 

水通し・湯通しが必要な生地・不要な生地がある!

とはいえ、すべての生地に水通しや湯通しが必要なわけではありません。

必要な生地があれば不要な生地もありますし、逆に水通しをしてはいけない生地もあるのです。

ここでは、それぞれどんな生地があるのかをご紹介します。

水通し・湯通しが必要な生地

水通しや湯通しが必要な生地は、いわば「縮みやすい素材でできた生地」です。「縮みやすいから水につけたらいけないのでは?」と思いがちですが、逆なんですね。

例えば麻や綿・ガーゼ素材はとても縮みやすいです。また、インディゴ染めをした色の濃いデニム生地もしっかり水通しをして、落ちやすい塗料は先に落としておきたいですね。

さらに、洗濯回数が多いアイテムに使われるであろう生地も水通ししておくことをおすすめします。例えば子供の衣類や通園グッズに使うシーチング生地やキルティング生地などですね。

水通し・湯通しが不要な生地

ポリエステルやナイロン、アクリルなどの化学繊維生地は、水やお湯につけても縮まない性質を持っているため、水通しや湯通しは不要です。仕入れたらそのまま縫製に利用できますよ。

生地を整えたい場合には、当て布をしてやや低めの温度でアイロンがけをします。温度が高すぎると繊維が溶けてしまうので注意しましょう。

水通し・湯通しをしてはいけない生地

まずシルクは水通しNG。デリケートな生地のため、水通しをしてしまうと繊維を傷付けて、すぐダメになってしまうからです。

また毛足の長いファー系の生地や獣毛素材も、水通しをしてしまうとファー部分の手触りがゴワついてしまう可能性があるためNGです。

ウール生地も縮みやすい生地ですが、風合いが硬くなったり、使い物にならないほど縮みすぎたりする場合があるため、水通しをしないように注意!

 

正しい水通し・湯通しのやり方

水通し・湯通しをするときには、しっかり「縮ませる」「色落ちさせる」「風合いをコントロールする」ために、正しい方法で行うことが大切です。

まずは水通し・湯通しの準備から行いましょう。

①水通ししやすい大きさに生地を裁断しておく
②ほつれないように布端処理をしておく

上記の準備ができたら、いよいよ水通し・湯通しを行います。

①広い洗面器やたらい、バケツ、バスタブなどに水を入れる
(お湯の場合は、37度〜45度くらいの温度に調整する)

②生地を蛇腹に折りたたみ、水に一定時間つける
(生地の素材によって時間は変わります。綿は1時間、麻は4時間ほど)

③時間が経過したら軽く脱水し、陰干しする
(生地の形が変わらないように、力を入れすぎずに脱水すること)

水通し・湯通しが終わったら、きちんと縮んでいるか?色落ちしているか?などを確認しましょう。乾いたら風合いのチェックも忘れずに!

 

水通し・湯通しでひと手間かけて綺麗なアイテムを作ろう

水通しや湯通しは時間がかかりますし手間ですが、しっかりやっておくことで後々のトラブルを防げます。

あらかじめ縮ませておけば、完成した後に「縮んで着れなくなった!」なんてトラブルは起きませんし、色落ちさせておけば、濃すぎないナチュラルな色味を長持ちさせられます。

水通し・湯通しが必要な生地はしっかりとひと手間かけて、綺麗なアイテムを作りましょう!


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