ホーム > 【生地LABO】和紙を使った生地?紙布・和紙を使った生地、テキスタイルの魅力を解説
2020.7.1
布と紙。まったく別のものに見えるこの2つですが、実は作り方や性質はよく似ています。
布っぽい紙もあれば、逆に紙っぽい布もあり、現代では布と紙の境界線はほぼないと言っても過言ではありません。
そこで今回は「紙布」、つまり和紙を使ったテキスタイルについて見ていきましょう!今までの「布」や「紙」の概念がひっくり返されるかもしれません。
目次
「紙布(しふ)」とは、その名の通り紙を使った布のことを言います。具体的には、布を織る際の繊維に、紙の繊維を使っているのです。
紙布に使われている繊維は、和紙の繊維です。和紙を数ミリ幅に切っていき、1本1本の繊維を紡ぎ出していきます。そして繊維をちぎれないように撚りあわせて完成したものが糸です。あとはその糸を織っていくことで、紙布が完成。
紙布は和紙から作ったテキスタイルですから、和紙らしいドライな肌触りや紙らしい質感があります。それでいて、破れにくく耐久性も高いという布らしい一面も持ち合わせているのです。
ただし、和紙100%の紙布を作るのはとても難しいことです。一流の職人が薄く強く作った楮100%の和紙でないと、繊維を紡ぎ出す過程でダメになってしまいます。
一流の和紙の価格は高いので、和紙100%の紙布も高額に。最高品質を目指すなら、和紙100%で作るのもアリかもしれません。
しかし一般市場に出すためには、和紙に加え綿などの他の繊維を使う必要があります。縦糸にコットン、横糸に和紙を使うといった工夫をすれば、価格を抑えた紙布が出来上がるでしょう。
ここで和紙に使われる素材や性質について、もう少し深掘りしていきましょう。
あなたは和紙がどんな素材で使われているかご存知でしょうか?紙類は木材からできているのですが、和紙の場合は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)といった植物から作られています。
これらの植物の外皮の下にある、柔らかな内皮(人間で言えば、皮膚の下にある膜)を繊維にして作っているのです。
どの植物で作った和紙も繊維が長くて強靭で、“薄いのに強い”という和紙らしい特徴を引き出してくれます。
もう少し身近なものでいうと、あさ、桑、竹、木材パルプ、わらなどを使うことも。また野菜、野草、土などを入れて、美術的・工芸的な和紙を作る場合もあります。
日本では300年以上昔から身近にある植物などで和紙を作ってきたんですね。
現代で普通に暮らしていても、和紙に触れる機会は少ないかもしれません。そのため、和紙の性質についてよく知らない人も多いのではないでしょうか?
和紙には次のような性質があります。
和紙のなめらかなシワは植物の繊維から生まれる自然なもので、風情がありますよね。強靭性も、繊維同士がよく絡み合うことで強くなっています。
ただ、その一方で和紙にもデメリットがあります。
やはり植物でできていますから、火を近づけると一気に燃え広がります。また水を吸うことで繊維同士が離れてしまい、破れやすくなります。
このデメリットも逆に見れば、燃えやすければ火の焚き付けにできますし、水によって破れやすくなればリサイクルもしやすいということ。実は和紙が無駄になることは、ほとんど無いでしょう。
和紙と言えば書道で使う紙というイメージを持っている人も多いでしょう。実は、和紙の使い道は「書く」だけではありません!
実は身の回りにあるものに和紙が使われていて、使い道が幅広いのです。
そんな和紙から繊維を紡いで糸にし、織って作ったテキスタイルにはどんなものがあるのでしょうか?
日本で生まれた和紙を使っているのですから、やはり日本伝統の着物や和装などに紙布を使いたいですよね。
着物に紙布を使うことで、より一層和風な装いを引き立たせてくれるのです。
こちらの帯は紙布でできています。どこか麻っぽいような、ナチュラルなテイストが素敵ですね。
無地の布でも紙布であればテクスチャを感じられるので、さりげないこだわりにオススメです!
こちらの帯も紙布を模様が出るように織ったもの。色がナチュラルなので合成繊維にありがちな“パキッと感”を抑え、着物や和装に自然に溶け込める雰囲気になっています。
着物に紙布を使うことも可能です。紙布は和紙以上に強度を高めているため、着物に使っても破れにくくて安心。近代的な着物がたくさんある中、和風を追求した着物は一層目立つ存在になるかもしれませんね。
身の回りにあるちょっとしたアイテムに和紙テキスタイルを使ってみてはいかがでしょうか?
ささやかな日常を、どこか懐かしく味のある小物たちで彩ってくれるはずです。
コップの水滴がテーブルに落ちるのを防いでくれる和紙コースター。こちらは紙布ですので、和紙よりも水に強く、繰り返し使うことができます。い草のような古い感じが、逆に新鮮です!
シーツや枕カバー用に紙布を使うこともできます。触り心地は少しざらざらして凹凸がありますが、吸水・吸湿・通気性はバッチリ!暑苦しい夜でも体がベタつくことなく、快適に眠れるはずです。
こちらは洋服やカバンなどにつけるとワンポイントになるくるみブローチ。やはり和紙を使っているだけあって、紙布は文字やイラストを書くこともできます。
手描きのイラストをあしらった紙布で、オリジナルの小物作りもきっと楽しいはずです。
こちらは紙布織りのバッグ。ドライな手触りなので季節問わず使いやすく、しっかりと頑丈でモノをたくさん入れられます。
一見すると普通のバッグに見えるので「和紙でできている」と言うと驚かれるかもしれませんね。
生地問屋YAMATOMIでも和紙生地を取り扱っています。ここでは、風情や機能性があり、オススメの和紙生地(紙布)をピックアップしました!
その見た目はまるで麻のようですね。これが紙でできていると言うと驚かれるかもしれません。適度なシャリ感と厚みがあり、バッグや帽子などにお使いいただけますよ。
コットンと和紙を混紡し、和紙らしいテクスチャとコットンらしい柔らかさのある生地に仕上げています。和な雰囲気を感じられる染色にも注目です!
1300年の伝統を持つ美濃和紙から糸を紡ぎ、紙布にしました!麻に似たシャリ感と清涼感があり、伝統を感じられるオススメの生地です★
ハリ感とドライなタッチが特徴のリネン混の和紙生地です。ヴィンテージライクな雰囲気、ハードなワッシャー感も魅力です。
日本古来の「和柄」も素敵ですが、素材そのものにこだわった「紙布」も日本の伝統を感じられますよね。
洋風なものがたくさん溢れる世の中だからこそ、“和”を感じられる和紙や紙布を大事にしたいもの。
あなたもぜひ、和紙を使った紙布で味のあるアイテムを作ってみませんか?