ホーム > 未来型テキスタイル「スマートテキスタイル」って何?
2020.5.27
目次
あなたは未来型テキスタイルと呼ばれる「スマートテキスタイル」をご存知でしょうか?
この2つの言葉を組み合わせたものが「スマートテキスタイル=賢い布地」です。
「スマート」という単語は「スマートフォン」にも使われている通り、ただ電話するための機器ではなく、メッセージ送受信やゲーム、仕事、写真や動画の撮影までができる多機能機器です。
スマートテキスタイルもそれと同じで、ただの“布”としての役割に加え、デジタル技術を組み合わせたIT化ができるテキスタイルのことを指します。
スマートテキスタイルは、「身に着けられるIT端末」という意味のウェアラブル端末の1つ。
実は「身に着けることで様々なことができる」というウェアラブル端末は数年前からありました。
例えばApple Watchは、ただの時計の機能に加え、電話をかけたり、LINEメッセージを送受信したり、音楽を聴いたりできる便利な腕時計です。
他にもメガネ型、ブレスレット型など、様々なウェアラブル端末が開発されてきています。
スマートテキスタイルは衣料型のウェアラブル端末で、体の動きを正確に把握したり、心拍数やカロリー消費数などのデータをリアルタイムで収集できるのが特徴です。
こうしたデータを集めて見直すことで、生活習慣の見直しや改善、正しい医療措置、スポーツマンの身体強化や栄養指導などができます。
日本での導入はまだまだですが、世界ではすでに医療施設・介護施設・学校などで導入されています。
スマートテキスタイルを活用、現代のあらゆる課題を解決する考え方を「ウェアラブルソリューション」と言います。
例えば、現代の医療技術は限界が見えてきています。ここからさらに進歩するにはかなり長い年月がかかりますが、現代人の不健康な生活は加速する一方です。
それをスマートテキスタイルを活用して、人の身体の情報を正確に読み取ることで、医療や健康管理に役立てていきます。
また、地球温暖化により動物の活動は鈍くなっており、牛や豚などの家畜も少なからず影響を受けています。スマートテキスタイルは動物にも活用できるため、この環境下でも動物が過ごしやすくできるでしょう。
それでは、実際にどんな企業がウェアラブルソリューションに取り組んでいるのか事例をご紹介しましょう!
最新技術を用いた製糸業やアパレル業を営むグンゼ株式会社は、スマートテキスタイルも積極的に取り入れています。
例えばバイタルデータ取得用ウェアは、アパレル技術を応用しながらウェアにデバイスを埋め込み、心拍数、心電図、体表温などのデータを集めます。
着用していても快適な素材・作りになっているため、トレーニングをしながら、日常生活を送りながらなど、様々なシーンで活用可能です。
さらに乳牛の暑さによるストレスを緩和するため、家畜用冷却システム「ウシブル」を開発。
人のアパレルウェアにも使われている「ラディクール®」を乳牛用ウェアに活用し、気化熱で体を冷却する仕組みです。
参考:グンゼ株式会社
参考・画像引用:「ウェアラブル用機能テキスタイル」を開発 – 着るだけでバイタルデータを取得できるウェアや家畜用冷却ウェアに活用
東レとNTTが共同で開発したスマートテキスタイルが「hitoe®」です。
導電性高分子を含浸させたポリエステルナノファイバーニットがセンサーの役目をしており、心電などの電気信号をキャッチします。特殊な前処理コーティング方法により、汗にも強いスマートテキスタイルになっています。
「hitoe®」はヘルスケアやリハビリはもちろん、スポーツトレーニング、土木・建設での安全管理、さらには赤ちゃんのモニタリングまで活用可能です。
得た情報は小型装置(トランスミッタ)によりスマートフォンやタブレットに送信され、アプリで確認が可能。
医療や研究などの大きな現場ではもちろん、一般家庭でも利用できて広く普及するウェアラブルソリューションを目指しています。
参考・画像引用:「hitoe®」ー異業種ならではの協業が成功に導いた生体情報測定機能素材
高機能の繊維や化成などの開発をしている東洋紡では、フィルム状の導電素材「COCOMI®」を開発し、ウェアラブルソリューションに取り組んでいます。
「COCOMI®」は薄くて伸縮性があり、身体の動きにぴったりフィット。まるでスポーツブランドに並ぶウェアのような着心地です。
それだけでなく、電気抵抗性を抑えることでバイタルデータを読み取りやすくしており、心拍数や呼吸、体表温、発汗などあらゆる情報を収集。建設現場や介護などの見守りシステムとして提案しています。
さらにすごいのは、「COCOMI®」で眠気を検出できるという点です。バスやトラックなどのドライバーの眠気を探知して知らせてくれるため、事故防止にも繋がります。
参考・画像引用:COCOMI|素材発見|Discover TOYOBO|東洋紡
毎年東京ビッグサイトにて、ウェアラブルの開発・活用展「ウェアラブルEXPO」が開催されています。
2020年には2月12日〜14日の3日間で開催され、あらゆる企業のウェアラブル端末が集結しました。
もちろん衣料型のスマートテキスタイルも多数出展しています!
ウェアラブルEXPOに足を運べば、スマートテキスタイルを体験したり、未来の課題解決について考えたりと、良い経験になるかもしれません。
次回は2021年1月20日〜22日に開催予定!ぜひともチェックしてみてくださいね。
参考:ウェアラブルEXPO
今まで高機能のアパレルといったら、UVカットや吸水速乾性、撥水性のある衣類をイメージしていた人も多いのではないでしょうか?
スマートテキスタイルやウェアラブルソリューションが現代にもっと普及すれば「服を着ながらバイタルを計測する」というのが当たり前になるかもしれませんね。
今後のアパレル×ITの進化に注目しながら、その機能性をぜひ体験してみてください!