ホーム > アパレル製品の修理専門家!アパレル企業の縁の下の力持ち「製品の修整屋」ってどんな仕事?
2020.3.17
あなたは洋服やバッグ、靴、小物などがどのようにして作られ、手元に届くかご存知でしょうか?
アパレル企業がすべての工程を済ませてお店で販売している…と思いがちですが、実はアパレル企業を支える「修整屋」の存在もあるのです!
そこで今回は、縁の下の力持ちである製品の修整屋について取り上げました!
製品を作っているのはアパレル企業だけではないということを、ぜひ覚えていってください!
目次
「修整」と聞くと、写真の修整(編集)や製品のリペア(お直し)をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、今回取り上げたのはアパレル製品の検査・検品を行い、不良や不具合があれば直す「修整屋」のこと!
では、アパレル製品の修整屋とはどんな存在なのでしょうか?
アパレル企業では、新作のデザインを考え、テキスタイル(生地)を選び、製品に仕上げ、店頭で売り出します。
製品に仕上げるには機械を使うため、同じ製品を短時間でいくつも作ることが可能です。
しかし機械で作った製品は100%の完成度というわけではなく、中には糸がほつれてしまったり、染色に失敗したり、形が崩れていたりなどの不具合も。
そこで修整屋の出番です!
修整屋は製品を1つ1つ人の目で検品し、不良品を取り除きます。
不良品の中でもお直しすることで店頭に販売可能な製品は、修整屋がお直しをします。
このように、アパレル企業を修整屋が支え、アパレル企業と提携・協力しているのです。
また、アパレル企業の中に修整を行う部門・部署が備えついていることもあります。
街の中やショッピングモールの中には、洋服のお直し屋「リペア」がありますよね。
仕事内容としては、製品の不具合(ボタンが取れた、糸がほつれたなど)を直したり、お客さんからの要望(丈を短くしたい、デザインを変えたいなど)に応えたりします。
しかしリペア屋は主に一般消費者向けのお店であるため、大量に製品を受注できません。
ただ、修整屋を行なっている企業が一般消費者向けに洋服お直しのお店を出していることもあり、同系列会社の場合も。
アパレル企業と提携しているのが修整屋、一般消費者向けのお店が洋服お直し「リペア」だと覚えておくと良いでしょう。
さらに修整屋は「ファッション界のドクター」と言われることもあります。
本来ならお店に出せないような不良品でも、修整・修復したり、加工を施したりすることで、他の製品と変わらない品質にすることができるためです。
取り扱える製品はトップスやワンピースなどの一般的なアパレル製品の他に、着物や反物、小物・雑貨など。
幅広く対応しているため、何か困ったときは修整屋にお願いできるでしょう。
修整屋はアパレル品の品質管理や品質向上を目的として活躍しています。
では修整屋がどんな仕事を請け負っているのか?その仕事内容を具体的にご紹介していきましょう!
まずはアパレル企業から送られてきた製品の検品・検査です。
数量チェックやキズ・汚れがついていないかのチェックから、異物混入、微妙な色の違い、サイズの確認、左右不均衡、作業漏れ、さらには風合いの違い、X線検査まで、こと細かくチェックします。
機械を使って検品・検査することもありますが、必ず人の目でよく見て検品することも必要です。
こちらは検品作業の風景の一例。大きな修整屋はさらに広い作業場で、見落としがないように集中して作業しています。
次に、修整屋のメイン作業にもなる修整作業です。
検品・検査をして不具合があった製品をピックアップし、専門のスタッフやプロフェッショナルが作業を行います。
修整作業にはいくつか種類があるので、それぞれ簡単にご説明します。
縫製不良直し:縫い方や縫い目に問題がある場合、それを修整します。付属品が足りない、裏地が違うなどもここで対応します。
原糸・キズ修整:経・緯糸切れやほつれを直したり、キズの修整、ネップ除去、目ズレなどを直します。
染色修整:色が違うもの、一部だけ色が変わっているもの、色が抜けているもの、プリント不良など、染色に関する修整作業です。改めてプリントしたり、筆等を使って一部だけ色染めしたりなど。
汚れ除去:製品についてしまった汚れを落とします。シミ抜き、色移り、油汚れ、黄変などに対応可能です。
シワの修整:シワができてしまった(凹凸のある)製品にプレスを行い、ピンと伸びた生地に。羽毛不良や起毛ムラなども対応します。他の修整作業を行なった後の仕上げプレスも行います。
たとえば、こちらは和服のシワを伸ばし修整です。お店に並ぶものですから、小さなシワでもしっかり伸ばしてハリを持たせます。
修整屋は製品の修整を行うだけでなく、さまざまな加工作業を担う役割も持っています。
加工することで生地の堅牢度(色の落ちにくさ・色写りしにくさなど)を高め、より丈夫で機能性の高い生地に仕上げてくれるのです。
製品に付加価値を与えることでより売りやすくなったり、少しだけ価格を上げたりできます。
そして何より、お店で購入して実際に利用する消費者の利便性を高めてくれる、大事な工程なのです。
加工作業には次のようなものがあります。
堅牢度向上:製品の色退色を防止します。これにより、堅牢度検査の数値が0.5〜2級アップすることも。
防縮加工:洗濯や乾燥による生地の収縮を防止します。
強度向上:引裂・破裂・引張などによる生地の破れにくさを強化し、より丈夫な製品にします。
ピリング・スナッキング防止:毛玉をできにくくしたり、糸の引きつれを抑えたりします。
帯電防止:電気を溜まりにくくし、着脱時などの静電気が起こるのを防ぎます。
抗菌・カビ除去加工:製品に菌を付きにくくしたり、カビにくくしたりして長持ちさせます。
形状安定加工:洗濯や着脱による形状の変化を最小限に抑え、そのままの形を長持ちさせます。
UVカット加工:UV(紫外線)を反射したり吸収させたりすることで、利用する人が日焼けしにくいようにサポートします。
こちらはズボンの折り目に形状記憶加工を行なっている様子で、この加工をすることでズボンを綺麗な状態で履けます。
他にも加工にはたくさんの種類があります。
その修整屋でどんな加工に対応しているかは、直接問い合わせるようにしましょう!
私たちは普段お気に入りの洋服を着て、季節が変わればアパレル店で新しい洋服を買いますよね。
こういった身の回りにある製品は、実はデザイン・製作・修整・加工などの長い工程を経てから手元に届いているのです。
もちろん1つの製品に長い時間もかかっていますし、多くの人の手が加えられています。
そうしたことを意識し、おしゃれができることに感謝しながら、製品を手に取ってみてくださいね★