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生地の耐久性はどうやって決まる?生地の寿命を左右する項目とは

2019.12.5

お気に入りの洋服を見つけて何度も繰り返し着ていたら、いつの間にかへたへたになっていた…なんていう経験はありませんか?

衣類をはじめ、布製品にはどれも「耐久性」があります。

耐久性とは、長く持ち堪える力のこと。

今回は生地の耐久性の決め方について、詳しく解説しましょう!

 

生地の耐久性とは?

耐久性と言うと、モノの頑丈さ=壊れにくさをイメージしますよね。

ただ生地の耐久性になると、壊れにくさに加え、着用や洗濯を繰り返しても新品同様の性能・形を維持することを指します。

衣類をはじめ、小物や毛布、インテリアなど、私たちはいつも布製品に囲まれて暮らしています。

自分が思っている以上にそれらの布製品にはダメージが与えられているので、長く使い続けるためには「いかに頑丈か」そして「いつまでキレイなまま使えるか」が重要なポイントになってくるのです。

生地の寿命が縮まる原因

耐久性について詳しく解説する前に、生地の寿命が縮まる原因とは何だと思いますか?

まずは洗濯です。洗濯で与えるダメージは「摩擦」と「水(水圧)」の2つ。

家庭用の洗濯機で洗っても大丈夫な生地と、耐久性が低いためクリーニングに出さなければいけない生地があります。

耐久性が低い生地を洗濯機で洗ってしまうとすぐにダメになってしまいますが、家庭で洗える生地であっても洗濯をすれば多少のダメージを与えてしまいます。

 

また、生地は紫外線からもダメージを受けます。

UV加工されている生地は紫外線を弾いたり吸収したりしますが、UV加工されていない生地は紫外線によって変色したり、性質が変わって生地がボロボロになることも。

ただ一気にダメージを受けるわけではないため、外に服を着て出かけるのは問題ありません。

気を付けるとすれば、変色しやすい生地は陰干しで乾かすことでしょう。

 

さらに、着用や使用を繰り返すことでも耐久性が下がっていきます。

着用するときには生地を上下左右に引っ張り、さらにフィットするタイプの生地は着ている間も伸びた状態です。

それが何度も繰り返されることで、襟元や袖が伸びてくるのは仕方がありません。

台拭きやバスタオルなど「拭くこと」を目的とした生地だったり、カバンや小物など繰り返し使用する生地は、使用するたびに摩擦が起きたり汚れが付いたりしてダメージを受けているのです。

耐久性の高い生地と低い生地

では、具体的に耐久性の高い生地と低い生地にはどんなものがあるのでしょうか?

まずは耐久性の高い素材と低い素材を見てみましょう。

耐久性の高い生地の素材

・ポリエステル
・ナイロン
・アクリル
・コットン
・麻(リネン)

など
耐久性の低い生地の素材

・シルク
・ウール
・キュプラ
・リヨセル
・レーヨン

など

ただ「ポリエステルだから強い!」とも「ウールだから弱い!」とも言い切れません。

実は素材の他、その生地の種類(レースやツイルなど)によっても耐久性が変わってくるのです。

続いて、耐久性の高い生地の種類・低い生地の種類をそれぞれ例を挙げました。

耐久性の高い生地の種類

・タフタ
・ツイル
・帆布
・デニム

など
耐久性の低い生地の種類

・サテン
・パイル
・レース
・チュール

など

生地の種類について、詳しくは以下の記事も読んでみてください!

参考:身の回りにあるベーシックな生地の種類と名前を覚えよう

 

生地の耐久性を決める項目と試験

生地の耐久性は、ただ何となく強いから、弱いから…といった“感覚”では決められていません!

実は日本の規格なら日本工業規格(JIS)、国際的な規格なら国際標準化機構(ISO)が定めた規格などがあるのです。(ISOは世界でも使われている規格なので、JIS規格もISOの基準を多く取り入れています)

実際にどのようにして耐久性を決めているのかを解説します。

耐久性の評価項目

耐久性を評価するために、いくつかの評価項目があります。

・硬い、柔らかい、テカリなどの「風合いの変化」

・羽毛立ちやピリングなどの「外観変化」

・型崩れ、プリーツ消失、収縮などの「形態変化」

・色落ち、色移りなどの「色の変化」

・洗濯時のシミ、サビ汚れなどの「シミ」

・破れ、ほつれ、すり切れなどの「破損」

機械を使った測定と、人の感覚での検査を行って、これらの変化を見ていきます。

例えば「光沢感」を機械だけで判定するのは難しく、人が見て「光沢感が美しい」「ツヤよりもマット感が強い」など、人的に判断する必要があるのです。

項目ごとに試験を行い、そのスコアによって生地の耐久性を評価していきます。

耐久性の試験の例

耐久性の基準はJIS規格が基本とされていますが、アパレルやブランドが独自の規格を決め、試験を行っているところもあります。

ここでは、耐久性の試験の例をご紹介しましょう。

堅牢度試験

堅牢度とは、生地の色落ちや色移り、色泣きなどの「色」に関する耐久性のことです。

生地に一定のペースで摩擦を起こしたり、せっけん液やアルカリ性液に入れたりして、色の変化具合を見ていきます。

堅牢度については、こちらの生地を参考にしてみてください。

参考:生地の堅牢度とは?布を取り扱うなら覚えておきたい染色堅牢度の知識

ピリング試験

ピリング試験では、生地を縦方向・横方向それぞれ2枚ずつ用意し、ゴム管に巻き付けます。

それを試験用の回転箱に入れ、織物は10時間、編物は5時間回転。

その後ゴム管から生地を取り外し、どれくらいピリングが発生しているのかで等級をつけます。

摩耗試験

摩擦試験にはA法からF法までありますが、最も摩擦しやすいひじ・ひざ・尻部分の摩耗試験A法がよく使われています。

多方向・または一方向に機械を継続的に動かし、生地が破壊されるまでに何回の回数がかかったかで評価していく方法です。

引裂試験

生地を縦方向、横方向に引っ張った時、どれくらいの強度まで耐えられるかを測定する試験です。

引裂試験用の機械生地をセットし、生地の両つかみの中央に2cmほどの切れ目を入れて引っ張る力を加えます。

そして生地が引き裂けたときの強さ(N)で耐久性を評価するのです。

家庭洗濯機試験

洗濯では水分と洗濯機の機械力によって生地が伸びるため、家庭用の洗濯機で洗濯をしたときの生地の変化を測定する試験です。

生地の縦方向と横方向に等間隔で3点の印をつけて計測した後、一般家庭で使われているような全自動洗濯機で洗濯します。

その後生地を取り出し、最初につけた3点の長さを測り、試験前後にどれくらい変わっているかを調べます。

耐久性はそれぞれの項目で数値化

それぞれの項目にはきちんと等級や数値が付いてますが、すべてを含んだ生地の耐久性を評価する数値は特に決まっていません。

あくまで個別の項目で数値化されているので、「この生地は染色堅牢度は低いがピリングがほとんどない」のような感じで、個別に見ていく必要があります。

調べたい項目があったら、メーカーなどに「堅牢度を教えてください」と項目で問い合わせると良いでしょう。

 

耐久性から生地の寿命を考えてみよう

洋服を「破れたから捨てよう」と完全に使い切ってから捨てる人は案外少ないです。

それよりも「ヨレヨレになったから捨てよう」「毛玉がいっぱいできたし捨てよう」と見た目が悪くなった・着心地が悪くなったことが理由で捨てる人の方が多いのではないでしょうか?

耐久性は素材だけでなく、生地の作り方や加工によっても左右される項目です。

一度手持ちの布製品を見て、耐久性が高いか?低いか?を判断してみましょう。

だいたいの耐久性がわかればその生地の寿命も予測がつくようになるので、布製品を買ったり作ったりするときにもきっと役に立つはずです★


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