ホーム > 裏生地って何のためにあるの?用途によって違う目的や生地の特徴について解説
2019.8.6
洋服の裏側が、表側とは違う手触りや見た目をしているものを見たことがある人も多いでしょう。
実は洋服って1枚の生地でできているものも多いですが、表生地とは別に裏生地(裏地)をつけているアイテムもあります。
そこで、今回はなぜ裏地をつけるのか?その目的や、裏生地に使われる生地の特徴などを見ていきましょう!
目次
「裏生地」または「裏地」とは、その名の通りファブリックアイテムの裏側に使われる生地のことです。
スカートやワンピースの裏側にスベスベの別素材の生地が使われていたり、スーツの内側には光沢のある生地があしらわれているのを見たことがあるでしょうか?
そういった生地を総称して裏生地(裏地)と呼びます。
洋服だけでなく、カバンや手袋などの小物、カーテンなどのインテリアにも幅広く使われていますが、必ずしもすべてのファブリックアイテムに裏生地がついているというわけではありません。
目に見える表生地とは違って、裏生地はパッと見ただけでは見えませんよね。
ですが、裏生地を使うことにはちゃんと意味があるんですよ。
実は、裏生地を使う目的が違えば、用途(使い道)も変わります。
そこで、まずは裏生地を使う目的を解説します。
表生地が薄手だったり、耐久性が低く弱い生地だったりした場合、すぐに傷んでしまうことがよくあります。
そこで、表生地を補強する目的で裏生地が付けられることがあるのです。
衣服で摩擦が起きやすいのは常に体に触れる内側(裏側)の部分。
そこに耐久性のある生地を使っておけば、表生地の耐久性が低くてもある程度上部に作ることができます。
また、裏生地をつけることで崩れやすいシルエットを綺麗に保つことも可能。
とろみがある生地だと体のラインが出すぎる場合、裏生地でお尻や太もものラインを整えながら裾部分のとろみをそのままにする、という作りにすることができるんですよ。
薄手のローン生地などは、柔らかくて綺麗ですが透けているものも多いです。
透け感を売りにするアイテムもありますが、全体が透けると下着までも見えてしまいます。
そこで、透けを防止するために裏生地を取り入れるのです。
スカートやワンピースなどの裏側に付いているのは、こうした透け防止の目的のものが多いですね。
安い服で「おしゃれだけど脱ぎ着しにくいなぁ」と感じた洋服ってありませんか?
使われている生地によってはストレッチ性がなく、着にくい服になってしまうこともあります。
そんな問題点を解決するため、裏生地をつけて着脱しやすくすることも。
例えばストレッチ性がない洋服でも、裏生地にツルツルの手触りを持つ生地をつけるだけで着脱しやすくなるんですよ。
また、内側の滑りを良くするだけでなく、着脱時に発生する静電気の防止にもなります。
裏生地を使う別の目的として、保温性を高めるという目的もあります。
表生地1枚では暖かい空気が外に逃げてしまうという場合でも、裏生地をつけて外に逃げるのを防げば、そのアイテムの保温性がアップ。
暖かく快適に過ごすことができるうえに、ヒートテックなどの重ね着が不要になってラクです。
さらに裏生地に起毛生地を選ぶことでより保温性を高めることができるため、冬場には嬉しいアイテムになるでしょう。
おしゃにこだわる人は見えない部分にまでこだわるもの。
表生地の見える部分だけでなく、裏生地の素材やデザインにもこだわり、気分を上げている人もいるのです。
また実際に見えなくても、袖をまくることで裏生地が見えるようにもなりますよね。
そんな普段は見えない部分のおしゃれの1つとして、あえて表生地とは違う素材・柄の裏生地を使うこともあるのです。
続いて裏生地に使われる素材も合わせてご紹介しましょう!
用途によって素材も変わるため、あなたの用途に合わせて素材から選んでみてくださいね。
裏生地は破れても見た目のデザインには影響がないものもありますが、着たときの感じなどに影響しやすいです。
しかし、表生地よりも肌に触れる時間も長いため、その分摩擦に洗濯が加わりどんどん弱くなっていきます。
なるべく長持ちするために、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維を使用して耐久性の高いアイテムに仕上げるのです。
またポリエステルやナイロンは比較的安価で使い勝手が良いのもポイント!
スーツやジャケットの裏地などには、高級感が求められることもあります。
そんな高級感を出すのに最適なのが、シルクやキュプラといった素材です。
シルクは高級生地として有名ですよね。裏地だけでなく、表生地としてもよく使われています。
美しい光沢を発し、表面がなめらかで柔らかいことから、生地からこだわったブランド物などに多いです。
キュプラはレーヨンという生地に似ていますが、原材料が異なります。
レーヨン=木材パルプ
キュプラ=コットンリンター
キュプラの方が滑りが良く、また静電気も起きにくいというメリットがあります。そのため、レーヨンと比べて高価なのです。
肌に長く触れる部分だからこそ、肌に優しい素材を選ぶことがあります。
そこでよく使われるのがコットン。
肌に優しい天然繊維から作られているため、肌が敏感な人でも安心して身につけることができるのがポイント。
またコットンとポリエステルの合繊素材も、耐久性がありながら肌触りも良いのでオススメです!
ポリエステルやコットンといった素材でもアイテムの保温性を高めることができますが、より保温性を高めてぬくぬくな1枚にするにはウールがぴったり!
起毛生地なら暖かい空気を絡めて外に逃さないので、ずっと気持ち良く、暖かく着ることができますよ。
また、こちらもウールとポリエステルの合繊も使いやすくてオススメです!
「裏生地の目的や素材はわかったけど、実際にはどんなふうに使われているんだろう…?」
そんな疑問を持っている人は裏生地の用途をイメージしてみたいですよね。
そこで、服飾づくりが好きな人が集まるInstagramより、裏生地のあるアイテムとその裏生地の用途についてまとめました!
こちらはジャケットの裏生地ですが、柄が使われていて見えないおしゃれにこだわっていますね。
さらに、イニシャルなどの刺繍などを入れることで世界に1つのアイテムに!
ジャケットの内側に裏生地を使うのは、着脱をしやすくするため、汗の吸湿性を高めるため、静電気が起きにくいようになどの理由があります。
さらに表生地とは違った明るい色にすることで、風に揺れたときや羽織るときの一瞬に見えるのがかっこいいですね。
一見派手なスパンコールバッグですが、全てがスパンコールでできているわけではありません。
よく見てみると、裏地がヒョウ柄のファブリックでできています。
こうしないと物を出し入れするたびにスパンコールが取れてしまうので、機能性も備えての裏地です。
こちらは可愛い子供用ワンピースですが、メッシュ素材で透けてしまいます。
それを同じ色の裏生地を付けることで、透けるのを防いでいるんですね。
表生地とカラーを変えることで個性的な1枚に仕上げることも◎
こちらはチャイナドレスです。チャイナドレスは体に密着することが多いので、汗を吸いやすく、さらに肌触りが良い裏生地が求められます。
裏生地の大部分は見えませんが、スリットからのぞくこともあるのでデザインにもこだわりたいですね。
生地問屋YAMATOMIでも、洋服などの裏側に使える生地を取り揃えています。
その中でも特にオススメしたい裏生地をピックアップしてみました!
キュプラの上品な光沢感と強撚による清涼感が魅力的なサテンちりめんです。また、吸放出性にも優れ、ウォッシャブル加工も施されています。
キレイなツヤと、とろみが特徴的なローン生地で、肌触りも良いのでスカートやワンピースなどの裏生地にオススメ!
キュプラを使用しており、敏感な生地なので、お手入れはドライクリーニングで。
やや薄い生地ですが、しっかりとしたハリがあり、表生地のシルエットをキレイに整えてくれます。
アウターやトップスの裏生地はもちろん、この生地そのものでシャツも作れる優れもの!
こちらは弾力性のある2WAYストレッチボアフリース。冬のコートの裏生地にすることで、快適な着心地と温かさが手に入る嬉しい生地です。
おしゃれでリッチなデザインの生地で、光に当たると黄金のような光沢も発します。
ぜひスーツやメンズジャケットなどにご活用ください!
コスト削減のため、ファストファッションブランドや個人で服飾を製作している人は、裏生地を使わないこともよくあります。
確かに裏生地を使わなくてもおしゃれな洋服は作れますが、裏生地を使うことで「透ける」「着脱しにくい」などの問題点を補うことができ、さらにおしゃれになって品質もアップします。
目的によって使用する裏生地が変わるため、ぜひ今回紹介した目的や用途を覚え、服飾づくりに役立ててみてください!