ホーム > 天然素材なのに防虫効果!?ウコン生地の魅力と用途とは
2019.5.7
あなたは衣替えをするとき、押入れの奥にしまっておいた洋服が虫食いの被害に遭っていたという経験はありませんか?
お気に入りの服や高価な服が虫食いで穴だらけになっていたら、とてもガッカリしてしまいますよね。
実は虫食いから洋服を守ってくれる「ウコン生地」と呼ばれる生地があるのをご存知でしょうか?
そこで今回は、防虫効果の高い生地ウコン生地とはどんな生地なのか?その魅力と用途をご紹介します。
目次
「ウコン生地」の「ウコン(鬱金)」という単語を聞いたことがある人も多いかと思います。
健康食品や栄養ドリンクなどのパッケージに「ウコン」と表示されているものもありますよね。
ウコンとは、ショウガ科の多年草植物のことで、別名「ターメリック」。
カレーのスパイスなどの香辛料や生薬などに使われています。
また、特徴的な色を発色するため、着色料や染料として使われることも。
ウコンを使って染められた生地のことを「ウコン生地」と呼ぶのです。
「ウコン」とひとことで言っても種類は数十種類あり、食品や染物などに主に使われているのは春ウコンと秋ウコンです。
秋ウコンは健康食品や飲料など食用に使われることがメインで、染色には使われません。
春ウコンの方が染色に向いており、同時に香辛料としての役割もあるなど、幅広く使われているんですね。
ウコンは誰もが鮮やかな黄色をイメージしますが、実はそれは根の色。
ウコン生地は、根の部分からアルコール抽出法で抽出した高濃度の液体に生地を長時間浸し、鮮やかに染め上げて作ります。
そのため、ウコンで編んだり織ったりしたというよりも、ウコンを使って本染したという方が正しいでしょう。
液体に浸して色が浸透した後は、より鮮明な色を出すため鉄分を含まない軟水で水洗いし、乾燥させて完成です。
本染に使う生地の素材は用途によってさまざまです。
高級感のある生地に仕上げたい場合はシルク、肌に優しい生地にするならコットンなど、生地そのものの素材はわりと自由に選ぶことができます。
ウコンの根は鮮やかな黄色や橙色をしており、それで染め上げることで確かに色鮮やかな生地が完成します。
そのため古来から漢方などだけではなく、生地の染色などにもよく使われていました。
しかし、染色技術が発達した今、ウコンを使わずとも同じような色を出すことが可能になっているのです。
それでもなおウコンが使われ続けるのはなぜでしょうか?
実は、ウコンには古来から「染色」以外の嬉しいメリットがありました。
それが「防虫効果」と「防菌効果」の2つです。
それぞれどんな効果なのかを見ていきましょう。
防虫効果とは、その名の通り虫を寄せ付けない効果のことです。
植物の中には虫が嫌うニオイを発する植物があり、ウコンもその中の1つです。
このニオイは人間にとっては無害だったり、ハーブのように好まれる香りだったりするため、アロマなどで蚊を撃退することがありますよね。
それと同じように、ウコンのニオイは人間に害はなく、虫が苦手とするニオイなのです。
そのため、ウコンで染めた生地は虫が寄り付かず、ダニの発生・繁殖を抑えたり、虫食いの被害を防いだりすることができます。
一方で防菌効果とは、カビなどの菌の繁殖を抑える効果のことです。
湿った場所や暗い場所などには菌が繁殖しやすいですが、ウコン生地は虫と同じように菌を寄せ付けません。
防虫効果と合わせて、ウコン生地は大事なものを守るのにとても適している生地なのです!
防虫、防菌に優れているウコン生地の弱点を挙げるとするなら、日光堅牢度が弱いということです。
長時間日光や蛍光灯の光に当たっていると、鮮やかな黄色が白っぽく変色してしまいます。
せっかくの色が変色してはもう使えないと思う人もいるかもしれませんが、安心してください。
ウコン生地の良さは鮮やかな色だけでなく、先ほども挙げた防虫効果と防菌効果の方が重要なのです。
たとえ日光や蛍光灯に当たって変色したとしても、ウコンの成分はしっかりと生地の繊維にまで染み渡っている状態です。
きちんと防虫効果、防菌効果は持続するので、そのまま使い続けても構いません。
そもそも、後の項目でも解説しますが、ウコン生地は陽に当てるものではありません。
押入れの中にしまっておいたり、タンスの中に入れたりと、基本的には陽に当たらないところに置いておくものなのです。
ウコン生地が鮮やかな色を発色すると言っても、日光に当たると変色してしまい、着て出かけるような洋服には合いません。(もちろん色の変化を見るという楽しみ方もありますが…)
それでは、ウコン生地は普段どんな用途に使われることが多いのでしょうか?
ウコン生地の最大のメリットである防虫、防菌効果を発揮するのは、大切なモノを包んでしまっておくとき。
例えば年に1回着るかどうかわからない着物を押入れにしまっておくときや、高級な額縁やお茶碗、美術品などをしまっておくとき、ウコン生地の風呂敷に包んでおくと安心です。
こんな着物も、ウコン生地で包んで置いておくことで虫食いやカビもなく、キレイな状態で保管しておくことができます。
西洋文化が進んだ現代なら、自分が着たウェディングドレスを子供に譲るためにしまっておくとき、赤ちゃんの洋服をお下がりとして取っておきたいときなど、ウコン生地で包んでおくというのも良いですね。
現代では防虫剤などが開発されましたが、今でも日本では高級品などはウコン生地の風呂敷で包む文化があります。
大切なモノをしっかりと風呂敷で包んでおくことのメリットは、虫食いやカビを防ぐだけでなく、ホコリなどの汚れや、落としたときの破損などからも守ることができるということ。
「包む」というひと手間を加えてあげることで、長く愛用することができるんですね。
ただ、大事なモノをあれもこれもと包んでいると何枚も風呂敷を準備しないといけないし、そうなると費用もかかります。
そこで、「包む」だけじゃなく「敷く」という用途で使ってみるのはいかがでしょうか?
「漢方敷」と呼ばれる高級和紙がありますが、これもウコンで染められたもので、タンスの中に敷いておくことで防虫、防菌効果があります。
それと同じようにウコンの小さめの風呂敷を大事なものを入れたタンスの中に敷いておくだけでも、しっかりと効果を発揮することができるのです。
こうしたウコン染にした生地を何枚か用意しておくことで、使いたい場所が複数あるときに役立ちます。
和紙のように薄いものでもしっかりと効果があるので、薄い布でも大丈夫です。
押入れの中の桐箱だけでなく、普段使う洋服タンスや靴箱、収納ケースの中に敷いておくのもOK。
大きめのウコン生地の風呂敷があるなら、ハサミでちょうど良い大きさに切って分割して使ってみるのも良いでしょう。
また、クローゼットの中に手のひらサイズに切ったウコン生地の布を吊るしておくのもオススメです。
敷く、吊るすだけなら手間もかからず簡単ですよね。
肌の敏感な赤ちゃんに着せる肌着選びで迷っている人も多いかもしれません。
特に赤ちゃんも汗をかく夏場では、虫も気になるし、肌に合わない服を着せるとすぐかぶれてしまうことも。
そこで、ウコンは天然成分なので、肌に優しいのが特徴です。
このように赤ちゃんの肌着をウコン染すると、赤ちゃんを夏場の虫からも守ることができます。
また、生地の素材にオーガニックコットンなどを選ぶことで、赤ちゃんの肌かぶれの心配もないということ。
長く使うと変色してしまいますが、赤ちゃんが大きくなったらタンスの中の防虫、防菌アイテムとして再利用できるの良いですね。
最近は防虫剤などがたくさん販売されているので、近くのお店ではあまりウコン生地を見かけないという人もいるかもしれません。
ですがYAMATOMIではウコン生地も取り揃えているので、ぜひチェックしてみてください。
ウコン生地特有の鮮やかな黄色に染めた本ウコンの生地です。平織りのコットン100%生地なので、手触りも柔らかいですよ。光に当たって変色しても防虫、防菌効果はしっかりと持続します。※光に当たり続けると色落ちします。
こちらは、コットン100%の生地でウコン色風に染めたもの。本ウコンではありませんので防虫効果などはありませんが黄色から緑、紫まで多数取り揃えております。好みの色を選んでいただけるほか、90cm、120cm、130cm、150cm巾のサイズからご注文可能です。
ウコン生地の魅力は防虫・防菌効果です。
着物やお茶碗、美術品など、大切に取っておきたいものを持っている人もいるでしょう。
そんな人は、ウコン生地の風呂敷で包んだり、風呂敷をタンスの中に敷いたりしてみてください!
長年保管していても虫食いやカビから大切なモノを取っておくことができるでしょう。