ホーム > 【繊維品質LABO】表示責任者のための洗濯表示やタグの付け方について
2019.1.10
国内で雑貨や衣類を販売するときには、「家庭用品品質表示法」により、繊維製品の性能や取扱い方法等の情報を消費者に対して提供する必要があります。
これは繊維製品のケアや洗濯などをするときに回復不可能な(修理や補整できない)損傷を起こさない最も厳しい処理・操作についての情報を提供することを目的としています。そして、その際にはあわせて必ず「洗濯表示」も付けなければいけないのです。
とはいえ、普段何気なく記号などで目にしている「取扱い表示記号」ですが、実は良く知らない……という方も多いのではないでしょうか。
これから衣類や雑貨などを製造・販売したいと考えている方は、表示責任者のための洗濯表示の付け方について学んでおきましょう!
目次
表示責任者のための取り扱い表示記号作成ガイドラインによると、標準的な上限はあるものの、自社製品のブランドやグレード・価格帯などに合わせ、自分たちで考えて「取扱い表示」を決定することが大切です。
マニュアルどおりに表記すれば良いというものではなく、「どのような製品にしたいのか」「その製品を取り扱うにあたってその使用されている素材ではどういう使い方が予想されるか」などをイメージしてみましょう。時には、その使用シーンに合わせて素材や寸法変化率などの検討も必要です。
たとえば、夏物のシャツの場合は汗などで汚れやすく、クリーニングではなく家庭用洗濯機での洗濯をする方が多いことは必須ですよね。そういう場合にも関わらず「家庭での洗濯が不可の素材を使用し、そのように洗濯表示をする」こと自体がそもそも適していない、ということも考えられます。
よって夏物のシャツだと用途や利用シーンに合わせ、素材や洗濯表示もしっかり考えて選ばなければいけません。
「法律で決められているから洗濯表示を付けなければならない」と認識されがちですが、そもそも洗濯表示というのは消費者の利益や財産を守るためにあります。
消費者が気に入ったデザインの洋服を購入したのに、適切なケアや洗濯方法がわからずすぐにダメにしてしまった…。これでは消費者はせっかく手に入れた財産を失ってしまいますよね。
洗濯表示はこうした事態を防ぐために、まずは消費者が製品の品質を理解できるようにすること、そして適切なケア方法を知り、製品を長持ちさせて消費者の利益や財産を守ることを目的としているのです。
それを心得たうえで、適切な洗濯表示を付けましょう。
「家庭用品品質表示法」とは、消費者が日常使用する家庭用品を対象に、商品の品質について事業者が表示すべき事項や表示方法を定めたものです。
これがないと、消費者は商品購入時に適切な情報提供を受けることができず、どのように取り扱えばいいのかもわかりません。
日本の法律では、「家庭用品品質表示法」だけでなく、都道府県の条例や「不当景品類及び不当表示防止法」などさまざまな繊維製品に表示を付けるためのルールがあります。さらに、世界の法律ではおなじみの「JIS規格」や各業界ごとの基準(JASPOや日本ボディーファッション協会など)もあります。
自社で製作するときには、どのルールに従うべきかを最初に確認しておきましょう。
それでは、繊維製品に必要な表示を、それぞれの根拠となる法律とともに確認しておきましょう。
それぞれを詳しく解説していきます!
組成表示は、表示の原則に基づいて製品に使用されている繊維を消費者にわかりやすいように表示します。糸は糸の繊維、織物やニット生地・レース生地などは構成している糸、衣類などは構成している繊維など、裏地も含めその製品に使用されている繊維をすべて表記しなければいけません。
(不織布は表示の対象外です。)
その場合、必ず指定されている統一用語を百分率で表示しましょう。たとえば、
綿100%
だったり、あるいは
綿60%
ポリエステル40%
などといった風に表記します。これは目にしたことがある方も多く、イメージしやすいですよね!
洗濯表示には5つの表示が必要で、順番も決まっています。
これらは5つの基本記号に付加記号と付記用語を加えて表示します。記号だけでは伝わりにくい情報は、簡単な言葉(誰でも理解しやすい言葉)で記号の近くに付記用語として記載される場合もあります。
また、この洗濯表示の下部には「表示者名」と「連絡先」を明記しなければいけません。
続いて「はっ水性」についてです。対象品目としては、
といった濡れてしまう可能性の高い衣類などに対し、JISL-1092のスプレー法に規定するはっ水度試験を行い、全ての試験片が2点以上ものは表示することができます。
表示例としては、単純に「はっ水(水をはじきやすい)」と表記します。この際、「防水」という表示をすることはできないので注意しましょう。「はっ水」と「防水」は全くの別物であり、そもそも「家庭用品品質表示法」には「防水」に関する項目がありません。
サイズ表記に関しては、乳児用衣料・少年用衣料・少女用衣料・成人男子用衣料・成人女子用衣料・靴下類・手袋など、それぞれ細かく表記のルールが決まっています。
どれも共通して「サイズ」「SIZE」といった文字を表記し、その下にS・M・Lや120・150などそれぞれの該当サイズを明記します。
また海外の規格でのサイズ表示は表示の仕方が違ったり、日本の規格とは微妙にズレていたりするので、どの国の規格をメインにするかもあらかじめ決定しておきます。
原産国とは、どこの国で製造された製品なのかを明記する項目です。
国産の製品の場合には表記をしなくても良いのですが、国産なのかそうでないのか消費者に判別が困難な場合には不当表示とされてしまいますので注意しましょう。
また、国名より地名の方が広く知られている場合には地名を原産国として表記しても構いません。
織・編生と縫製が異なる、など国をまたいで加工を行なっている場合には、「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」を明記することとし、以下のように表記しましょう。
編立:中国製
リンキング:日本製
製品によってはかなり細かい規定が定められていますので、自社で製造する製品に該当するルールにはどのようなものがあるのかを事前に確認しておくことが大切です。
もちろんですが、表示と実際の繊維構成が製造過程で変わってしまうことの無いように注意しましょう!
洗濯表示が洋服の内側にタグとして取り付けられているものを見たことがある人も多いでしょう。
洗濯表示の付け方に関しては、「付記及び付記用語は、繊維製品に直接記載するか、又は繊維製品に容易に取れない方法で取り付けたラベルに、織り出し、印刷、その他の方法によって記載しなければならない」と定められています。
ここでのポイントは「容易に取れない」の部分です。ほとんどの洋服の内側にタグとして取り付けられているのはこれが理由なんですね。
繊維製品に直接印刷する、判押しするなどの方法もありますが、やり方によっては「容易に取れない」とは言い切れません。洗濯しても落ちないような方法で洗濯表示を記載しましょう。
表示責任者のための洗濯表示の付け方について解説して参りました。
かなり細かい部分も多く、そのすべてについて触れることができませんが、おおまかな押さえておくべきポイントはイメージできたのではないでしょうか?個人のハンドメイド作家などのクリエイターの場合、最低限上記の項目を押さえておくだけでもかまいません。
ご自身のビジネスに関わる部分については、必ず詳細や明記すべき内容を押さえておくようにしましょう!
もし洗濯表示の付け方がわからない場合には、以下の担当省庁のホームページを見たり、電話をしたりして問い合わせると安心です。
・消費者庁 表示対策課 (03-3507-8800(代))
・経済産業省 商務情報政策局 製品安全課(03-3501-1511(代))