ホーム > 【繊維素材LABO】キュプラの生地の特徴について解説!メリット、デメリットまとめ | 山冨ラボ
2018.12.5
普段身に付けている洋服や小物、愛用している雑貨、インテリアなど、身の回りにはファブリックを使ったアイテムがあふれています。
しかし「ニット」や「麻」「デニム」など、一般的に広く知られているアイテムの名称は有名ですが、中には「これ、なんていう生地なんだろう?」と疑問に思う生地もありませんか?
例えばスーツの裏地に使われている、あのツヤツヤで柔らかい生地、なんと言う名称かご存知ですか?
実はこれ「キュプラ 」という生地です。
見た目は光沢があり、触り心地はサラサラで柔らかいイメージがありますよね。
この生地は
・よく知られていない生地(キュプラ)の豆知識を覚えたい人 ・アパレル関連で働いていて生地の名称や特徴をしっかり覚えたい人 ・キュプラの裏地以外の使い方を知ってものづくりに役立てたい人
にオススメです!
ということで今回はキュプラ生地の特徴や使い道、そしてアパレル関係者なら覚えておきたい豆知識など、キュプラの魅力に迫っていきたいと思います。
スーツの裏地にも、ワンピースにも。キュプラの特徴と人に教えたくなる豆知識をご覧ください。
目次
「キュプラ」とはもともと「銅」を意味しておりますが、キュプラ生地が銅からできているわけではありません!
キュプラの原料はコットンリンターという綿花の短い繊維です。
本来繊維としては使われないうぶ毛部分を使うというので驚き!
そのコットンリンターから採った原料(本来繊維としては使われないうぶ毛部分)を、酸化銅アンモニア溶液に溶かし、ギャーポンプを使って凝固液の中に押し出す製法によって作られています。
これを「銅アンモニア法」と言うので、この製法で作られた生地が「銅」という意味の「キュプラ」と名付けられたんですね。
ちなみに、キュプラはレーヨンとよく似た風合いを持つ生地なのですが、レーヨンの原料は木材パルプなので原料は全く別物です。
原料によって名称が変わるアイテムは他にもたくさんあるので、豆知識として覚えておくと、ちょっとしたときに披露できるかもしれません。
スーツの裏地に使われるキュプラですが、実はキュプラ生地自体にも裏面と表面があります。
サテンのように手触りが滑らかな方が表、ちょっとざらつくのが裏です。
キュプラを裏地として使う場合、サテンの手触りの方が肌に当たるようにして使ってくださいね!
また、正しく使うことで透け防止にもなるため、スカートやパンツなどボトムスを作るときにもこの知識は役に立ちます。
コットンリンターを原料として作られるキュプラ生地にはどんな特徴があるのでしょうか?
それでは、キュプラ生地の特徴をメリットとデメリットの2つに分けてご紹介しましょう。
まずキュプラの最大の特徴が、とても柔らかくしなやかという点です。
まとわり付くようなドレープ感があるため、身に着けると体を包んでくれて気持ち良いんですよ。
また、キュプラで作ったワンピースを着ると大きめサイズでもキレイにボディラインを見せてくれるのが嬉しいポイントです。
滑りがとてもいいのもキュプラの特徴。
そのため、スーツやスカートの裏によく使われることが多いです。
着るときに布が擦れて肌を痛める心配もないため、女性にとっても嬉しい素材です。
また、光沢感もあるため高級感を出すことができます。
キュプラは主にメンズスーツの裏地に使われることが多いのですが、見えない部分ではあるもののキュプラ生地が放つ光沢感が美しいため、裏地にこだわってスーツを購入する人もいるほど。
無地のものを始め、「見えないおしゃれ」としてペーズリー柄なども人気ですね。
キュプラは吸湿性と合わせて放湿性も持ち合わせています。
そのため、毛穴から出る汗の湿気を吸い取り、服の外に放湿してくれるので、キュプラ生地を使ったアイテムを身に付けても着心地が悪くなることはありません。
そして最後に、静電気が起きにくいという点もメリットです。
特に秋冬になると、静電気に悩まされる人が多いでしょう。
キュプラ生地はほぼ静電気が起きないため、着たときや触ったときの「バチッ」という不快感がありません。
続いてキュプラのデメリットも一緒に覚えておきましょう。
まずは摩擦に弱く、羽毛立ちしやすいことに注意しなければいけません。
普段着として身に着けるぶんにはそれほど摩擦を起こしませんが、例えばキュプラ生地の部分に何かをこぼしたり、落としたりしてシミがついてしまったとき。
そのシミの部分を強くこすることでその部分が羽毛立ちしてしまいます。
一度羽毛立ちするとブラシを使って整えてみても元に戻りにくいので気をつけましょう。
また、キュプラ生地は家庭内での洗濯に向いていません。
洗濯機で洗ってしまうとシワになりやすく、洗濯の摩擦によって羽毛立ちしてしまうためです。
基本的にはクリーニングに出してお手入れをするアイテムになります。
どうしても家でお手入れしたい場合には、中性洗剤を使って30度くらいのぬるま湯で優しく洗い、タオルを押さえつけて水分を取りましょう。
硬く絞ったり、ゴシゴシこすったりしないように!
では、お手入れが大変だけどドレープ感や光沢感が素敵なキュプラ生地はどういうアイテムに使われているのでしょうか?
代表的なのはスーツの裏地ですが、実はそれ以外にもいろいろなファッションアイテムで活用されているんですよ。
今回は4つのキュプラ生地活用法をご紹介します。
スーツやコート、ジャケットの裏地にキュプラ生地が使われる理由。
それは、柔らかくてしなやかな肌触りと吸湿性・放湿性にあります!
スーツなどは1日中着ていることが多いので、スーツの中が蒸れてしまうのは嫌ですよね。
それを裏地のキュプラ生地がうまく湿気を外に逃がしてくれているのです。
スーツで仕事をしている人は、そのことを意識してみたり、周りの人にも教えてみてくださいね。
それでは、コートやジャケットの裏地として使われているキュプラ生地の例をご紹介しましょう。
男性をかっこよく、スマートに見せてくれるテーラードジャケットの裏地にはキュプラ生地が使われています。
サッと羽織ったときに見える光沢感が、高級感を演出してくれていますよね。
このスーツのジャケットの裏地にもキュプラ生地が!
スーツと同じ色ではなく、あえて外側と違う色を裏地にするのもおもしろいですよね。
キュプラ生地のテロっとした感じをうまく使って、柔らかいゆったりシャツに活用してみるのはいかがでしょうか?
ドレープ感はあるものの、型崩れした感じではなくそれなりに綺麗な形を作ることができるんですよ。
何よりも、裾のとろみが柔らかいふんわりした印象を出してくれるので注目!
キュプラ生地を使った、柔らかいゆったりとしたシャツの活用例をご紹介します。
こちらのキュプラシャツ、形がとても綺麗ですよね。
着てみたときにドレープ感がいい感じに出ています。
あまり「キュプラシャツ」とは言われませんが、代わりに「とろみシャツ」と呼ばれることが多いようです。
「とろみシャツ」…聞いたことがある人もいるのではありませんか?
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極貧の底辺人間のくせに肌が贅沢な生地しか寄せ付けない体でつらたん #black #キュプラシャツ #テロンテロン #サラッサラ #ゆらっゆら #モノトーン
サラサラとした手触りを活用したキュプラシャツはこちら。
お店で販売するときには、綺麗なとろみを表現するためにマネキンに着せてディスプレイしたいですね。
ちょっと大きめのダボダボとしたキュプラシャツもオススメ!
こちらは総柄になっていて、1枚で存在感抜群のアイテムになっています。
男性でも女性でも綺麗な形で着こなせるのがキュプラシャツの良いところ★
あなたは、キュプラ生地が足元にまとわりつくイメージができるでしょうか?
きっと邪魔に感じる人もいるかもしれませんが、着てみると意外と肌触りがよく着心地がいいのでビックリ!
続いて、キュプラ生地を使ったボトムスをご紹介します。
このゆったりとしたシルエットが最大の特徴である、キュプラボトムス。
リラックスして履けるため、夏場やリゾート地などでの出番が多くなりそうですよね。
ウエストがゴムになっているのもポイントです。
パンツだとリラックスして履けるキュプラ生地が、スカートになるとまた表情を変えてくれます!
歩くたびに揺れるスカートが綺麗に見えるのは、ドレープ感を綺麗に出すキュプラ生地だから。
キュプラスカートは大切にお手入れして、長く使いたいアイテムですね。
キュプラ生地のワンピースもあることをご存知ですか?
「あんなに薄くて、テロテロでちゃんと着れるの?」と疑問に思うかもしれませんが、心配はありません。
キュプラ生地の最大の特徴を活かした、肌触りの良いワンピースをご紹介します。
ゆったりとしたデザインのキュプラワンピースは、生地が薄く、夏場のおでかけにぴったりです。
しかも体を締め付けないため、マタニティワンピースとして着ることができますよね。
薄い生地だからと透ける心配もありませんよ。
秋冬なら、このようにワンピースの上からトップスを着てスカートのように着ることもできます。
キュプラワンピースが薄いので、冬場に着込んでも見た目が分厚くなることはありません。
いろいろな着方を楽しんでみてください!
キュプラ生地には以外とたくさんの活用方法があり、アイデアの幅も広がったのではないでしょうか?
キュプラと言っても、あくまで素材なので定番の裏生地仕様以外に、実は様々な種類があるんですよ。
そこで、YAMATOMIがオススメのキュプラ生地をご紹介。
是非アイテム作りの参考にしてみてください。
特殊な加工工程による、耐久性に優れた立体的なシワ加工が施された素材です。
他にはないシワ感、柔らかな風合いをお楽しみください。
フィブリル加工によるピーチタッチと、強撚糸のドライタッチが融合した風合いが特徴の素材。透けない肉感のため、オールシーズンご使用いただけます。
ムラ柄×ウッドランドカモのキュプラ/ポリエステルサテン生地。ファッション性の高さが魅力です★
新しい加工技術により、手軽に洗えてシワになりにくい便利なキュプラが完成しました。光沢が上品でとても使いやすく、サラサラの着心地を味わっていただける素材です。
フィブリル加工によってカジュアルな表情感がプラスされた素材です。特殊加工を施し、収縮を抑えて手洗い可能にしました。
ベンベルグ®とポリエステルを使用した、控えめな光沢と繊細な綾目が上品な素材です。薄手ながらコシがあり、滑りがよく適度なドライ感のある風合いが特徴です。
弊社の取り扱い商品の中から、キュプラ混の生地を集めてみました! ↓↓画像をCLICK↓↓
キュプラ生地のデメリットは、お手入れが大変なこと。
しかし、高級スーツの裏地にも使われるほどの高級感があり、その品質や高級感は確かなものです。
裏地だけでなくワンピースやトップス、ボトムスにも使えて活用の幅が広いため、しなやかでドレープ感が綺麗なアイテムを作ることができます。
また、「キュプラ」という生地を知らない人も多いので、豆知識を持っていたり特徴を知っているだけで、周りと差をつけることができますよ♪
キュプラ生地でのアイテム作りに挑戦するのもよし、あなたの知識を披露してみるのもよし。
あなたの生活にキュプラを取り入れてみてくださいね!