ホーム > デニムの魅力を深堀り!加工の種類と世界に誇る日本の高い技術
2024.10.2
独特なブルーの色合いが魅力的で、新品のパリッとしたものから、ヴィンテージのような使い込まれた風合いのものまであるデニム。
新品のジーンズを履き倒して色落ちを楽しんだり、あえて自分でダメージを入れたり……。
自分なりの色を出して楽しめるのが、デニムのファンが多い理由の1つです。
今回はそんなデニムの風合いをガラリと変えてくれる加工の種類をご紹介します。
デニムの加工を覚えて、自分好みのデニムを見つけてみましょう!
目次
ところで、みなさんは「デニム」と「ジーンズ」の違いをご存知ですか?
デニムは太番手の糸を使った厚地の織物のこと。そしてジーンズとは、主に綿製のデニムを使用したパンツ類のこと。
ジーンズは労働者階級のために作られた背景があるため、耐久性を強くする「巻き縫い」という技術で作られています。
デニムを使ったアイテムには、他にもジャケットやスカート、中にはカバンなどもあって幅広いですよね。
そう、どんなにトレンドが移り変わろうと、デニムはいつでも流行の中心にいるのです。
実は海外で日本製のデニム「ジャパニーズデニム」が人気沸騰中なのをご存知でしょうか?
アメリカの有名ブランド「Calvin Klein」や、アメカジの覇者「J Crew」などでは、ジャパニーズデニムを使っていると明言するほど、アメリカでは市民権を得ているのです。
日本のデニムは、国内はもちろん、海外でもそれほど信頼されているということ。
日本製のデニムは質が高いと認められているので、ぜひ日本の技術に自信を持って、ジャパニーズデニムを手に取りたいですね。
デニムをよく見ると1つ1つ表情が違います。その違いを生み出しているのが、さまざまな加工技術。
特に洗うことによって風合いを変える加工方法「ウォッシュ加工」によって別モノ級にデニムが生まれ変わります。
ここではまず、デニムのウォッシュ加工の種類を解説。
どんな加工でどんなデニムが生まれるのかを知っておくと自分の好みのデニムを見つける手助けになりますし、デニムのアイテム作りにも役立ちますよ。
まずは「リジッド」と呼ばれるデニム。これは無加工=加工されていない状態で出荷されたデニムのことです。
「リジッド」とは「固い」や「硬直した」という意味があり、完成してから水通しをしていない、糊が付いたままの状態を指しています。
またの名を「ノンウォッシュデニム」や「生デニム」とも言いますよ。
防縮加工もされていないので、リジッドデニムを初めて洗うときには縮む、つまりサイズが小さくなることを想定して選ぶ必要がある点にも注意しましょう。
さらに色落ちもしやすいので、他の衣類に色が移らないよう、デニム単品で洗うのをオススメします。
「ワンウォッシュ加工」は、1回洗ったデニムのこと。
約60度のお湯で洗うことで糊を落とし、リジッドよりも少しソフトで、履きやすくなります。
また水を通していることで一度縮んでいるので、今後の縮率も安定します。初心者はワンウォッシュ加工から楽しむのがオススメです。
最大のメリットは、色落ち防止効果。もちろん使い続け洗う頻度が増えることで色落ちはしていきますが、最初の新品の状態を一番長く楽しめますよ。
デニムには「W/O」と表記されることもあるので覚えておきましょう。
軽石や研磨剤と一緒に洗濯機で洗うことを「ストーンウォッシュ加工」と言います。
軽石などで生地に自然なダメージを与え、表面を摩耗させることで、使い古したかのような風合いができます。
擦れた部分が色落ちするので、より味わい深いデニムに仕上がりますよ。
ちなみに、デニムの着古したような風合いを「あたり」と言うのでぜひ覚えておきましょう。
「ケミカルウォッシュ加工」は、漂白剤を染み込ませた軽石と一緒に洗う加工です。
ストーンウォッシュ加工よりも擦れた部分がより色落ちするため、よりコントラスト感が強いあたりになります。
独特の雰囲気になるため、クールで粋な装いが好きな人に人気の加工方法ですよ。
ストーンウォッシュ加工・ケミカルウォッシュ加工、どちらも洗濯機の中で自然に行われるため、1枚1枚出来上がりが違うのが魅力です。
「ブリーチ加工」とは、酸化剤や還元剤を使って強制的に色を分解し、脱色する加工方法。
脱色の程度は調整可能で、程度によってさまざまな印象がに変えることができます。ほとんどの場合、淡い色味に仕上げることが多いです。
あえてムラ染めにすることで、タイダイ風やグラデーション風に仕上げることもできますよ。
ユニークな加工法の1つに「バイオウォッシュ加工」があります。
これは微生物に天然繊維の表面を食べさせる加工方法。微生物が食べた部分が溶解して白くなり、あたりができます。
さらに生地が痩せる(薄くなる)ため、風合いも柔らかくなります。
ストーンウォッシュ加工などと比べて生地への余分なダメージを抑えられるため、デニムが長持ちするのです。
「サンドブラスト加工」は、砂を吹き付ける加工方法。
コンプレッサーなどで圧縮した空気で砂を吹き付け、生地を意図的に摩耗させます。
こちらも着古したようなあたりや風合いができるのが特徴です。
しかし生地へのダメージが強いため、使っている間の消耗も激しくなってしまいます。
ウォッシュ加工によって雰囲気をガラリと変えたデニムに対して、さらなる使用感やヴィンテージ感を持たせるのがダメージ加工です。
その名前の通り、デニムに直接傷や擦れ、破けなどを作ります。
デザインが左右される加工方法なので、職人が1つ1つ手作業で行っていることも。日本の職人の技術は世界に誇れるレベルで、実は海外への輸出も多いです。
デニムのダメージ加工をする職人は意外にも女性が多いのも特徴です。
ここでは、デニムのダメージ加工を解説します。
一般的に言うデニムの「ダメージ加工」は、いわゆる「ほつれ」のこと。別名「クラッシュ加工」と言います。
電動ヤスリなどを使って、生地の表面を削る加工方法で、主に膝やポケットの縁などを意図的に破れさせます。
最近は膝だけでなく、裾部分やベルト部分、お尻部分にクラッシュを入れることも増えてきました。
とてもワイルドな印象になるため、カジュアルダウンしたいときの装いにピッタリ。
ダメージ加工にあえて修理した感じを出す「リペア」もあります。
裏から布を当てたり、またはステッチを無数に走らせる「タタキ」と呼ばれる方法で修理します。ダメージの部分にあえて別生地を当てることで、デザインを変えることも可能です。
ジーンズを履いていると、足の付け根あたりにシワが付き、その部分が色落ちしていきませんか?
このシワが猫のヒゲのように左右に放射状に広がるので「ヒゲ」と呼びます。そしてこの「ヒゲ」を作り出す加工が「ヒゲ加工」です。
デニムの裏から形を当てヤスリで削ることで、すでに使い古したようなヒゲを演出します。
ちなみに、屈伸などをくり返すことで膝裏にできる色落ちのことを「ハチノス」と言います。
色落ち加工の中ではさらに複雑な箇所なので、さらなる技術や表現力が求められるのです。
「シェービング加工」とは、サンドペーパーや電動ブラシを使って、生地表面を削る加工のこと。
削った部分の色が落ちるので、主に太ももやポケットあたりの色を落としてコントラストを付けることができます。
「シェービング加工」も技術と表現力が必要なので、職人による手作業。だからこそ太ももだけやふくらはぎ部分だけなど、部分的な加工が可能なのです。
レーザーカッターを使ってレーザー光線で生地を削る加工が「レーザー加工」です。
レーザーを当てた部分だけがピンポイントに色落ちします。
最大の魅力は、好きな柄やイラストを描いて表現できること。濃淡も自由に調整できるため、アイデア次第でデニムのデザインの幅がより広がります。
さらに、「ここを削って色落ちさせたらどうなるんだろう?」という色落ちデモとしても利用できる技術です。
生地問屋YAMATOMIではさまざまな種類のデニムを取り扱っています。
YAMATOMIオススメの加工デニムや定番デニムをピックアップ!
実際に手に取って、その目で個性豊かなデニムの魅力をチェックしてみてください!
リジッドに近い状態で楽しみたい人にオススメ!サンフォ加工(防縮加工)をしているので洗っても縮みにくく、気軽に使いまわしやすいデニム生地です。
13ozデニムですがバイオウォッシュ加工により、ソフトな風合いに仕上がっています。インディゴブルーに染めており、深みのあるカラーが魅力★ 色落ちにはご注意くださいね。
反応染めという技術で染めたデニムは、色落ちや色移りが起こりにくいのが特徴!デニムとしてはやや薄手で風合いがソフトなので、ジーンズの他カバンやスリッパなどにも使えます。
オープンエンド糸(空紡糸)という空気の力を使って繊維を撚り合わせた糸を使用した、ドライで硬いタッチのデニムです。90年代のリーバイスを思い起こさせますね。全体的に色のトーンが抜けていくように色落ちしていくのでお楽しみに★
13.5oz WHITECORE FULLBLACK SELVAGE DENIM
特殊染色技術で、硫化ブラックの芯白部分の輪郭を明瞭かつ最大化!それによりシェービングやレーザーなどの物理的な加工も際立ちやすくなります。洗濯でも色落ちしにくいですよ。
定番のデニムといえばこちら!リーズナブルで、なおかつワンウォッシュ加工やバイオ加工もしやすいです。色や風合いの変化を楽しみたい方にオススメ。
こちらはよりガッシリとした定番のデニム。程よいムラ感があり、使い込むほどに個性が出てきます。別途、ワンウォッシュ加工の依頼も承っていますので、ぜひご検討下さいませ★
※加工できる単位は【反物】または【10m(カット)】のどちらかになります
リジッドデニムを自分でイチから育てる楽しみ。加工デニムでファッションの幅を広める楽しみ。
デニムにはさまざまな楽しみ方があります。
デニムは長く愛用できるアイテムで、愛着が湧いて大切にしたくなりますし、サステナブルなアイテムだとも言えますよね。
そんなデニムを楽しむには、奥深さを探求してみるのが一番良いのかもしれません。
さまざまな加工方法を通して表情を変えるデニムを、ぜひ追求してみてください!