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「とろみ素材」って何?ファッション性の高い“あの生地”を紹介

2021.4.9

2016年に流行して以来、主に女性からの人気を誇る「とろみ素材」。

お店では見かけたことがあるものの、どんな素材なのか、何という名称かわからない人も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、特に春夏に見かけるおしゃれな“あの生地”=とろみ素材をご紹介します。

この機会に名称や特徴を覚えて、ファッションだけでなくモノづくりにもとろみ素材を活かしていきましょう!

 

「とろみ素材」と呼ばれる“あの生地”の正体

「とろみ」とは、とろりとしていて軽くねばる状態を示す言葉です。主に飲食物に使われる言葉でしたが、とろりとした不思議なファブリックができたことで、生地素材・布地にも使われるようになりました。

とろみ素材の肌触りは実際に触ってみないと説明が難しいのですが、見た目は上記の写真のようになっています。見た目からも、とろりとしていることがよくわかりますよね。

この「とろり」「とろみ」という言葉を、アパレルやテキスタイル業界では「落ち感」とも言うので、ぜひ覚えておきましょう!

アパレル店や生地屋さんでもとろみ素材をよく見かけるようになりましたが、もちろん正式に名前がついています。それは……

そう、とろみ素材とはある特定の生地を指すのではなく「とろみ」のある生地全般を指しているのです。上記の繊維とポリエステルや綿を混紡した素材でも「とろみ」があれば「とろみ素材」だと言えます。

ここでは、それぞれの素材の概要や特徴について見ていきましょう。

レーヨン

レーヨンとは、木材パルプを原料としてビスコース法(セルロースを化学薬品で溶解してビスコース液を作り、ノズルから凝固液に押し出して繊維にする方法)で作られています。

化学繊維ではありますが、自然に還る素材なので「再生繊維」のひとつでもあります。

ドレープ性やしなやかさ、染色性の高さなどが特徴ですが、引っ張りや水濡れに弱いという欠点も。

キュプラ

キュプラも「再生繊維」のひとつで、レーヨンが木材パルプを原料にしているのに対し、キュプラはコットンリンター(綿花の種子に生えている短いうぶ毛)を原料にしています。

レーヨンよりも細くしなやか、そして上品な光沢感を持っているのがポイント。ただ製造している会社は少なく、市場ではあまり頻繁に見かけません。

ちなみに、ドイツのベンベルグ社が作っているキュプラ繊維には「ベンベルグ」という商標が付けらています。

キュプラについてはこちらもご覧ください
【繊維素材LABO】キュプラって何?特徴とメリット・デメリットまとめ | 山冨ラボ

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リヨセル(テンセル)

ユーカリの木材パルプが原料で、セルロースを特殊な溶剤に溶かして繊維にしたものです。化学繊維ではありますが、植物を原料とした「再生繊維」でもあります。

「リヨセル」は繊維の名前ですが、オーストリアのレンチング・ファイバー社で作っているリヨセル繊維には「テンセル」という商標名が付けられています。

やや不安定なレーヨンやキュプラと比べて、ポリエステル並みの強度を持っていることが特徴。そのため、とろみ素材でよく使われる繊維です。

テンセルについてはこちらもご覧ください
【繊維素材LABO】テンセルってどんな素材?最高の着心地を実現してくれるテンセルの特徴とメリット・デメリットまとめ

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アセテート/トリアセテート

アセテートは再生繊維と合成繊維の中間である「半合成繊維」と呼ばれ、トリアセテートは酢酸の割合が増えより合成繊維に近い素材です。

木材パルプやコットンリンターを原料に、セルロースと酢酸を科学的に反応・合成させて繊維にします。

光沢感や柔らかな風合いが特徴。ドレスやアウターのサラサラした裏地に使われることが多いですね。

シルク

シルクは蚕から取れる「天然繊維」で、日本古来から高級品として扱われてきました。光沢感やしなやかさ、ドレープ性などは、まさに高級感溢れ、特別な一着に使われることが多いです。

シルクはセシリン(繊維の中のタンパク質を包む物質)の落とし方によって風合いが変わり、「先練り」「後練り」「半練り」「三分練り」などで硬さを調整することも可能。

とろみ素材として使いたいときには柔らかく、しっかりとした素材として使いたいときには硬くなど、用途に合わせられることがポイントです。

 

「とろみ素材」に共通している特徴

「とろみ素材」の表現には他にもあります。たとえば「テロテロした」「テロンとした」「ドレープがある」……などなど。

そんなさまざまな表現方法がある「とろみ素材」ですが、どんな素材にも共通していることがあるのです。

しっとり感があって柔らかい

とろみ素材はテロテロしていますが、どこかしっとり感があることがポイント。この“しっとり感”は言い換えれば“もっちり感”です。実際に触ってみると、柔らかいのにハリがあることがわかるでしょう。

つまり、とろみ素材はほとんどが着心地が良い素材だと言えます。どんな体型の人でもほどよく馴染むため「洋服を着ている」「洋服に締め付けられている」感が少ないんですね。

その着心地の良さを、実際に着て実感してみてください!

しなやかで体型を拾いにくい

とろみ素材はその見た目からもわかるとおり、ドレープ性がありしなやかな素材。女性らしさがありますが、実は女性が気になる体型を隠すのにもぴったりなのです。

体に沿って落ちるドレープ性は、一見するとボディラインが出るように思うかもしれません。しかし実際は、気になるお腹や腰回り、二の腕、太ももなどをとろみ感によって隠してくれるのです。

スッキリとした洋服を着たいけど体型が出るのは気になる……そんな女性にこそ、スッキリとしているのに体型を拾いにくいとろみ素材のアイテムがおすすめです!

自然に優しい繊維を使っている

とろみ素材の繊維であるレーヨン、キュプラ、リヨセルなどは再生繊維。そしてシルクは天然繊維です。つまり、とろみ素材のほとんどは土に埋めておくと自然に還る「自然に優しい繊維」を使っているという共有点もあります。

ただし再生繊維自体はまだ安定して供給できる繊維ではなく、シルクも高級な繊維であるため、ポリエステル等と混紡されることが多いです。

たとえ混紡して使っているとしても、化学繊維の比率を減らし自然に優しい繊維をなるべく多く使っているので、化学繊維100%よりも地球環境に優しいと言えますよね。

 

「とろみ素材」を使ったおしゃれなアイテム

とろみ素材はその見た目のおしゃれさ、そして着心地に良さから、洋服に使われることが多い素材。ではどんなとろみ素材のアイテムがあるのかをチェックしてみましょう!

スカート・パンツ

とろみ素材の魅力を最も活かせるのはロングスカートやガウチョパンツなど、長くて裾が広がったもの。

 

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ガウチョパンツは、太ももはもちろん、腰も締め付けないため、リラックスコーデにぴったり。在宅勤務や近所へのお出かけなど、ワンマイルコーデに取り入れやすいです。

 

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とろみスカートの場合、無駄に広がらずストンと落ちるため、スッキリした印象に。それでいてドレープ性があり、シンプルながら女性らしいコーデになるでしょう。

ワンピース

全身にとろみ素材を纏いたい場合には、ぜひワンピースを取り入れてみてください!

 

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とろみ素材のワンピースは軽やかで、それでいてカジュアルになりすぎないことがポイント。フォーマルな場面でも、プライベートな場面でも着まわせる一枚になるでしょう!

ブラウス

春先で出番の増えるブラウスは、カッチリとしたハリ素材もカッコイイですが、とろみ素材でもっと春らしさを感じることができるはず。

 

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とろみ素材のブラウスは、胸から下、ひじから下にかけて“落ち感”が出ます。女性らしいフォルムを残しながら体型カバーになるのがポイントです!

 

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おしゃれ上級者さんは、光沢感のあるとろみ素材を選んでみましょう。光沢とドレープ性により、動くたびに表情を変えてくれますよ。

アウター

「テロンチ」と呼ばれるトレンチコートがあります。本来はギャバなどハリのある素材を使うことが多いトレンチコートですが、とろみ素材を使って“てろん”とした風合いにしたトレンチコートのこと。

 

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「テロンチ」に使われるとろみ素材にはレーヨンやポリエステルが多く、女性らしい軽やかなコートになるため、秋のはじめや春先のアウターとして人気なのです。

 

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動くたびにゆらゆらと揺れる裾は、女性らしさを引き立たせてくれます。レディな装いはもちろん、デニムと合わせてカジュアルにも着こなせますよ。

 

「とろみ素材」を取り入れてファッションを楽しもう!

とろみ素材は軽やかでフェミニンであることから、女性の春夏のファッションアイテムとして人気が高いです。

暖かくなってきて上着を脱ぎたくなったら、とろみ素材のスカートやブラウスを取り入れるチャンス!

お店で購入するときには、レーヨンなのかテンセルなのか、その素材もぜひチェックしてみてくださいね。

 


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