ホーム > 【布仕事辞典】パタンナーとはどんな仕事?パタンナーのなり方や仕事内容を紹介
2020.10.26
ファブリック(布)の仕事を通して、身の回りにあるファブリックの魅力を伝えていくために、この度【布仕事辞典】をシリーズ化いたしました!
身近だけど実はよく知らないファブリックの世界を、布仕事辞典を通して覗いてみてください。
さて、今回ご紹介する布仕事は「パタンナー」です。あまり聞き慣れない人も多いのではないでしょうか?
実は、パタンナーは特にアパレル分野では欠かせない存在。今回はそんなパタンナーの仕事について見ていきましょう!
目次
パタンナーとは、ファッションデザイナーが作成したデザインをもとに、パターン(型紙)を作成する役割を持つ職種です。
「パターン」というと水玉柄や星柄のような、柄物をイメージする人も多いかもしれません。しかしアパレル業界における「パターン」とは、「型紙」のこと。
洋服のデザインは最初は紙に描くため、平面的です。それをお店に売ってあるような、体にフィットする立体的なデザインにするために必要なものがパターン(型紙)です。
パタンナーは平面的なデザインを立体的に仕上げるために、人の体にあった型紙を作成していきます。
デザイナーは誰もがイメージする通り、洋服などをデザインする仕事です。
有名なデザイナーならパリコレで新作を発表することも多いですが、無名なデザイナーも世界中にたくさんいます。パリコレで発表された斬新なデザインを元に、日常的に人々が着られるような落ち着いたデザインを作るデザイナーもいます。
そして、パタンナーがそのデザインを型紙に起こす…という、それぞれ違った役割を持っているんですね。
もちろん、デザイナー兼パタンナーをしている人も多く、自分のデザインを自分で型紙にする場合もあります。
パタンナーの年収はどこに勤めているかによって多少の変動がありますが、おおよそ450万円〜500万円前後です。
デザイン事務所:平均470万円 アパレルメーカー:平均485万円 ブライダル業界:平均455万円
ただ、初任給は300万円程度で、年齢が上がる、つまり役職がつくことで500万、600万と年収も上がっていきます。
パタンナーの具体的な仕事内容は次のとおりです。
デザイン画からパターン(型紙)を作成する 何もない状態からパターン(型紙)を作成する 量産用パターン(型紙)を作成する トワルチェック(型紙をトルソーに着付けて確認する作業) 裁断や縫製の指示 サンプルチェック
ここからわかるとおり、やはり型紙の作成がメインのお仕事。ときにはデザイン画も何もない状態から型紙を作ることもあり、これは高度な技術を持ったパタンナーじゃないとできません。
また、簡単に縫製して同じ商品を量産するために、量産用パターンを作る仕事もあります。ファストファッションアパレルなどでたくさん並んでいる商品は、量産用パターンを元に縫製されているのです。
ここでは、初心者からパタンナーになる方法をご紹介しましょう!
パタンナーになるために一番確実な方法が、アパレル業界やデザイン事務所に就職することです。販売や商品企画部門ではなく、製造や技術部門への就職を目指しましょう。
ただ、アパレル業界は学歴を重視する傾向にあります。特に服飾系学校の卒業生を求めているため、これから学校に進む予定の方は服飾系に進んでみてはいかがでしょうか?
すでに社会人として働いていて転職したい方は、アパレル業界に入って仕事をしながら通信講座などで技術を磨くといいでしょう。
そして就職したからといってすぐにパタンナーになれるわけではなく、まずはプロのアシスタントから始めます。数年間のアシスタント期間を経て、やっと1人でパターンを作れるようになるのです。
また、フリーランスのパタンナーになる道もあります。ただいきなり初心者が独学だけでパタンナーになるのは難しいため、この場合もやはりアパレル業界等での経験が必要になるでしょう。
パタンナーになるためには、特別な資格は必要ありません。今業界で活躍しているパタンナーも、無資格の方がほとんどです。
その代わり、より高い技術や経験年数が求められる傾向にあります。若くして成功する人は少なく、経験年数が10年、20年になるにつれ、技術を磨いて成功していくのです。
少しでも就職に有利になりたいのであれば、「パターンメイキング技術検定」や、パターン作成に使うCADの操作をマスターするための「CAD利用技術者検定」などを持っておくといいでしょう。
また、その他のスキル・能力として
コミュニケーション能力 他人の意図を読み取る力 頭の中で図形を組み立てるスキル 完成系から逆算して分解できるスキル
などを持っておくと、仕事に役立ちます。
パターン作成時にはデザイナーの意図を読み取る必要がありますし、実際にパターンを作成するには頭の中でパーツの集合と分解を繰り返していくためです。
実は、デザインがおしゃれな服=良い服とは限りません。パターンによって服の出来が大きく変わるからです。
そう考えると、パタンナーの仕事は地味だけどとても重要な仕事。腕の良いパタンナーは業界で引っ張りだこになるでしょう。
パタンナーのやりがいといえば、自分が作成したパターンを元に、1つの服、つまり作品が出来上がる瞬間にあります。デザイナーのように表舞台には立たないものの、自分が携わった服を誰かが着ているのを見ると、嬉しい気持ちになるでしょう。
自分の作ったパターンをもとにした服が大ヒットしたときには、とても気分爽快なはずです!
「着心地がいい」「形がいい」などのポジティブな感想は、パターンがあってこそ。そういう感想があったときに、パタンナーの仕事のやりがいを感じるでしょう。
一方で、コツコツ続けていく仕事のため華やかさが足りないと感じることも。デザイナーにばかりスポットライトが当たるため、なんだかやるせ無い気持ちになるかもしれません。
また一人前になるまでにはかなりの修行が必要です。パターン作成に時間がかかったり、作り直しになったりすることも多く、最初は落ち込む日々が続くかもしれません。
それでもパタンナーを長年続けている人は、自分の作った作品が世に出る楽しさを知っています。だからこそ、地味だけど「縁の下の力持ち」として活躍していきたいと考えているのです。
それでは、もう少しだけパタンナーの仕事を覗いてみましょう。
実はInstagramで「#パタンナー」と検索すると、パタンナーがどんな仕事をしているのかがわかります。パタンナーを目指している人は、現役パタンナーと交流してみるのもいいかもしれませんね!
このイラストはパタンナーの仕事を的確に表しています。服のサイズを確認しながらパーツ分けするシーンが、パタンナーの仕事のシーンで一番多いのではないでしょうか。
そして作成されたパターン(型紙)がこちら。こちらはマスクのハンカチのパターンなのでシンプルですが、複雑な服になると、もっと多くのパーツを作ることになります。
そう、「型紙」という名前からもわかるとおり、パターンは布ではなく紙に描くもの。布を扱う仕事でも、まずは紙を使う点が面白いですよね。
こちらは作成したパターンをトルソーに着付けるトワルチェックです。あちこち仮縫いをしていき、サイズ感や形を見ていきます。
ここから少しずつ平面的だった型紙が、立体的になっていくのを実感できるはずです。
トワルチェックが完了したら、次はいよいよ布を使ってサンプル作り。実際に布をパターン通りに縫製して、トルソーに着せながら出来上がりイメージを見ていきます。
ここでデザイナーから「イメージが違う」と言われ、やり直すこともしばしば。
それでも、少しずつ完成に近づいていく様子を見るのは楽しいですよね。
パターンなしでいきなり縫製することも可能ですが、やはりサイズが微妙に違ったり、裁断を失敗したりなどのトラブルも付きもの。そんな細かいトラブルを避け、同じものを量産するためにはパターンが必須です。
パターンがあるからこそ量産できて、量産できるからこそ安いお値段でお店に並ぶ。今では、パタンナーがいてこそのアパレル業界だと言えるでしょう。
アパレル業界の縁の下の力持ちや頼れる存在になりたい人は、パタンナーを目指してみるのはいかがでしょうか?