ホーム > 生地の撥水の種類!耐水圧・透湿性を知って水に強いモノづくりに活かそう!
2020.5.27
雨の日の外出や休日のキャンプ。そうした日に一番必要なものは何でしょうか?
それは、水に強いアイテムではないでしょうか?
雨の日なら濡れても大丈夫なアウターを着ることで風邪をひくのを防げますし、キャンプのテントも水に強い生地を選ぶことで夜中の湿気や結露から守ってくれます。
このように「濡れても大丈夫」「水に強い」などの特徴を持つのが撥水(はっすい)生地です。
しかし、ある程度水の侵入を防ぐ生地も数多くある中で、どこからどこまでは“撥水生地”に分類されるのでしょうか?
今回は撥水生地の基準となる耐水圧・透湿性について詳しく見ていきましょう!
目次
そもそも撥水生地とは、簡単にいえば水を弾く生地のことを指します。
撥水性がない生地は、水滴が垂れた瞬間に生地の中に浸透していき、撥水性が悪い生地だど、ゆっくりですがやっぱり生地の中に水が浸透します。
撥水生地の場合、生地の表面に水滴がついてもハスの葉の表面のように水滴がそのまま転がり落ちるのが特徴です。
普通の生地に見えるのに水を弾く理由は、表面に加工をしているから。
しかしあくまで表面にしか加工をしていないため、摩擦や経年劣化によりどんどん効果が落ちてしまいます。
防水生地と呼ばれる生地もありますが、撥水生地とイマイチ違いがわからない人も多いのではないでしょうか?
防水生地とは、内側に水が浸透しない生地のことを言います。防水の場合、生地の表面で水を弾く・弾かないは関係ありません。
防水加工は生地の表面ではなく裏側にウレタン樹脂などでのコーティングや防水フィルム等の加工を施します。そのため撥水生地よりも効果が落ちるのが遅く、5年ほどは使えるでしょう。
撥水と防水を比べると、防水生地の方が長持ちして丈夫です。
しかし撥水生地に比べると後に解説する透湿性がやや悪く、劣化してしまうとカバーする方法がありません。
一方で撥水生地なら、表面に撥水加工をすることで浸透性は保たれます。撥水効果が落ちたと感じたら、撥水(防水)スプレーを吹きかけることで効果を補填できます。
衣類用か小物用か、長く使いたいか買い替えを前提とするかなどで、適切な方を選びましょう。
撥水生地の基準となるのは「耐水圧」と「透湿性」と呼ばれるものです。
それぞれどのようなものかを解説します。
耐水圧とはその名の通りで、どれくらいの水圧に耐えられるかを数値に表したものです。耐水圧が高ければ高いほど生地の内側に水が侵入をするのを防ぐため、より高い撥水効果を得られます。
耐水圧の数値は、生地にメモリのついた1cm程度の筒を置いて、筒の中に水を入れることで計測します。生地の裏面に染みが出てくるまでに注がれた水が1000mm(1メートル)であれば、「その生地の耐水圧は1000mm」ということになります。
傘の場合は250mm〜500mm、テントなら幅が広く1000mm〜4000mmなどが多いです。
しかしここで注意したいのは、これはあくまで「水圧だけ」を考えた場合です。例えば衣類には、座ったら体重でおしりの部分に圧力がかかりますよね。成人の場合、この圧力は1500mm〜2000mmと言われています。
水圧と体重の圧力が重なると、あっという間に水が染み込んでしまうのです。
撥水生地は「水を弾けばいい」「水に強ければいい」わけではなく、使っている途中でも快適かどうかも重要なポイントになります。その快適さを左右するのが、透湿性という数値です。
透湿性とは、内側から外側に水蒸気が通り抜ける性質のこと。
耐水圧を高めて外側からの水をシャットアウトしても、実は内側にいる人が水蒸気=水の細かい分子を発しています。この水蒸気は、大粒の汗はもちろん、体温が上昇することで肌の表面からも少しずつ放出されているのです。
人は1時間で50g、軽い運動でも500gもの汗をかいています。水蒸気の出入りを完全にシャットアウトしてしまうことで、蒸れて体がベトベトになってしまうほか、テントなどの場合は内側が結露してしまうのです!
透湿性は1㎡あたりで計算され、「8,000g/㎡/24h」と書いてあれば「1㎡あたり24時間で8000gの透湿性を持つ」という意味。
さらに1時間換算すると333gなので、軽い運動には向いていません。
高い透湿性が必要なアイテムとそうでないアイテムがあるので、撥水生地を選ぶときには用途に合わせて透湿性もチェックしましょう。
撥水生地はレインコートやテント以外にも使えて、実は幅広いアイテムに活用できる生地です。
身の回りのアイテムに目を向けてみると、「水に強い」という特徴は意外と利便性が高いことがわかります。
それでは、撥水生地の使い道をご紹介していきましょう!ぜひとも水に強いモノづくりの参考にしてみてくださいね。
撥水生地が一番活躍するジャンルといえば、やっぱりレインウェア。オーソドックスなアイテムから、ちょっと変わったレイングッズまでご紹介します!
[embedhttps://www.instagram.com/p/CAKaAvHBpvL/[/embed]
普段着の上から着るレインコートやレインポンチョなど、できるだけ動きの邪魔にならない軽量仕様がいいですよね。
撥水加工は生地の表面に加工をするだけなので、元の生地に軽量なものを選べばOK!
また、雨の日の必需品である傘にも撥水生地がよく使われています。
撥水仕様の風呂敷「アクアドロップ」ってご存知でしょうか?
雨の日にいつものカバンを使いたいけど濡らしたくない…そんなときはアクアドロップでカバンを包めば安心です!おしゃれな柄で気分転換にもなるので、気分が下がりがちな雨の日こそ大活躍しそうですね。
屋外で活動していると、急に雨が降ってきたり、季節によっては湿気で肌がベタついたりすることも多いです。そんなときに便利な撥水加工のアウトドアアイテムをご紹介します!
外で使うからこそ、密閉性よりも通気性を優先したいテント。テント内の水蒸気がきちんと排出されないと、内側で結露が起きてしまいますよね。
撥水生地を使ったテントであれば、外も中も安心です。梅雨時期のキャンプは撥水テントの中で雨音を聞くのも風情がありますよ。
フェスやキャンプには欠かせない帽子も撥水生地を選ぶことをオススメします。
水滴を弾きつつ湿気を放出するため、頭が蒸れないのがポイント!ツバ付きの帽子なら熱中症対策にもなりますよ。
雨の日や湿気の多い日でもおしゃれして外出したい!そんな願いも撥水生地なら叶えてくれますよ。
男女問わず人気のスニーカー「コンバース」は生地が布でできているため、おしゃれだけど「雨の日に使うのはちょっと…」という人もいるかもしれません。
撥水生地を使ったスニーカーであれば水たまりを気にすることなく歩けるのでオススメです!
パッと見はスーツ、でもよくよく見ると撥水加工された雨の日用スーツ!生地についた水滴は浸透しないので、軽く拭き取るだけで綺麗になります。
これなら外回りの営業でも、人によく会う経営者でも、きちんとした身なりをキープできそうですね。
YAMATOMIでも耐水圧・透湿性の高い撥水生地を取り扱っています。
もう間も無く梅雨入りです。梅雨を快適に過ごすための、オススメの撥水生地をピックアップしました!
程よい肉感とハリ感があり、撥水加工で機能的なナイロンコットン生地です。
起毛タッチが心地よいナイロンコットンは衣類から資材まで幅広くお使い頂けます。
ソフトな面を持つソロテックスを使用している「おしゃれな撥水生地」とはこのこと!アウターやトップスはもちろん、小物にもお使いいただけますよ。
防水性・透湿性に優れており、マット・クリア両方の表面感もポイント。アウトドアアイテムやレインアイテムの定番として活躍してくれます!
表はクリアな生地に、裏には防水性を高めた生地を使用しており、3層構造になっています。水が浸透しやすいレインアイテムやシューズなどにもオススメです!
マットな質感がおしゃれですね★ハリがありナチュラルな雰囲気なので、ファッションにも使えるアウターにオススメしたい生地です。
撥水生地の存在は知っていても、耐水圧・透湿性について詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?
普通のおしゃれ着を作るなら問題ありませんが、きちんと目的・用途が決まっているなら、それにぴったりの耐水圧・透湿性を持つ撥水生地を選ぶことが大切です。
ぜひとも撥水生地を水に強いモノづくりにご活用ください!