〜 名古屋に居を構え、店舗のデザインや設計を手がけるANDGO DESIGN STUDIO のデザイナー・窪野淳史さん 〜
山冨商店と縁のあるクリエイターのインタビュー連載も第4弾!
今回は、愛知県は名古屋に居を構え、店舗のデザインや設計を手がけるANDGO DESIGN STUDIOのデザイナー・窪野淳史さんにお話しを伺ってきました。
静岡出身だと、東京で就職っていうケースも多いですよね。
僕の場合は大学の進学で愛知県に来たので、そこからの縁とでもいいましょうか。
住み始めてみると、名古屋って建築士や店舗デザイナーとして働くには面白い場所だということに気づきたんですよね。
大阪や東京だと、ファッションや食事、飲み代なんかにお金を使う文化がかなり根付いているんですが、名古屋は少し違うんです。
車社会なので、他の都府県と比べて車に投資する人口が多くって。だから、街がまだまだブルーオーシャンなんですよね。
平たく言えばそうですね。
先ほどの車に投資する人が多いという話はあくまで一般的に多いという話でもあって。
つまり、名古屋にもおしゃれが好きだったり、飲みに行くのが楽しみだったりする人もいるんですよね。
だから、お店をフックに新たなコミュニティ作りに挑戦している感じです。
僕らが設計やデザインに携わる上でのコンセプトメイクは一貫して「あなたの店から街を知る」というところにあるんです。
つまり、街がすごいから人が集まるんじゃなくて、その店が素敵だからそこへ足を運ぶ。そうして街を知っていければいいよね...と。
そうなんですよね。
僕らがデザインを手がける店舗は、割と小さめの箱だったりすることも多くて。
だから、お客さん同士の距離も比較的近いんですよね。
その場で友達が増えて、一つのコミュニティが生まれる。
そういう、小さな渦をたくさん起こすことで、街自体が活性化できるといいなって。
名駅の周辺や栄あたりは人がたくさん集まる場所ではあるんですが、大手のチェーン店なども多いんですよね。
反対に、大須商店街のあたりが盛り上がっていますね。
もともとは古着屋が多いエリアだったんですが、最近はおしゃれな飲食店や個人経営の飲み屋なんかも増えてきていて、30代くらいまでの人が街に集まっている印象です。
暖かさや人間味を引き出せる空間づくりですかね。
あとは、一軒をデザインするだけで、完結させないように考えることです。
例えば、美容室と居酒屋、近くに担当物件があったとしたら、そこを横断して住民や訪れる人が豊かになれたら理想的ですよね。
それぞれのクライアントは違いますが、そこをつないで街単位でオシャレであるとか、楽しい場所というブランディングをすることまで見据えるように心がけています。
全てが山冨さんの布というわけではないのですが、店舗のデザインにおいて布っていうのは重要な資材なんですよね。
クッションのカバーやカーテンはもちろんですが、暖簾やテーブルクロスにも布は使われますよね。
まず、驚いたのは他の生地屋とは違って圧倒的な在庫量を持っているというところですよね。
デザインしたお店のコンセプトに合わせた布を探しやすいのは僕らにとって嬉しいポイントですね。
1メートルから生地を購入できるので、色んなカラバリや素材感でクライアントに見本を出せるのもありがたいですね。
僕らが担当する店舗は比較的小さい店舗が多いんですよね。
小さなコミュニティを生む空間をデザインするという上では、これからも続けていきたい分野で。
ただ、もうちょっと踏み込んだデザインもしてみたいですよね。
例えば、街の一角にある10店舗をまとめてうちがデザインすると小さなモールを作るとか。
まさにそうです。
あとは、大型の店舗を手がけるっていうのもやってみたいことですかね。
大きな店でコミュニティ作りの手助けをする店舗デザインをするのは、課題や挑戦が多く、やりがいがありそうですから。
進学で足を踏み入れた街で、建築家・店舗デザイナーとしてのキャリアをスタート。
他の都市と比べて街が盛り上がりきってないことを逆手に取り、街づくりまでを見据えた店舗作りを仕掛けるANDGO DESIGN STUDIOのデザイナー・窪野淳史さん。
彼が手がける物件が増えるほど、街が賑やかになっていくに違いない。
取材中にそう思われる瞬間がしばしばありました。
これからは大阪や東京だけでなく、ANDGO DESIGN STUDIO、ひいては名古屋の街の動向に注目していくべきなのかもしれない。
取材・文・写真:ロマン
協力:ANDGO DESIGN STUDIO(https://www.andgo-ds.jp/)