〜 ヴィンテージショップのバイヤーとして活躍する傍、デザイナーとしてのキャリアもスタートさせたMICHIKO UEDAさん 〜
山冨商店と縁のあるクリエイターのインタビュー連載も第三弾!
今回は、堀江のヴィンテージショップNUTTYのディレクター・バイヤーとして活躍する傍、GLAZE KOHLのデザイナーとしてのキャリアもスタートさせたMICHIKO UEDAさんにお話しを伺ってきました。
そうですね。スタートは1995年。もとはアメ村で古着屋をやっていて。
今はレディースがメインですが、当時はメンズがメイン。
50’sカルチャーが好きな人が通うかなりマニアックなお店でした。
14年くらい前ですね。
アメ村でやっていたときはかなりお店が狭かったんですよね。
もっと多く方々に商品を見てもらいたい...と、移転を決めたんです。
それに、自分たちも年齢を重ねてきていたので、もう少し静かなエリアに行きたくて。
で、出会った物件がここでした。
お店を始めた当時は、全く考えてはいませんでしたね。
でも、ヴィンテージの洋服に触れる機会が増えるにつれて「この服のシルエットがもう少しシュッとしてたらいいのに」とか「ここを直せれば、もっと綺麗に出せる商品なのに」...といった思いが強くなったんです。
いきなりブランドを始めるとまではいかなくて。
洋服に手を入れるのであれば、きちんとした形で手を入れたかった。
だから、洋裁の学校に通うことにしたんです。
基本を学んでからも、個人的にお直しやオーダーを受けるレベルで。
なんというか燻っていた期間は長かったですね。
NUTTYで扱う商品は、全て海外でバイイングするヴィンテージ品。
当たり前のことなんですが、古いものは売れてしまえば新たに生産される物ではないので無くなっていくばかり。
希少価値が必然的に上がって、ヴィンテージのアパレルは着るものから見るものへと変わってきつつあったんです。
そこで、当時の服良さを生かした洋服を作ればいいんじゃないかって思い始めました。
洋裁の学校へ通った時点で自分で何かを作りたいという種火はあったんです。
だから、よしやるぞ!と決めてからGLAZE KOHLを立ち上げるまでは、かなり早かったと思います。
作り洋服のコンセプトもも「ヴィンテージの良さを色濃く反映しながら現代的で着やすい服」と、かなり明確なものがあったので。
GLAZE 工場や、生地の調達ですね...。
普通のデザイナーさんなら、どこかの企業やブランドでデザイナーとしてキャリアを積んで、いわゆる生産ラインにもパイプが作れるんですよ。私の場合は古着屋でのキャリアしかなかったので、そういったツテが一切なくて。
まずは、いろんな生地屋さんを回ってみたんですが、いい生地に出会えなくて。
ネットでいい生地屋さんがないか調べるうちにたどり着いたのが山冨商店さんでした。
驚いたのは他の生地屋とは違って圧倒的な在庫量ですね。
2万種の生地からチョイスできるのは正直他には無い魅力ですね。
あと、ブランドはサンプル品を作って正規品を作るんですが、1メートルから生地を購入できるので、色んなカラバリや素材感でサンプル出しができるというところですかね。
山冨さんとの出会いはブランドを始めるにあたって、かなり助けになりましたね。
ブランドを立ち上げてすぐに「コレクションに出てみないか?」って声をかけられて、バンクーバーで開かれるファッションショーに出展することが決まったんです。
出してみるとしっかりオーディエンスからも反応があって。
ロンドンやパリなどからも声がかかり、続いてニューヨークのコレクションにも出展させてもらう機会がいただけて。
デザインの良さをお褒め頂くと同時に、生地がいいよねと言われる機会も多くて。
せっかく日本製を使って作っているんだから、生地の良さや職人の丁寧さもブランドの推しにしていければいいなと思っています。
やはり、根底にあるのはヴィンテージのクラシカルなデザインの良さですね。
それを現代に落とし込んでいるブランドがGLAZE KOHLです。
ヴィンテージの品では生地や縫製の限界が近く日常使いの難しい物もありますが、今まで手にして感銘を受けたヴィンテージのディテールをデザインに落とし込み、着やすく、動きやすくなっている商品ばかりなので、うちのブランドをきっかけとしても、よりたくさんの人にヴィンテージの素晴らしさを伝えていきたいです。
ヴィンテージショップのバイヤーとしてキャリアを積み、洋裁のスキルもダブルワークで取得。
デザイナーとしてのデビューは遅かったものの、自身が愛するクラシカルな服を現代的にリビルドするスタイルで自身のブランドGLAZE KOHLの立ち上げを果たしました。
現在は海外のコレクションでの発表もこなし、気鋭のアパレルブランドとして注目されています。
これからもGLAZE KOHLからは目が離せなそうだ。
取材・文・写真:ロマン
協力:NUTTY/GLAZE KOHL(http://www.nutty-vintage.com/glazekohl.html)