サニーデイテーラー様インタビュー

〜 カジュアル服のテーラーとして活躍するSUNNY DAY TAILOR満留 優貴さん 〜

サニーデイテーラー様インタビュー

山冨商店と縁のあるクリエイターのインタビュー連載がスタート!
第一回は、カジュアル服のテーラーとして活躍するSUNNY DAY TAILORの満留 優貴さんにテーラーになるまでの経緯やこれからのことを根掘り葉掘り伺ってまいりました。

福岡で挫折。思い出した夢を胸に再起した。

福岡で挫折。思い出した夢を胸に再起した。

ーー今日はよろしくお願いします。カジュアル服、いわゆるシャツのテーラーとして活躍されている満留さんですが、まずは現在に至る経緯から教えていただけますか?

小さい頃から洋服を扱う商売をしたいっていうのはあったんですよ。
だから高校を卒業後の進路も服飾の専門学校を選んだんです。
出身が鹿児島なので、福岡に上京して専門学校に行くわけなんですが、その学校に全く合わなくて。割とすぐにドロップアウトしまして。

ーーなるほど。学校を辞められたあとは、何をして過ごしたんですか?

26歳くらいまでは、福岡のカラオケ店で働いていて。
仕事的にはいわゆるカラオケ店の業務なので、心から楽しんでやっているわけではなかったんですが、社長がよく言っていた「願い事は、毎日口に10回出すと叶う」という言葉が妙に胸に刺さって。
「ファッションデザイナーになる」と願い続けていたんですよね。

ーー念じれば叶う的なお話ですね。興味深い。

で、26歳になったときに「洋裁の技術を学ぼう」と、一念発起して大阪の服飾専門学校に入学したんです。
働きながらの進学だったので、夜間部で学んだんですが年齢が年齢だということもあって当時は「30近くなってからのデザイナーデビューは大変だよ」と、言われることも多かった。
ただ、夢なので突き進みたいなって。

念じれば叶う的なお話ですね。興味深い。

ーー卒業後はどうされたんですか?

若者向けレディースブランドの企画として働き始めました。
いかにコストを安く抑えて、トレンドを取り入れるかが重要な会社だったので、かなり勉強になって。
こうやって作るとこれだけコストが抑えられるんだなって。
ただ働くうちに、自分が考えた服が消費される服であることに疑問が生まれ始めて。

ーーたしかに。トレンドど真ん中で、ファストファッション的なブランドの服は洋裁が甘かったり...。飽きも早い服が多いですもんね。

そうなんです。
自分で一生懸命に考えたものを売るんだから、やっぱり長く大切に着てほしいなって。
長く愛されるアイテムについて考えていくうちにたどり着いたのがカジュアル服のテーラーという道でした。
とはいえ、テーラーとしてのスキルはゼロだったので、老舗のテーラーで修行をさせてもらって。

長らく愛される服を作る、顧客目線のカジュアルテーラー。

長らく愛される服を作る、顧客目線のカジュアルテーラー。

ーーで、晴れて独立される...と。

修業先で培ったメジャリングなんかの技術や、洋裁する場所が見える空間作りだったり...現在のスタイルに活きている点が多くって。
オーダーする際に生地が触れて、さらに作る場所までが見えるっていうのはお客さんから見ても安心感がありますからね。

ーーオーダーできる商品はシャツがメインですよね?

メインはシャツなんですが、シャツジャケットやエプロン、帽子なんかのオーダーも受けています。
まずは、200種ほどある中から生地をチョイスしていただいて、そこからシャツのベースとなるデザインを決める。
ボタンや襟ポケットなどの細部まで選んだのちに、サイズサンプルを試着していただいて、採寸していく感じですね。

オーダーできる商品はシャツがメインですよね?

ーーちなみに、山冨商店で仕入れるようになったきっかけは?

だいたい2年くらい前に、とある交流会で出会ったのがキッカケですね。
普通の生地問屋さんだと、特化しているジャンルが決まっているんですよ。
例えば、ウールだとか、チェックだとか、レディース向けの生地だとか。その上で扱っている製品数でおよそ1000種あればいい方なんです。
ただ山冨さんの場合は20000種ほど扱っている生地があって。

ちなみに、山冨商店で仕入れるようになったきっかけは?

ーー1社で20社分の在庫だ。それはいいですね。

さらに、小ロットからのオーダーが可能な上に対応もかなりスピーディなので、こちらもクイックな対応ができるんですよね。
例えば、ナイロンとキルティングでシャツを作ってほしいってオーダーが来たことがあったんですが、普通なら2社介すところを山冨さんの場合は1社で2製品が調達できるんです。
サイトも見やすく、店からの距離が近いので買いに行きやすいのも利点ですね。

ーーなるほど。カジュアル服のオーダーは持たない暮らし派の人に刺さると思うんですよね。

ですね。
今の顧客さんは自分で細部まで決めたいっていうファッションに対してこだわりが強い方と既製品ではサイズがフィットしないという方が半々くらいなんですが、ミニマリスト的な人が増えている今の日本にはフィットするアパレル業態かもしれませんね。

ーーなみに、今後の展望はありますか?

シャツのテーラーはもちろんなんですが、オーダーメイドエプロンの方にも力を入れていて。
大阪で人気のカフェチェーンだったり、いろんなお店のエプロンを作らせてもらっていて。
趣味に合わせたエプロンを作れるので、料理好きな人、植物好きな人、水槽の世話をする人...といった、用途に合わせたエプロンが作れるので、そちらも広められれば...と。

ーーエプロンいいですね。僕も植物いじりが趣味なので、今度オーダーに行きます!今日はありがとうございました!

エプロンいいですね。僕も植物いじりが趣味なので、今度オーダーに行きます!今日はありがとうございました!

一度は挫折したファッションの道へ復帰し、カジュアル服のテーラーとして独立された満留さん。
デザイナーとしてのデビューは遅かったものの夢を信じ続け、修行を積んだことで自身の夢を叶えました。
時代に沿ったカジュアル服のテーラーというスタイルの先駆者として、これからも彼の活動から目が離せなさそうだ。

取材・文・写真:ロマン

協力:サニーデイテーラー(https://www.sunnydaytailor.com/)